探索は基本
古城と思われる内部、
「サンラクさん、サンラクさん。此の先に気配を感じますわ………!」
「ペッパーはん、此の先に敵が居るさね」
『グルル……!』
エムル・アイトゥイル・ノワの反応に耳を傾けつつ、辿り付くは其れなりの広さの『エントランス』に似た空間、其の中心地に『其れ』は居た。
「サンラク、アレが件の?」
「あぁ、レイ氏の言ってた『コントゥアル・ナイト』だ」
まるで透過背景に線だけで書かれた事で、嘗てはよく見掛けた『ジャングルジム』のような点と線だけで、騎士という形を形成した不自然さを持っている、中身が無い『線画の騎士』というのは確か。
だが其の見た目の貧弱さとは裏腹に、点と線だけで描かれただろう『
「成程。どうやらあの騎士は『
「ペッパー、コイツは俺が相手するわ。エムル達を頼むぜ」
頭に乗せたエムルを手渡し、サンラクがマッドネスブレイカーを二刀流として構え、前に出る。一瞬の静寂、そして双方共に激突する。
「ッ!」
騎士が振るう大剣を躱わしつつ、サンラクが懐に飛び込み肉薄。腕を叩き、続け様に胴を叩けば、騎士が『怯む』。其れでも細く華奢な腕から、下手に受けよう物なら押し潰される威力を以て、刃が荒々しく襲い掛かる。
何より此のモンスター、対モンスターの様に明確に設定された
「中々に手強い………!だが『物理攻撃』が効くなら、負ける気がしねぇんだよ!」
ペッパーがウェザエモン戦でやっていた、攻撃引き付け→回避→攻撃という『ヒット&アウェイ作戦』を、自身の戦法『
「てか、コレ効いてんのかなぁ!?」
レベル99、其れもExtendまで到れども、やはり終盤エリアのモンスターとだけあって、簡単には倒れてはくれない。だが其れでも、サンラクは見様見真似ヒット&アウェイ作戦を展開、コントゥアル・ナイトを殴り続け。
「良い加減ッ────沈め!」
胴体を思い切りぶん殴った所で、線画の騎士は怯んだまま硬直し、細身を構成するポリゴンを爆発させた。
「御見事、サンラク。ヒット&アウェイ作戦を真似てたようだが………よく出来てたよ」
「やっぱ気付くか、ペッパー」
ドロップアイテムは無し、だが対人戦を想定して挑むならば、此のモンスターは悪くないだろう。
「先に進もう」
「あぁ」
地下へと続く道を探し、二人と二羽と一匹は進み続ける。
コントゥアル・ナイトというモンスターは、バリエーションに富んだモンスターでもある。身体付きは同じでも、モーニングスターを振り回す個体だったり、巨大な
「まぁ全員共通して魔法は効かないというのは、事実だった訳だ」
「多分だがコントゥアル・ナイト、アレは『魔力』を媒体として動く『バルーンアート』みたいなモンスターだろうね」
「あぁ、其れだ。ずっと気になってたが、名前が出てこなかったわ」
サンラクが試しにエムルにマジックエッジの指示を出し、コントゥアル・ナイトへ攻撃を当てさせた所、線画の騎士は華奢だった身体が肥大化・強化される光景を目撃した事で、其の手のタイプであると気付き。同時に魔法さえ吸収させなければ斬撃・打撃でも、其れなりにダメージが通るモンスターだと結論付けた。
『ワゥ!ワゥ!ワゥ!』
と、此処で影に潜んでコントゥアル・ナイトとの戦いから離れ、フィールドを探索していたノワが戻ってきた。其の鳴き声は、何かを『発見』したようにも見える。
「ノワ、何か見付けたのか?」
『ワン!』と吠えて駆け出すノワを追い掛け、辿り着いたのは『壁と一体化したかのような破損具合』の、初見では見付かりづらい『エレベーター』であり。エムルやアイトゥイルの、ヴォーパルバニーが一羽でなら通れるくらいの小さな穴からは、隙間風が吹き込む音が鳴り聞こえて来る。
「此の下………だろうな」
「あぁ。間違い無くな」
恐らく何処かに在る『階段』を見付け、地下に向かうのが『正解』なのだろう。そしてサンラクは近くに落ちていた錆びた剣を拾い上げ、穴の中へ突っ込み押し込むや、聞き耳を立て。其れから暫くしてカラーン………と小さな音が鳴ったのを聞き、先に在る穴は相当な深さだと確信する。
「よし、降りるか」
「まぁ、階段探し…………サンラク何て?」
だがそんな中で、サンラクのトチ狂った発言に耳を疑い、全員の視線が半裸の鳥頭に向けられた。
「言葉通りだ。此のまま降りる」
「いや、通れないだろ此の穴じゃ」
「フッフッフ………今の俺は『魔法使い』にだって成れるんだぜ?」
そう言いつつサンラクがはためかせたのは、以前ダルニャータが製作し、アクセサリーとして彼に渡された品の一つ『
「…………?……………!…………?!?!」
そして唯一羽、サンラクがやろうとする事に気付いたエムルが、白毛の顔を真っ青にする中で、彼は種明かしをしてきた。
「此のマントってさ、魔法を
「…………………マジでやる気?」
「マジだ」
「……………解った、取り敢えず『おんぶ』しとく。アイトゥイル、ノワ。確り掴まっておいて」
「は、はいさ!」
『ワゥル』
サンラクをおんぶし、アイトゥイルとノワをエムル共々サンラクの肩と頭に乗せ、そして叫ぶ。
「瞬間転移ッ!」
魔法エフェクトと共に一瞬の、しかし固まった二人と二羽と一匹の座標が、5mという短距離でこそ有れども、壁を通り抜けて穴の中へと移動する。眼下には深淵のクターニッドの第四形態・仮想態時の
「お、落ちッ………!?」
「ペッパー!」
「任せろ!」
漆黒という空間、故に発動条件を充たした
シャンフロにて
「ペッパーさん、凄いですわ………」
「サンラクには劣るよ……あんまり時間は無いから、ちょっとペースを上げるね……!」
アトロフォスの
そしてパーティーは最下層へと到着したのだった…………。
進む意思は誰にも止められない