VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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倶なる天に示す証明(ホシ) 其の六

サンラクによって判明した現在のクターニッドの攻略法、其れは八本を大元に十数本の細く枝分かれする触手を攻撃し、魔方陣へと送り返す事だった。

 

「アイトゥイル、俺の肩に掴まって!」

「あ、あわ、わわ………」

「ッ……思った以上に重傷だな……!ノワは無茶し過ぎるな、オイカッツォと京極(キョウアルティメット)にサンラクはギリギリまで細い触手を引き付けるんだ!」

「大体十二本目が地面に刺さったら、ギリギリ回避で五秒は殴りたい放題だ………!」

 

震えながら肩に移動するアイトゥイルに襲い掛かる細触手達を、イーディスと天獄(テンゴク)の鏡面を滑らせる様にして受けつつ、グランシャリオを握った右手と、兎月(とつき)暁天(ぎょくてん)】を握った左三本目の巨剛触手(きょごうしょくしゅ)を振るって細触手を叩き。同時に異質な『違和感』をペッパーは抱く。

 

サンラクや秋津茜(アキツアカネ)、オイカッツォにペンシルゴンが引き付けながらにカウンターを叩き込んで押し戻し。ルストは離れた場所から剛弓で触手を打ち抜き、京極(キョウアルティメット)とサイガ-0はバフスキルでブーストしながら触手を斬り捨てる中、ペッパーはグランシャリオの剣先を天に掲げながら述べる。

 

「ウェザエモン・天津気(アマツキ)さん───貴方の絶技、使わせていただきます!」

 

現在グランシャリオにはペッパーとペンシルゴンの、各々の世界の真理書「墓守編」が二番目と五番目の穴に、宝玉と成って納められており、其の内の二番目に収まった宝玉が光り、グランシャリオの剣身に『蒼い雷』が迸る。

 

「皆、落雷注意だ!」

 

晴天流(せいてんりゅう)の中でも『体内電流』を増大させて、自力発電する事に特化させた流派であり、同流派内の【(くも)】と並び『魔法』と勘違いされる()を保有している。

 

「アレか!レイ氏にルストに秋津茜は一旦退避!」

晴天流(せいてんりゅう)(かみなり)】────奥義(おうぎ)ッ!!」

 

夜空に放つ蒼光一筋。其れは『帯電』し、ゴロゴロと鳴り響きながら『増幅』し、ペッパーの右手に握るグランシャリオの鋒と共に『誘導』し、大地へと落ちる。

 

「いけ───『雷鐘(らいしょう)』ッッッッッ!」

 

夜空から落ちた蒼雷がコロッセオに叩き付けられ、其の一撃で現在プレイヤーやノワに襲い掛かっていた細触手の内の十本が雷に打たれて、上空に在る魔方陣の中へ戻っていく。

 

「ウェザエモンの雷鐘…………、何時見ても魔法って勘違いするって────のッ!」

「す、ごい……ですね。負けて……られま、せん……ッ!!」

「やっぱ雷鐘の攻撃範囲は広いね……お陰でかなり触手も疎らになってきた!」

「ペッパーさん、凄いです!」

 

ウェザエモンの保有していた晴天流、修練を重ねた果てに到達した七つの絶技が一つによって、触手達は押し戻されていき。

 

「ラストォ!」

「コレで最後!」

 

オイカッツォが拳気(けんき)赤衝(せきしょう)】を、ペンシルゴンが致命の槍(ヴォーパルスピア)で細触手を貫き、八本から枝分かれて十二本の合計九十六本の触手達を魔方陣に送り返した事で、クターニッドの声が頭に響く。

 

『届かぬ高みはなく、然れば至りて後に人は何処へ征く……』

 

まるで『今挑戦してるゲームをクリアしたら、其の後はどうするの?』とでも問い掛けているかのようだが、そんなもの最初から決まっている。

ストーリーモードを終えたなら難易度を上げてもう一回、其の次は収集要素の完全制覇、其れも出来たならボス戦タイムアタックに縛りプレイ、そしてRTAやAny%RTAをやる、其れがゲーマーという生き物なのだから。

 

『信ずる己を見出せ。世界が変わり果てようが、根幹は決して揺るがない』

 

クターニッドの言葉と共に、八芒星(オクタグラム)が動き始めた。模様が光り蠢き、平面(・・)であった図形が膨れ上って立体(・・)へと変形するかの様に、魔法陣を構成する文字達が夜空を這い、輪廻するかの如く廻り巡りながら、平面より触手と目が飛び出させて、クターニッドは自らの姿を変貌させていく。

 

平面が立体となり、立体が明確な形を作り、角ばっていた巨体は滑らかな『蛸』の姿(フォルム)へと洗練されるのを見て、ペッパーは漸く『違和感の正体』に気付く。クターニッドの能力を把握した時から、今の今まで思考してきた其れは、此所に漸く合点が行く迄に至った。

 

屁理屈を無理やり引っくり返して実行してしまう怪物を、一体どうやって倒せば良いのか?そもそも中身が無いクターニッド(・・・・・・・・・・・)を、一体どうやって攻略すれば良いのか?─────と。

 

「今さっきまで見えていた魔方陣………アレはクターニッドが産み出した物じゃなくて、クターニッドの本体(・・)な気がしてきたよ………」

「あぁ、ペッパーの予想は合ってる。多分クターニッドは魔法生命体か、もしくは生命魔法体の可能性が高い」

 

サンラクが同意した事から、どうやら同じ結論に到りつつあるらしい。ふと見上げれば、巨大な蛸の形に変形を完了した立体的な『魔法陣(クターニッド)』が地面へと降り立ってくる。

 

見上げるほどの巨体であるクターニッドの着地に対して、シャンフロエンジン下ならば砂埃や風圧といった『重量』を感じさせるような、一連の現象が起きる所の其の一切が起きなかった。

 

「来ます、私が前に……!」

「クターニッドの一式装備、タンク職みたいな事も出来るから俺も前に出るよ」

「はっ!ペッパーはん!?」

「あ、アイトゥイル。気が付いたようだね」

「サンラクザン!?クターニッドが居るですわ!?」

「おぅ、エムル。やっと正気に戻ったか」

『ワゥ』

 

サイガ-0がスレッジハンマーを取り出し、ペッパーとサンラクが共に前に出る形でクターニッドを見つめる最中、おそらく恐怖状態が解除された事で正気を取り戻したであろうアイトゥイルとエムルが、各々のパートナーに声を掛ける。

 

「ペッパーさん!大丈夫でしたか!?」

「避難は完了したよ。其れにしてもクターニッド、何か変に成ってない?」

「あ、レーザーカジキさんにモルドさん!クターニッドは何か変形して、最終的にこんな姿になりました!」

 

此所で魔法職の二人が避難誘導から帰って来て、秋津茜がザックリと状況説明を行う。

 

「取り敢えずルスト、先にバフを掛けておくね。他の人は………」

「モルド。気持ちは有り難いが、俺やサンラクに秋津茜は呪いが引っ付いてるので、弾いてしまうんだ」

「私は……自力のバフで、何とかなりますので……ごめんなさい」

「私も何とかなるかなぁ」

「アッハイ」

 

モルドはガックリと肩を落とすも、オイカッツォがバフくれオーラを放ったので、彼はルストとオイカッツォへとバフを施し、レーザーカジキも其れに続く形で二人にバフを付与していく。

 

「レイ氏、前に出て大丈夫ですかね?間違いなく触手攻撃が有りそうですけど……」

「はい、タンク系のスキルに……『反撃衝突(コリージョンカウンター)』という、物が在りまして。……多少ダメージは受けますが、耐えられます」

「盾とか武器をジャストタイミングで当てて、攻撃を押し返すスキルだったな。俺も習得しているし、今の状態なら何とかなるだろう」

 

さらっとペッパーが述べた台詞に、サイガ-0とサンラクの視線が向く。サイガ-0はマッシブダイナマイトから聞いていたが、ペッパーは数回レベルダウンビルドを行ったらしく、其の修練も独特な物である事は耳にした。

 

此のスキルは本来『相当な回数の戦闘経験』を通した果てに、初めて手にする事が叶うスキルであるが故に、サイガ-0もまたレベルダウンビルドの末、三回目のレベル99到達で漸く自身のスキルに追加されたのだから。

 

そんな一同の感情を知ってか知らずか、クターニッドが動いた。

 

「皆さん、クターニッドが!」

「動いてます、何かぐわんぐわんって!」

 

レーザーカジキと秋津茜の言葉で、全員の視線がクターニッドへと向く。其処には八本の触手を上へと掲げたクターニッドが居り、各々の触手の先端が黄緑・青・赤・藍・黄・緑・橙・紫の、異なる八色に輝きを放つ。彩る八つの輝き達は輪郭を経て形と成り、顕れるのは『リュクルゴスの聖杯』のステム部分が長くなり、装飾を取り除いた様な『ワイングラス』。

 

だが、其れをクターニッドが掴んだ瞬間、八つ在った輝きの内の黄緑・赤・黄・橙の四つが崩壊して消えて行き、其れを見たクターニッドは空いていた触手に光を集め、新たに『白のワイングラス』を創り出したのである。

 

「は、えっ!?ちょっ」

 

いきなりの特殊行動にペッパーやサンラクが叫ぶより早く、白の聖杯が光輝き。一同の視界が真っ白に染まる。

 

そしてクターニッドによって、何もかもが─────引っくり返った。

 

 

 

 






襲い掛かる未知の反転




黄緑の聖杯:魔法無効
青の聖杯:性別反転
赤の聖杯:近距離無効
藍の聖杯:ステータス反転
黄の聖杯:スキル無効
緑の聖杯:??反転
橙の聖杯:遠距離無効
紫の聖杯:ダメージ反転
白の聖杯:????反転


ぶっちゃけると此の中で悪辣TOP3を上げるなら……

1位:白
2位:藍
3位:紫

えっ何で白かって?ゲームしてた時に体験する事………有りますよね?




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