青、覚醒す
其の【青】を、ペッパーとペンシルゴンにレーザーカジキ、サンラクとサイガ-0、ルストとモルドは知っている。嘗てのルールイアと呼ばれた国を、全滅寸前まで追い詰め。しかしクターニッドによって滅ぼされ、街全域を汚染し染み付いた『狂える大群青』と呼ばれる存在。
「エムル、頭に乗れッ!速く!」
「は、はいなぁ!」
「アイトゥイル、ノワ!」
「はいさ!」
『ワゥル!』
「此れってアレだよね!?」
「まさかとは思うけど………!?」
「ペンシルゴンとモルドの予想通りだと思う!兎に角絶対に『触れるな』!足に自信が無い人は、俺が触手で運送する!」
探索系ゲームでは御約束も御約束な『脱出パート』。制限時間以内に脱出出来なければ、即GAME OVERが待ち構えている。オイカッツォも、
『忌々しい始源の亡霊め』
「えっ?」
「何だって?」
クターニッドが重要な事柄を言った。始源の亡霊………おそらく狂える大群青を指すだろうが、深淵の盟主は其れを親切丁寧に教えるつもりは無いらしい。
『人よ。私と力を分けた鎧を纏い、力を示した
『行け、旅は続く………此の世界に生きる人よ、
「なっ─────」
「お前、其れは………」
ウェザエモンを倒し、消え行くセツナが遺した其の『単語』を、再び耳にする事になろうとは。そうなると『ドラゴン』なのか、そうでないのかが解らなくなってくる。
『
「よく解らないけど、何時か狂える大群青みたいなヤバイ奴等が現れるって意味か………!?」
「くっ……!ロケートが出されたなら従ってやるよ、走れる奴は走れ!アラバは空泳いで、足が遅いのはペッパーの触手に運んで貰え!此処から脱出するぞ!」
「わ、解った!」
「タコさん、御元気で!」
崩壊した街並みを更に壊して喰らい潰す、荒波の如く暴れ狂う【青】の………狂える大群青が活性化していく街並みの中、クターニッドが整えたのか不自然な程に保たれた道を、サンラクと秋津茜が各々のパートナーのヴォーパルバニーを乗せて走り、ペッパーは触手に仲間達を抱えて、アラバと共に夜空を泳ぎ行く。
『────────』
「えっ………?あ、えと………はい」
そんな中、サイガ-0がクターニッドと話をしていたかと思えば。
『────────』
「クターニッドさん?………解りました」
ペッパーの頭にも直接声が届き、唯々彼は頷いたのだった。
狂える大群青。例えるなら其れは『スライム』の様な不定形さを持ち、ある意味では『海波』の様に押し寄せる物で、だがまるで『霧』の如くフィールドを満たしていき、そして何かが悍しい程に蓄積している『存在』という事だけは解る。
文化の残滓と人の営みが残り、嘗ての栄光を感じられたルルイアス。しかし今は青に青と青が、乱舞して暴れ狂う地獄の一丁目、まるで蛇が獲物を補食するが如く、走り続ける者と空を泳ぐ者共を食らい尽くさんと襲い掛かる。
「此の道何処まで続いてるんでしょうか!?」
「ふぉおっ!?」
「多分、島の外………」
「海を泳ぐの!?」
「流石に此のままじゃ青に潰される………!」
「スチューデが、船を用意してれば良いけど!」
「信じましょう、スチューデさんを!」
『ワウ!』
道を駆ける者、空を泳ぐ者。不安を抱えながらも開拓者達は、NPC達は進み続け。彼等彼女等は遂に、海岸線へと到達した。
「ゴール!」
「こっからどーすんの!?」
「最悪アラバにエムル達を任せるつもりで!」
「俺にか!?」
押し寄せる【青】。NPCの命は重く、プレイヤーは死亡してもリスポーン出来る。時間は無い、決断の刻が迫っていた──────まさに其の時。
「お前等ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
出逢った時は絵に描いた様な『クソガキ』であって、ルルイアスに引き込まれてからの彼は、唯ひたすらにビビり散らかしまくっていた。
だがしかし…………六日間のサバイバルの中で、父親のカトラスと遺された手紙によって、前に進む覚悟と勇気を得た事により、一皮剥けて成長した少年の様な声色が、振り向いた開拓者とNPC達の視界に移る。
其処にはクターニッドのモノであろう、巨大な漆黒の触手に掴まれながら、此方へと近付く随分と真新しい巨大な帆船。まるで六日前に嵐の海で出逢った『クライング・インスマン号』を
「
「スチューデさん!」
「というか
「俺様に解る訳無いだろ!?兎に角、船は見付けて来たぞ!早く船に乗り込め!」
「皆、さぁ行って!」
「アラバ!お前はすっとろいんだから、先に行け!」
「サンラク、お前はどうするんだ!?」
甲板から海岸線に投げられる縄梯子、ペッパーは巨剛触手を操りつつ、船の甲板へ急いで仲間達を乗せながら、アラバにエムルを預けたサンラクと合流する。
「俺は滅茶苦茶強いからな。
「其れに死ぬつもりは毛頭無い……!脱出までの時間稼ぎは任せとけ!」
「………!解った、死ぬなよ二人共!!」
「あーくん!絶対に戻ってきてよ………!!」
「当たり前だ………!」
迫り来る【青】の脅威。津波の如く押し寄せる中、サンラクをおんぶしたペッパーが、夜空を飛ぶ。其れを見た【青】はペッパー達を喰らわんとし、重なり合いながら夜空へと昇り上がる。
「やっぱりコイツ等、お前を『最優先』で狙って来てるな」
「だろうね。クターニッドさんの力が施された鎧だからか、取り込んで力にしたいのかもね」
狂える大群青………おそらく此の存在は『群態タイプのモンスター』の可能性が高い。有機物だろうが無機物だろうが食らい、増殖・侵食・侵略するエイリアンか何かだと言われても納得出来る。
だからこそ、脱出する味方の安全確保の為に離れた。其れは同時に『反転の力』を、敵にぶつけられるようにする為でもあり。
「『狂える大群青同士で食い合え』!」
ペッパーの言霊によって、
「ペッパー!サンラク!」
「サンラク、確り掴まれよ!」
「あいよぉぉぉぉぉっ!」
青の波の中をルーパス・アサイラムと
そして【青】の荒ぶる空間を抜けきった其の時、近くの海面が轟ッ!と水柱を上げたかと思えば、何かが飛び出して【青】に『無色透明な触手』を叩き付けて、島の内側へと押し返すのをサンラクは見た。
しかも其れは彼にとって『見覚え』が有る上に、何なら自分の手で一度『討伐』した相手だったからこそ……
「何故生きてるバッカルコーン!!!」
そう叫ばざるを得なかった。そんな事は露知らず、ペッパーは一目散に皆が待つ帆船まで泳ぎきって、サンラク共々無事に生還するに至り。
「あーくんッッッ!」
『ワゥルア!!!』
「ペッパーはん!」
「うおぁ!?」
「サンラクさぁぁぁぁぁぁん!!」
「ぐべぇ!?」
ペッパーにはペンシルゴン・ノワ・アイトゥイルが、サンラクにはエムルが抱き付き、二人共に少なからずのダメージを食らって。
「見て下さい、アレ!」
レーザーカジキが指差す先、四つ在る塔の一つの頂上にて二体の封将の姿。他の塔にも同じく封将達が立ち、内側に押し込められた【青】達が、クターニッドの巨大な触手達に叩き潰され、瓦礫と
「凄い………」
クターニッドの一式装備を継承した者として、大本の存在が成した凄まじい戦いを目に焼き付け、グランシャリオをインベントリアに入れたペッパーは、空いた右手を胴装備の中心にて握る。
此の戦いを忘れない事を、受け継いだ者としての責務を果たす事を、甲板の上で船酔いに襲われながらクターニッドへと誓い。そんな中でモルドが気付いて、皆にこう言ったのだ。
「ねぇ……皆。コレ………『投げられる寸前』じゃない?」
クライング・インスマン号に似た帆船は、クターニッドの巨大触手に掴まれている。そして触手は力を込めていると言わんばかりに、ギチリ……ミチリ……と膨張と力瘤を作り上げながら。まるで紙飛行機でも飛ばすかのように、船は斜め上に傾いており。
ふと視線を向けると、ペッパーとサンラクと交代したクリオネの封将………『クリーオー・クティーラ』が此方を、其れもサンラクに視線を向けた後に『あっかんべー』をしていて。其の瞬間、サンラクが叫んだ。
「全員船にしがみつけぇーっ!?!」
刹那に強烈極まる慣性が、プレイヤーとNPC達に襲い掛かり。本来なら海を進む筈の船が、
猛烈にして驀進───────遠くへと離れ行く中で、ペッパーとサンラクが最後に見たルルイアスは、躍り狂う【青】を潰して覆い尽くし、そして島の全体へと広がる、クターニッドの巨大な触手と共に輝く四つの塔。
島を喰らいて、破滅を齎す大群青の波濤を塞ぐは、威風堂々と聳え立つ防波堤。クターニッドが放つ揺るがぬ威光と共に在りて、ルルイアスは再び海底という深淵へと消えていったのだった…………………。
『深淵のクターニッドは再び倶なる天より別たれた』
『勇者は深淵の盟主より己と力を分けた鎧を託された』
『狂える大群青は再び封じられた』
『ユニークシナリオEX【
『小さな海賊は明日を恐れぬ勇気と前に進む覚悟を得た』
『ユニークシナリオ【深淵の使徒を穿て】をクリアしました』
『称号【深淵からの生還者】を獲得しました』
『称号【トゥルー・シーカー】を獲得しました』
『称号【フライング・インスマンズ・クルー】を獲得しました』
『称号【赤鯨海賊団名誉船員】を獲得しました』
『称号【継承の証明】を獲得しました』
『称号【力分ける者】が【盟主の威光を授かる者】に変化しました』
『称号【道は違えど心は同じ】を獲得しました』
『称号【一目置かれたアウトロー】を獲得しました』
『一定の条件を充たしたプレイヤーが、称号【
『一定の条件を充たしたプレイヤーが、称号【
『一定の条件を満たしたプレイヤーが、称号【
『アイテム【青色の聖杯】を獲得しました』
『アイテム【緑色の聖杯】を獲得しました』
『アイテム【白色の聖杯】を獲得しました』
『参加者全員がアクセサリー【深淵の警鐘】を獲得しました』
『参加者全員がアイテム【深淵の雫】を獲得しました』
『参加者全員がアイテム【世界の真理書「深淵編」】を獲得しました』
『ユニークシナリオEX【勇ましの試練:聖盾之型】をクリアしました』
『ユニークシナリオ【勇ましの試練】が進行しました』
『勇者武器を持つ者と雌雄を決するべし』
『ユニーククエストEX【七星の皇鎧よ、我が元に集え】が進行しました』
『ワールドストーリー【シャングリラ・フロンティア】が進行しました』
世界がまた動く
称号紹介
赤鯨海賊団名誉船員:ユニークシナリオ【深淵の使徒を穿て】を、スチューデを再起&父親の遺品全てを発見して届けた上で攻略した場合の隠し称号。所謂『トゥルーエンドトロフィー』。
盟主の威光を授かる者:クターニッドの一式装備・