確認完了の後に
「ペッパー、返すぜ」
「受け取った」
撃鉄二つ同時並行・アトロフォスの
二人は現在兎御殿に在る食事処に向かい前進、ルルイアスで採った
「ティークさーん」
「よぅ、ティーク。久し振りだな」
「おぉ、ペッパーにサンラク………!?なんで、リュカオーンと一緒に居るんじゃあ!?」
「実は…………」
当たり前と言えば当たり前だが、やはりリュカオーンの小さな分け身たるノワが居る事で、事情を知らないヴォーパルバニーは混乱する傾向に有るらしい。いや、普通に混乱しない方がおかしいのだろう。
「…………という訳でして」
「な、成程………特例中の特例ってな訳か。んで、今日は何をしに来たんか?」
「はい。ティークさんに食材を卸して貰いたいと思ってまして」
「スゲェぞ、大量だ」
そう言いつつ二人は、インベントリアからカウンターへと活〆にした魚達に貝を取り出し始めるや、ティークの目の色が一気に変わった。
「は?……う、旨味の殿堂と知られる『ノルヴィスクラッツェ』に、海上で釣り上げるのが至難の技とされる『ルージェットマグロ』………!?ちょ此方に有るんは幸福の象徴たる『ボンディングフィッシュ』に、万能食材のマンタたる『ヴェールフラウス』!?此方にゃあ白身魚の王様『ボクトゥスヘッド』と刺身と煮物で極上品『シャクサインドルタ』に、蒲焼き一つで1万マーニは下らん『トーレスタム・オーロプ』!?しかも幻にして究極、一生に一度合間見えられるか否かの『キリューシャン・スフュール』……だと!?此方は貝の頂点『ヴィナンシュシェル』に、汁物のファンタジアなる『ドッズファオン』、おまけに旨味の究極たる『アトリアクリーム』まで………!?」
驚愕と共に魚介類に貝類の名前を言い当てる様を見たサンラクは、嘗て自分が採掘・採取した宝石や鉱物、
「おうよ、まだまだ有るぜ?」
「サンラク。気持ちは解るが一旦落ち着け、ティークさん此れって何れくらいで卸せますかね?………ってティークさん!??」
其れは其れとして更なるラッシュを掛けんとするサンラクを止めたペッパーが見たのは、ニチェラ……かニチャアか………凄まじい気持ち悪い笑顔を浮かべ、愉悦に浸るティークの姿が其処には在って。
「あは、あはは……あははははは…………オイは今日死んでも悔いはない……。魚、貝、さかな、かい、サカナ、カイ……はぁぁぁぁ………」
「おう、ティーク。さっさと目覚めるのさ!」
「ぎゃぶん!?」
目の前に有る魚や貝は彼からすれば、金銀財宝宝の山脈と何ら代わり無いと思いつつ、取り敢えず現実に呼び戻さんとしたが、アイトゥイルが薙刀の柄の部分で頭を叩き、正気に戻した。
「えっと……大丈夫、ですか?」
「すまん、取り乱した。ウォッホン………さて食材を卸すんやったな。皆、仕事だ。ペッパー、サンラク。持ってる食材、卸す分だけ出しな」
「おう!」
「はいっ!」
ティークの言葉に彼と共に働くヴォーパルバニー達が魚や貝を確認し、次々と厨房へ運送していき。ペッパーとサンラクはインベントリアより、ルルイアスで狩ってきた魚に貝を取り出していき、ペッパーはノワの食事として渡す魚の切り身を残す為、捌いた一部を引いて貰うようにした。
厨房では魚を捌いて骨を分け、貝殻を外して綺麗にしながら、ノワ用にスーパーで見る『小分けサイズ』にするヴォーパルバニーと、魚や貝の種類やサイズを見て勘定をするヴォーパルバニーとに分かれ、各々分担して進めていき一時間が経過した頃。
「ペッパー、サンラク。勘定が済んだ……活〆も確りやっとったし、鮮度も申し分無しだの。んで値段なんじゃが………こんくらいじゃけん」
そう言ってスッと、おそらく銭ゲバ兎のエルクに気付かれない様に、表札で値段を伝えて。其れを受け取り、確認したペッパーとサンラクは唖然となった。
ペッパー様、買取総額・15億4130万マーニ
サンラク様、買取総額・13億6880万マーニ
鮪の競りで『億』に届く事が有ると聞いた。確かに今回大量の魚をルルイアスにて狩りをしたのだが、此処までともなると逆に怖くなってくる。
「ティークさん……あの、十億越えの理由って……」
「一番は『キリューシャン・スフュール』じゃ。アレは『成体』まで生き残れたん奴っちゃ、滅茶苦茶希少でな。浅瀬に逃げ延びたヤツが水揚げされても、王族に献上されてまって市場には『裏ルート』以外で『粗悪品』しか出回らん。
しかも
クターニッド戦を終えて、称号に
「ほい、ペッパーとサンラクの各々の買取金に切った魚の切り身や。マーニ一文の誤差もない袋詰めにした、遠慮せず持っていき」
「お、おぅ……ありがとなティーク」
「ありがとうございます……あ、そうだ。ティークさん、御世話になっている貴方に此方を『御譲り』します」
そうして彼がインベントリアから『数冊』を取り出し、ティークに手渡す。其れはルルイアスの座礁船にて回収していた『古い時代の本』であり、其処には遥か昔の人類が書き遺した『料理のレシピ本』である。
「こりゃ、昔の料理本か……!?」
「はい。ティークさんならばもっと美味しい料理を作れると思いますので、どうぞ御受け取り下さい」
和は文句無しの出来映えなので、他にも作れる種類や幅が広がれば、もっと良い物を作り出せる筈だ。コレは謂わば、ティークに対する先行投資でもあるのだから。
「よぉうし、皆!今日は魚介の宴だ!張り切って良い物を作るぞぉ!!!!」
厨房勤務のヴォーパルバニー達が気合を入れ、調理を始める所を見ながら、ペッパー・サンラク・アイトゥイル・エムル・ノワの二人と二羽と一匹は、食事処を後にしたのだった…………。
大金を手にして