VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ラーメンを懸けたビルディファイトの後先とラーメンの宴

※天音 永遠の髪色を修正しました




因果と麺は絡まりつるみ

「いぇぇぇぇぇい、俺の勝ちー!!!」

「彼処で猫騙しとかマジかよオマエ…!」

 

天を見上げ、ウヒャヒャヒャヒャと高らかに笑うA-Zに、頭に青筋をビキらせるブシカッツォ。真剣勝負の決着が付いたら、最早恒例行事となった煽り煽られが始まる。

 

「と・り・あ・え・ず・だ!初戦は俺の勝ちなのは事実だからな、ブシカッツォ!」

「わかっとるわ、そんくらい!……はぁ、しっかしレベルMAXでぶっ飛ばしてくると思ったら、スタンから投げ技確定コンボとか、思い付いてもぶっつけ本番で普通はやらねぇよ…」

「ゲームの技としてあるなら、利用しない手は無いもんなぁ?何でも利用するブシカッツォ君の名が泣くねぇ?」

「こんなろ…!今すぐ席に着け、次だ次!」

「OK、このままストレート勝ちにしてやんよ!」

 

互いに席に付いて、ビルディファイトのROUND2が幕を開ける。

 

ROUND2はブシカッツォが、リーエルのレベルMAXの必殺技にして防御貫通無限ダメージを与える『インフィニティーブレイカー』で、ノブ=ナッシュをKOして勝利。

 

ROUND3はリーエルの『インフィニティーブレイカー』と、ノブ=ナッシュのレベルMAXの必殺技で、受けたダメージを相手キャラクターに与える『臥薪嘗胆・絶撃』が激突。火花と力場が発生し、十数秒の拮抗の果てに両者共に吹っ飛び、同時に互いの体力ゲージが尽きてWKO。

 

A-Zとブシカッツォのビルディファイトは、1勝1敗1引き分けとなったが、先に1勝したA-Zがラーメン一杯を奢って貰う権利を得る。

 

其の後A-Zとブシカッツォは、プレイアブルキャラクター限定で戦いを続けた。勝って負けて、煽って煽られ、3ラウンド制2勝先取を30本勝負で戦い、お互い一人のゲーマーとして、友として、楽しい時間を過ごして。

 

結果は最初の分も合わせ、14勝16敗1引き分け。A-Zはブシカッツォに僅差で敗れる事になり、今回は御開きとなったのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

都内某所……街に灯りが点り、空がすっかり暗くなった頃。ゲーセンのトイレで最強レトロゲーマーのA-Zから普通普遍の大学生に戻り、鞄を抱えて脱出した梓は、ブシカッツォと共にバスと電車を乗り継いで、都内に在る小さなラーメン屋にやって来た。

 

此処は2人がゲーセンで遊んだ後、初戦の勝敗によってどちらかが、ラーメン一杯を奢る場所として利用している隠れ家のような物で、静かな安らぎの一時を得る場所になっている。

 

「いらっしゃいやせー」と入店した2人に、店員の声が聞こえ、カウンター席に彼等は座る。

 

「御注文が決まりましたら、お声掛けください」

「あ、俺とんこつラーメンのチャーシュー2枚プラスの奴で」

「味噌ラーメンのコーンホウレン草バタートッピング頼みまーす」

「あ、はい。かしこまりましたー」

 

注文は即決め、出された冷水で喉を潤す。

 

「ぷはぁー。あ~本当にすっごく楽しかった」

「久し振りに勝ち越せたわ、今日は気分が良い」

「ブシカッツォ。ラーメン、ゴチになります」

「………其れ言われなきゃ、最高だったのによぉ」

 

合掌と御辞儀する梓に、ブシカッツォは少し苦い顔をした。やはり初戦を落とした事を、まだ引き摺っているのだろう。

 

「…相変わらず空いてるなぁ此処」

「スープとチャーシュー、凄く旨いんだがなぁ」

「まぁ空いてるお陰で、秘密の隠れ家みたいで良い………ん?」

 

他愛ない話でもしようとした梓は、ふと店内を角に座る一人の客に気付いた。黒のベレー帽を被り、サングラスとマスクを着けた女性で、白インナーと黒の薄着、藍色のジーンズを着てテーブルに座っている。

 

そして帽子からは、僅かに青みが掛かった黒髪が覗いており。梓は其の横顔に『強い既視感』を抱いていた。

 

「どうした、A-Z?」

「…………ブシカッツォ、ちょっと席離れるね」

 

そろ~りそろ~りと、ゆっくり彼女が座るテーブル席に近付いて「よっ」とだけ声を掛けた。

 

彼女は一度此方を見て、直ぐ様二度見する程に動揺し、サングラスを上げて梓を見た。

 

「やっぱりか『トワ』。どーしてこんなとこに?」

「其れは此方が聞きたいよ!?……『あーくん』こそ、何で此処居るの…?」

 

天下のカリスマモデル、天音 永遠。オフだったのか分かりはしなかったが、俺と永遠は実に10年くらい振りの、現実での再会を果たした。

 

「おーい、A-Z~。誰と話し……って、おま『鉛筆戦士』じゃんか」

「え?なんで『カッツォタタキ』君まで居るの?」

 

そしてブシカッツォと永遠が、別の名前で互いに呼び合っていた。何だ此の二人、知り合いだったの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん…ペッパー君は私と離れた間に、カッツォ君とゲーマー仲間として仲良くしてたんだ~………へー………」

 

ラーメンの出来上がりを待つ間、永遠の座るテーブル席にお邪魔して、ブシカッツォと自分の話をしたら、何故か永遠は不機嫌そうに頬を膨らませていた。

 

「なぁ、ブシカッツォ。ペンシルゴンってこんなに拗らせる奴だったのか?」

「いやぁ?俺が知る限り『鉛筆王朝時代』のコイツは、もっと外道だったぞ」

「えっ何それ、凄い気になる」

「其れなら私が教えたげるよ?ペッパー君」

 

ブシカッツォの話を遮るようにして、ペンシルゴンは俺に語り始めた。VRゲームの1つ……『ユナイト・ラウンズ』という『クソゲー』での、ブシカッツォ…其のゲームでは『カッツォタタキ』との因縁を。

 

ユナイト・ラウンズ…別名『世紀末略奪ゲー』。元々は「協力型MMOVR」としてリリースされたのだが、世界観を余りに忠実にし過ぎてしまった結果、アイテムドロップ率が異常なレベルで低く、初心者クエストもクリアに半日掛かるという始末。

 

其れ故にプレイヤーが辿り着いた真理(せいかい)は『略奪』で、NPCの店を襲撃して物資を奪うか、襲撃したプレイヤーを襲って略奪するかという、プレイヤー全員敵の無法地帯(アウトレイジ)と化した。

 

そんな混沌とした世界で、あらゆる手練手管を用いて王国を掌握━━━━『富もドロップも全て仲良く皆で分けよう』のスローガンを掲げ、共産主義国家よりも真っ赤な旗と共に爆誕したのが『鉛筆王朝』であり、其れを支配したのが『鉛筆戦士』ことアーサー・ペンシルゴンであったそう。

 

配下にしなかったプレイヤーからの搾取に、敢えてレジスタンスを作らせてプレイヤー離れを防止する等、世界を確実に掌の上で支配していた事から、彼女は『反理想郷の女帝(ディストピア・エンプレス)』と畏れられ、崇められていたらしい。

 

そんな鉛筆王朝を終わらせたのが、ブシカッツォと『もう一人のクソゲー愛好プレイヤー』で、ある時に反乱軍を囮にして少数精鋭で鉛筆戦士の元へ突撃、死闘の果てに討伐に成功した。

 

だが鉛筆戦士は其の死に際、王国中に仕掛けていた爆弾を爆発させ、反乱軍と配下のプレイヤー、ブシカッツォと其のプレイヤー諸とも巻き込んで盛大に爆散、鉛筆王朝に幕を引いたのだという。

 

「うわぁ………お前の事だから、絶対ロクな事してないかと思ったが、ゲーム『そのもの』を支配してたのかよ…」

「あの頃は本当に楽しかったよ~♪」

「王様キル楽しかったですwwww」

「カッツォタタキ君、毎度思うけど鼻で笑うと凄くムカつくのは何でだろうね?」

 

ワイワイ語らい合うペンシルゴンとブシカッツォ。しかし思った事が1つある。名前の呼び方がバラバラで、共通していないのだ。

 

「あ、此の際だから呼び方決めない?」

 

思わず俺は声に出してしまった。しかし其れを名案だと感じたのか、2人は同時に「「確かに」」とハモった。

 

「じゃあ俺は『カッツォ』で良いぞ?」

「私は『鉛筆』と呼んで良いよ、ペッパー君」

「それなら……『胡椒』でOK?」

「何故に香辛料だよ?」

「名字を捩って出来たから」

「あー……そうゆうことね」

 

俺の本名(フルネーム)を知っている永遠…もとい鉛筆は納得しているようだ。

 

と……

 

「失礼します、醤油ラーメン卵トッピングの御注文の方!おまち!」

 

店員が俺達のテーブル席にやって来て、鉛筆の前にラーメンを一杯置いていった。

 

「お、きたきた………ってどうしたの2人共?」

「此処って普通なら『ニンニク野菜マシマシこってり固めのとんこつラーメンの方おまち!』な流れだよな?」

「あ~其れ何か解るわ。『カリスマモデルの可憐にして意外なる一面!』みたいなアレでしょ?」

「君達は私を何だと思ってるの?」

「外道の権化」

「悪辣の魔王」

「うーん、否定したいなぁ?」

 

そう言いつつも、麺が延びては美味しく無くなるので永遠は一足先に「いただきます」からラーメンを啜った。

 

「というか、ト…鉛筆は此処どうやって見付けたの?」

「…仕事帰りにラーメン食べたいって思って、その時たまたま立ち寄ったのが此処。醤油スープが優しい味で気に入っちゃってさ、時々こうして1人オフの日に食べに来てる」

 

永遠にしては意外とシンプルな答えだった。

 

「あ、そうだ胡椒君。Eメールアドレス教えて」

「え、何でさ」

「いざって時に連絡手段無いとキツイでしょ?其れと『例の情報』について、3日後にゲームでメール送っておくから確認お願い」

「………あぁ、そゆことね。解ったよ」

 

シャングリラ・フロンティアのユニークモンスター、墓守のウェザエモンに関わる情報だと思考が至る。Eメールアドレスを永遠のスマフォに送信し、送られてきたアドレスを登録していると「ゲーム?何かやってんの2人共」と、カッツォが質問してきた。

 

「シャングリラ・フロンティア、知ってるだろ?」

「あぁ、有名だしな。てか意外だわ、レトロゲーマーのお前がシャンフロやってるなんてさ」

「レトロゲームも好きだが、VRゲームもやってみたい御年頃なんだよなぁ、俺も」

「だったら『便秘』やれよ、胡椒。滅茶苦茶楽しいぞ?」

「カッツォ、お前腹でも下したか?大丈夫?下剤飲む?」

「ゲームの名前だよ!?」

 

少しエスカレートしそうになったのを察したか、永遠が「ラーメン美味しくなくなるから、やめて貰って良いかな?2人共?」と真っ黒なオーラを纏って言ってきたので、俺とカッツォは「「はい」」と言って静かになる。

 

其の後カッツォはとんこつラーメン、俺は味噌ラーメンがやって来て、永遠から案の定『魚なのに肉食べるんだね』と言われたりし、俺達は此の一時をラーメンと共に過ごしたのだった………。

 

 

 

 






三人三色の好きな味



???「次はどんなクソゲーをやろうかな」

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