VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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行け、戦え




倶なる天に示す証明(ホシ) 其の十四

クターニッド・想像態。背中に存在する八つの宝珠を用いて、プレイヤーとNPCの中から『八人』をランダムに選択・分析する『Analysis(アナライシス)』と、分析したプレイスタイルを自身に反映する『Reflexus(リフレクス)』という能力を持っている。

 

クターニッドとの戦闘開始から二時間三十分、想像態との戦闘開始から四十分が経過した現在、今の形態で良悪含めて『幾つかの事実』が判明した。

 

Analysis(アナライシス)

「くっそ、また(・・)やって来やがった!」

「コピーされたのは京極(キョウアルティメット)・ルスト・エムルさん・シークルゥさん・サンラク・オイカッツォ・サイガ-0さん・ペンシルゴンだ!」

「今回の初手は誰で来る………!」

 

先ずクターニッドがコピー出来るスタイルの上限は、合計で『八つ』だけという事。どんなにやっても一律『八つ』のみであり、其れ以下でも其れ以上でもない。しかし其のプレイスタイルのコピーが、厄介な上に『問題』でもあった。

 

Reflexus(リフレクス)

「あの構え、は……オイカッツォさん、です………!」

「ごりっごりの近接だハズレ!!」

「ルスト、弓は!?」

「剛弓は限界………魔法弓は射てる」

「マナ回復のポーションと魚は有るから、バフが必要な人は言って!」

「ハイハイハイ俺頼むよ!終わったら前に出るから!」

「飛び込みつつ反射出来ないかやってみる!」

 

クターニッドは討伐戦参加者が『八人以上』の場合、プレイスタイルの分析と反映を『八分毎に一度』の間隔で随時更新(・・・・)してくる事。プレイスタイルの一新と再編成を仕掛け、此方を休ませないのは厄介極まる。プレイヤーにNPCの戦闘スタイルのコピー………成程確かに(・・・)厄介だ。

 

「ただまぁ………其のスタイルコピーには、応用(・・)が無いんだよねクターニッド」

 

戦闘を通じてクターニッドのスタイルコピーを観察し、収集していたオイカッツォが一人、モルドの潤沢なバフを受けて前に出る。対するクターニッドは拳を打ち付けて、オイカッツォへ繰り出されるストレートを左に身体を傾けながら回避して、肘関節を裏拳で殴り付けた。

 

「やっぱりだ………ある程度スタイルの『コピー』が出来るだけで、動きは単調(・・)でしかないみたいだね。今の時点で大体の情報は仕入れたから、此処から避けタンクは俺がやる!」

「サンラクとペンシルゴンは右足首、京極と秋津茜(アキツアカネ)とノワは左足首を狙って!俺とアラバさんは空中と時々オイカッツォの援護、ルスト・モルド・アイトゥイル・シークルゥさん・エムルさん・レーザーカジキは定期的に遠距離で攻撃を射し込んでください!」

「頼むぞカッツォ!其の間にキッチリ削ってやらぁ!」

 

データを収集する程に強くなるオイカッツォにとっては、今の(・・)クターニッドは『プレイスタイルのコピーは出来れど、応用が無く決まったパターンでしか動かない、体力お化けの巨大ボスキャラ』という評価が出されていた。

 

最も其れは『現時点のクターニッド』に対してであり、バフ有りとはいえど攻撃に当たれば即死は変わり無く、大前提として避ける事には変わりない。

 

 

Vuuuuvoooooooo!!!!!

 

 

「『ブ』なのか『ヴ』なのか『ボ』なのか解らないけどさ、俺はこう見えて人型相手に此の距離間だと『八割方で勝てるんだよね』?」

 

拳を回避し、バク転しながらに挑発するオイカッツォへ、クターニッドが左足を前に踏み込む。

 

「左足首集中攻撃だ、シークルゥ!」

「承った!【タケノミカヅチ】!!!」

 

サンラクの声と共にシークルゥが刀を突き立てれば、地面から急成長し無数に生える竹林達、其れがクターニッドの左足の踏み込みの重力バランスを崩し、其の巨体が左側へと傾く。

 

「レイ氏!」

「カタストロフィー…………!」

 

自身に施したバフスキルや魔法の輝きが霞む程に輝く、純白の大剣を握る漆黒の騎士の一撃に、クターニッドが派手にスッ転んだ結果、其の巨躯が観客席を、コロシアムを粉砕する。

 

「ヨッシャア!クターニッドが起き上がるまで、フルボッコタイムだオラァ!」

「アポカリプス……打てるように、します……!」

「最高の攻撃スキルや魔法は惜しむな、此処で削って『アルマゲドン』に繋げるぞ!」

 

巨大な巨人相手に小人が群がる姿は、かの童話『ガリバー旅行記』を彷彿とさせるが、人間の祖先たるホモサピエンス達も昔はマンモス狩りにおいては、多人数で戦っていたのだ。

 

「其処ォッ!!」

 

他のメンバーが頭や腹、腰や足首等の箇所へ攻撃を掛ける中、ペンシルゴンの槍の一撃がクターニッドの右目に突き刺さり、赤いポリゴンが放出。思わぬ一撃にクターニッドの巨躯がビクン!と跳ねて、アグレッシブな具合に立ち上がったのだ。

 

「ッわぁ!?」

「ペンシルゴン!!!アラバさん、サイガ-0さんの援護を!俺がペンシルゴンを助けに行く!」

「ペッパー!?流石に無茶だ、危険過ぎるぞ!」

「だからって、此のまま放って置く訳にはいかない!」

 

槍を深く突き刺したからか直ぐには抜けず、ペンシルゴンが高い場所まで連れて行かれた。暴れ始めたクターニッドによって握り潰されかねない、危険な状態だと感じたペッパーはアラバの制止を振り切り、彼にサイガ-0の援護に行くよう指示。

 

自身は無限潜航(むげんせんこう)で空中を泳ごう(飛ぼう)とした其の時。

 

『ワゥル!』

「えっ、ノワ!?」

『ワゥ!ワゥル、ルゥル!』

 

なんとリュカオーンの小さな分け身たるノワが、ペッパーに飛び付き、着いて来てしまったのだ。まるで『私を置いてきぼりにしないで!』とでも言っているかのように。

 

『ワゥ!ワゥル!』

「…………解った、左の脇に入って!ノワ、確り掴まってろよ!」

『ワン!』

 

ダンジョンアックスの武装を空中で解除し、武器をインベントリへ。ノワを左脇に入れるや暴れるクターニッドの周囲を高速で走り、ペンシルゴンがぶら下がる場所まで来た。

 

「ペンシルゴン、危ないぞ!槍から手を放すんだ!」

「あーくん、其れだけは駄目!此処に来る前にやっと手に入った大切な槍………!放したくないの!」

 

どうやら大切な武器であるらしく、色んな物を犠牲に出来るペンシルゴンがそうまで言い切る理由は気になったが、クターニッドが片目ながらに此方を把握するまで、そんなに時間は無い。

 

彼はイーディス以外の全ての武器をインベントリアに入れ、巨剛触手の一本をペンシルゴンの腹部に巻き、残りの六本全てを刺さった槍に巻き付けて、自身の筋力関係のバフスキルを全力解放するや、クターニッドの動きに合わせて視界に入らないように全力で泳ぎ。

 

「うおおおおおおおおおおお!抜けっ────ろぉあ!!!!」

「アポカリプス!」

 

最後の一押しにサイガ-0の一撃が呼び水となって、深く刺さった槍の穂先が引っこ抜け。同時に此の戦いを左右する、最大火力(アタックホルダー)の『切札』───其の第一段階が完了した。

 

「条件、達成………しました!何時でも、いけ……ますッ………!!」

「よし!さて問題は、クターニッド相手に『どうやって隙を作るか』、だが………」

「サンラク、コイツを使ってくれ!!」

 

片目を潰されたクターニッドが全身に力を込める様を見て、サンラクが思考を重ねる。一番の懸念材料はアグレッシブに動けるクターニッドの巨体を、数秒間でも止める為の方法だった。

 

そんな最中、クターニッドは其の手に槍を持ち。ペンシルゴンを無事救出したペッパーが、彼に『ある武器』を────片腕型の巨大籠手(ビッグスケールガンドレット)たる『風雷皇の御手(サルダゲイル・アトゥヌ)』を渡してきたのだ。

 

「ペッパー、コレお前の武器だろ!良いのか!?」

「アルマゲドン当てるにはデカい隙が必要だ!まだ煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)アレ(・・)再使用時間(リキャストタイム)、終わってないんだろ?」

 

ペッパーが睨んだ通り、サンラクのフェイバリットウェポン・煌蠍の籠手は必殺技が使えない状態に有った。

 

「其れに………此処で『全力を出さなくっちゃ』クターニッドに……ううん。クターニッドさん(・・)に失礼だからな。何らかの『とっておき』を持ってそうだけど、調べるにしてもダメージを与えなきゃ話にならない」

 

ペッパーのユニークモンスターを呼ぶ時の口調が、呼び捨てから『~さん』に変わったのを、サンラクは聞き逃さない。アレはおそらく、ユニークモンスターに対する『何か』を理解した時のペッパーだと。

 

「フッ………良いぜ、ペッパー。やってやろうぜ!」

「あぁ、皆!サイガ-0さんの切札・アルマゲドンを当てに行きます!」

 

作戦の次段階にして最難関、サイガ-0の切札たるスキル『アルマゲドン』を確実にヒットさせるが────始まる。

 

 

 






開拓者よ、往け


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