VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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焔の在処




太陽の如く燃え、飛躍の翼は焼き落ちない

栄古斉衰(えいこせいすい)死火口湖(しかこうこ)』。

 

ヴァイスアッシュ曰く、あの火山は『極めて強引な物理的理由』によって火山では無くなってしまった………との事らしい。情報が少ない上に、どういう事かさっぱり解らない中、サンラクとの共同ロールプレイでヴァイスアッシュと交渉してみた結果、何とか情報を引き出せたのだが、其の『内容』がまた凄まじい物であった。

 

先々代(・・・)『赤竜』をジークヴルムが物理的に『()』にして、地中深くまで押し込んだぁ??…………えぇ???」

「ジークヴルムさん、そんな事が出来るんですか………」

「意味が解らねぇだろうなぁ……。だが其れが『出来ちまう』のが、彼奴(アイツ)なんだよう」

 

『赤竜』なるワードに、竜に先代等の概念が在ったり、ジークヴルムって凄いだったり、色々な感想が出て来た。そして問題なのは彼処が『水中』であるという事で、通常(・・)潜水しても湖の底へ辿り着く前に酸素切れで溺死するだけ。浮力の都合上、身体に重り等を巻き付けて沈むしか方法が無い。

 

 

───────そう、通常ならば(・・・・・)

 

 

深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)の全種装備時機能なら行けるじゃん………」

「カカカ、まぁアイツの装備なら到達出来るだろうなぁ」

 

クターニッドの一式装備の能力で、水中や海中での呼吸問題は解決出来る為、死火口湖の蓋の先に居る『炎』や冥府の深海よりも更に深い所の『冷気』を手に出来るだろう。

 

「あぁ、そうだ……ビィラック」

「んあ?どうしたけ、オヤジ?」

「アスカロンの修理……おめぇさん、やってみな」

 

ヴァイスアッシュからの言葉で、5mは有ろう天井まで飛び、頭を打ち付けたビィラックに、サンラクは『やっぱエムルの姉だわ』と思い。

 

「そしてペッパー、サンラク。今のお前さん等ぁ、キッチリ到達(・・)したみてぇだな。約束通り、身体に引っ付いた犬ッコロのマーキング……ソイツを一時的に無効化する『無尽のゴルドゥニーネの毒』、取らせる手筈をオイラが整えてやろう」

 

二人にとって、漸く装備が少しだけ自由になる時がやって来たのである…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魚人族の英傑・ゲネテレが振るった片手剣アスカロン。其の修理をヴァイスアッシュから任されたビィラックは、興奮やらで頭を打って現在気絶状態に有る。クターニッドとウェザエモンの装備は修復するまで使えないので、ペッパー・アイトゥイル・サンラク・エムルの二人と二羽は、一度休憩室まで移動しようとしていた。

 

「あぁ!麗しの黒き乙女!今僕のキスで目覚めを与えよう!」

「あ、アラミースさん。御久し振りです」

『ワゥ』

 

部屋の上空で転移の魔法陣が開かれ、現れたのはビィラックに恋する黒猫にして、猫妖精の国・キャッツェリアでも指折りの実力者たるアラミース。ビィラックの気絶がトリガーになったのかと見れば、其の片手には美しい装飾の施された『大きな箱』を持っており。

 

ペッパーが声を掛けて、彼の影からリュカオーンの分け身たるノワが顔を出せば、アラミースの視線が移った刹那に身体が硬直した。

 

「ぺ、ペペぺ………ペッパー殿?な、何故、リュカオーンが此処に……………?」

「えっとですね……………」

 

混乱するのも仕方無い事なので、ペッパーがノワと出逢ってテイムするに至った経緯や、ヴァイスアッシュにも特例中の特例で、自分の国の敷居を跨がせて居る事を伝えるや、アラミースは口が開きっ放しとなって。

 

「………………という事なんですが」

「な、成程………事情は概ね、理解……しました」

 

流石に色々とヤバ過ぎる事をしているので、ノワにも色々と教えて認識を持って貰おうと考えていた所、アラミースが衣服等の身なりを整えるや、片手に持っていた箱を差し出してきた。

 

「コホン………。してペッパー殿、貴方から依頼された『アクセサリー』と『注文の品』を、此のアラミースが持って参りました」

「アクセサリーと注文の品………もしかしてダルニャータさんが作ってくれた物ですか?」

「はい」

 

そうして彼が開いた箱の中には、水晶の様に綺麗な『透明の糸と布』に、タンチョウの白翼の如く『真っ白な翼と白夜の空の蒼をイメージしたマント』、そして『漆黒の左手用の革手袋』。其の親指には『琥珀』が埋め込まれていた。

 

「リュカオーンに認められし、蒼空を舞う勇者たるペッパー殿へ。其の武勇に敬意を示し、キャッツェリアが誇る最高の宝石匠(ジュエラー)・ダルニャータが作り上げた極上の逸品達を御渡しします。此方の『糸と布』は、水晶群蠍(クリスタル.スコーピオン)の素材を加工した物。糸の名は『スコルスタ・ストリング』、布の名が『スコルスタ・ヴェール』。

そして此方の二つが、ダルニャータが作りましたアクセサリー…………『アトロフォスの白蒼翼(はくそうよく)』と『封熱の撃鉄(ニッショウ・トリガー)(スペリオル)』で御座います」

「アラミースさん、そしてダルニャータさんとキャッツェリアの皆様に感謝致します。もし何か困難や危機が有ったならば、先生やサンラクだけでなく自分も頼って下さい。力に成ります」

 

ロールプレイを心掛けて応答すれば、アラミースも力強く首を縦に振って応えた。そしてペッパーは改めて、ダルニャータに依頼し完成した品々を見てみる。スコルスタ・ストリングとスコルスタ・ヴェールは文字通り、水晶群蠍の水晶を糸の状態と布の状態に加工した物であり、此れを用いれば色々なアクセサリーや装備に作り替える事が出来そうだ。

 

「ペッパー、そりゃマブダチ達の素材から作ったヤツか?」

「ダルニャータさんに御願いして、糸と布にして貰ったんだ。エフュールさんに渡せば、多分『水晶群蠍の人形』を作って貰える気がする」

 

彼女程のアクセサリー職人なら、其れが出来そうな気がする…………ある意味ゲーマーとしての直感だ。そして本命は此の二つのアクセサリー、片や白鳥やタンチョウ等の非にもならない美しい白と蒼の翼、片やサンラクの右手を覆う封雷の撃鉄(レビントリガー)(ハザード)と同形状の革手袋。

 

其の性能たるや如何に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アトロフォスの白蒼翼(はくそうよく)

 

『宝石織』の技術によって産み出された、清廉なる輝きと白夜の蒼空を映した翼。澄み渡る空を飛翔する鳥の様に、風と共に空を往く力を装備者に与える。翼がもたらすは、空を羽ばたき駆ける力。風を掴み天を舞うは鳥の如く、空の元に踊り煌めくは天女の如し。

 

此のアクセサリーを装備中、装備者は機動系・跳躍系・疾走系スキルによって発生するスタミナの減少量は1/5となり、アクセサリーの対象となるスキルの再使用時間(リキャストタイム)は40%減少する。

 

スキルや魔法によってスタミナが0になる場合、MPを0にする事でスタミナを其の数値分回復する。此等の効果は職業(ジョブ)・アクセサリー・スキル・魔法によって重複しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

封熱の撃鉄(ニッショウトリガー)(スペリオル)

 

 

左手を覆う琥珀の装飾を持つ手袋。左親指の琥珀部分を指で打ち鳴らす事で、琥珀に封じられた効果が発動する。更に装備者に一定時間【特殊状態:古熱(ニッショウ)(スペリオル)】を付与する。

 

『密封の琥珀』シリーズは、琥珀の中に封じ込められた属性の他に封じ込められた物の危険度でクラス分けがされる。クラスは【(クルード)】【(デンシティ)】【(ピュア)】【(ハザード)】【(スペリオル)】の五つに分けられ、其の中でも極級は雑味無く、過密であり、純粋で、災禍の言葉ですら不足する究極の凝固である。

 

琥珀の撃鉄(ハンマー)引き金(トリガー)は使い手の意思。

 

 

・特殊状態:古熱……対象は全身に緋色の炎を纏う。追加効果として『範囲内に居る攻撃対象全てへのスリップダメージ』『攻撃対象の防具及びアクセサリーの熱耐性超低下』を付与する。

 

・追加効果【(スペリオル)】……効果発動中、自身に極放熱(ウルティマヒート)効果を付与する。極放熱状態時には一定以上の速度で移動中に、自身に対するヘイトが付与された陽炎を残す事が出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、コレヤバいアクセサリー達だ。

 

 

 

 

 

 

 

 






其れは翼、其れは灼熱

Q,つまり封熱は使うと使用者はどうなるん?

A,熱による耐性を落としまくり、敵にDOTを撒き散らすトラ◯ザムみたいな事が出来る。












400話記念、設定開示コーナー





ゲネテレ



魚人族(マーマン)の御伽噺に伝わる英雄。ザトウクジラの魚人であり、生前は魚人一の剛力と豪胆な性格と酒豪として知られており、当時の鉱人族(ドワーフ)の王との交流も持っていた。彼の数多有る其の伝説の中の一つに、魚人族の都市を襲ったアルクトゥス・レガレクス十匹の大群を単身で討伐し、平穏を取り戻した事が有る。

彼が握った『────アスカロン』は彼の生涯唯一の(エモノ)であり、当時の『──』を自らが旗手となって討滅した事によって、彼が『魚人族の英雄』と成るに至った。そして英雄となり、魚人族の都市を守っていた彼は『荒ぶる深海の王』が襲来した時、彼は仲間と共に戦いに赴き……………帰らなかった。

彼は同胞と共に己等の命を対価に、深海の王を退けたのだ。そうして彼の剣『────アスカロン』は彼の死と共に喪われた──────そう思われていた(・・・・・・)。其の剣は長く……永い……遠い時間を掛けて、他の生物達に取り込まれ。命の輪廻の果ての果て………更なる果ての其の先で、蒼空を舞う勇者の元へと流れ着いた。

因みにゲルニカの見た目は、バトルスピリッツのXレアの一枚『七海大名(しちかいだいみょう)シロナガス』の御腹周りをスマートにして腹筋をバキバキにした感じ。





















朽ち果ての剣に、再起の火を灯せ。

朽ち灯る剣に、深層の冷気を灯せ。

朽ち照る剣を、炎水剛岩(ブルレットロック)を用いて治せ。

我が示す道は、二つに一つ。

払拭か、決別か。

選べ、お前の道を。





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