豊かになったなら
「いらっしゃあ~い。あらぁ~、ペッパーさんにサンラクさ~ん。御久し振りねぇ~」
ティークに卸した魚や貝で、文字通りの億万長者……いやルルイアスでの金銀財宝宝の山を回収したので、既に億万長者……………否、
そして目の前にリュカオーンの小さな分け身・ノワが居ながら、一切ビビる様子が無いエルクの度胸が凄い。
「エルク………
「うふふふ~………アイ姉さ~ん、ティークが随分興奮してたし~………マーニ、沢山持ってるんじゃなぁい?」
「流石エルクおねーちゃんですわ……お金の匂いに敏感ですわ………」
銭ゲバの嗅覚は警察犬並かと思いつつ、エルクの目的を聞き出してみる事にした。
「エルクさん、もしかして秘伝書を購入して欲しいのでしょうか?」
「ふふふ~………秘伝書も良いのだけれど~。実はねぇ、御二人に『耳寄りで御得な情報』を渡しておきたいの~」
「耳寄りな情報、ねぇ」
「其れは?」
「うふふふ~………」
肝心な部分で営業スマイル、流石銭ゲバ兎のエルク。そう思いつつペッパーはインベントリアを操作、五億マーニが入った革袋をズシンとカウンターに乗せた。
「あっはぁ~毎度有り~♪」と¥目では無くマーニ目になったエルクが、幸せそうにマーニの山に頬擦りし。そして真剣な顔付きで話し始めた。
「ペッパーさんとサンラクさん、二人は『
「追加払いしないと駄目?」
「ペッパーさんが大奮発で、五億マーニ払ってくれたからぁ~。大丈夫よぉ~サンラクさ~ん」
ポスポスと手を鳴らせば、何処からともなく現れたヴォーパルバニー達が五億マーニを御輿に乗せて、わっせわっせと運んで行くのを見て。そしてエルクは二人に話し始めた。
「もし二人が今の限界を越えて、三桁の領域に立ったならぁ~……。私の秘法でスキルを合体・分離が出来るようしてあげるわぁ~」
通常習得したスキルは『合成・進化』によって『変化・消滅』するのが
特徴としてスキルの連結総数に
次に此のスキル連結には、強化・攻撃・防御・機動力・跳躍・視覚等々多種多様にカテゴリー分けがされたスキルを、種類や兼ね合いを『一切気にせず連結する事が可能』であるらしい。
そして最後に剪定師が秘法を行使する場合、プレイヤーは連結数に応じた『経験値』…………即ち『レベル』を対価として要求されるが、彼女の場合は経験値とは別に、連結毎に『一億マーニ』を支払えば行ってくれるのだとか。
「ただぁ~………連結には三桁に至った子が『より強くイメージした技』を見ないとぉ~、失敗しちゃうのよぉ~」
「イメージはプレイヤーやNPC、もっと言うとユニークモンスターの『技』でも良いのか?」
「えぇ~……勿論大丈夫よぉ~」
「じゃあ仮にウェザエモンさんの『
三桁より先に存在している、更なる強化要素・同調連結。一億マーニで一連結なので、今持っているスキルがレベルキャップ解放の先で、如何なる進化を遂げるのかや、三桁スキル同士を連結させたなら如何なる進化を遂げるのか、気になって仕方が無─────
「────はっ!?」
「うふふふ………」
何という事だ。エルクは『お前ならこんな要素を見逃すわけ無いよね?』と見越して、同調連結という今まで隠していた要素を提示してきたのだ。三桁スキルやスキル再習得というシステムを教えたのも、全ては此処に持っていく為の布石。
何より
「悪魔的策略ッ……………!」
「うふふふ~」
商魂逞しいと思いつつ、エルクから同調連結に関する粗方の情報を聞き、ペッパー達一向は特技剪定所を後にしたのであった…………。
「同調連結………三桁の先に在る隠し要素か」
「俺も初めて聞いたよ……しかし、合成じゃなくて連結とはな」
エルクの元で同調連結を教わり、兎御殿を歩くペッパー達は自分達が次のステージに至った先に待つ、新たな力に想いを馳せて。そしてペッパーは、サンラクに問い掛ける。
「サンラクは此の後の予定は?」
「俺はヴァッシュの兄貴の御使いクエストの『三つのΔ装置』を探しに行く前に、ラビッツの街でエムルにスペシャルパフェとパイを奢りに行くわ」
「サンラクさん!覚えててくれたですわ!」
「おうよ、ルルイアスじゃ頑張ったもんな。ペッパーはどうする?」
ヴァイスアッシュから課せられた『世界の真実』を知る為に必要な、三つのΔ装置探し。彼に言われてから既に二ヶ月が過ぎようとしている状況、そろそろ動き出しても良いだろう。
「俺はシクセンベルトに行って『
「そうか。
「サンラクも他のプレイヤーに気を付けてな」
各々がやるべき事を見定め、サンラクはラビッツの街へ続くゲートを、ペッパーは一度訪れたシクセンベルトへのゲートを開き、各々のパーティーと共に冒険へ出発したのだった………。
だが、彼等は知らなかった。
自分達と入れ替わる様にして兎御殿に、新たに
目指すは雲海の道