映像を見終えて
城の地下深く、最下層に在った研究室にて見た、一人の男の終わりの映像記録。クターニッドの撃破報酬として手にした『深淵の警鐘』が、インベントリアの中からジャンジャンと警報を促した其れを見て、
「まぁ、なんだ……。エムル、評価はソイツが何を成したのかで決めるもんだ」
「はいな……あのいけ好かない人、最期の所はヴォーパル魂を感じたですわ……」
「そうさね……確かにあの男は、最期に中々なヴォーパル魂を見せたさね」
エムルとアイトゥイルの発言から、ペッパーはヴォーパル魂という隠しステータスは『強敵に怖れず立ち向かう姿勢』だったり、自身の死地に置いても『自らの存在と力を示す事』であるような気がしてきた。
自身よりもレベルの高い敵─────
「何にせよ、だ。取り敢えず此処が『危険地帯』って事は確かだし、Δ装置を取ったら一気に脱出しちまおう」
「穴の方は俺が警戒しておく。サンラクはΔ装置の回収を、エムルさん・アイトゥイル・ノワは脱出準備を」
役割分担、
「てか冷静に考えたら、あの科学者誰かに装置を渡そうとしてたんだから、自爆装置起動したらギャグか……」
「あ、確かに………」
警戒を厳にしていたのは何も悪い事ではない。レトロゲームでは一撃で操作キャラが死亡するトラップだったり、詰みポイント的なギミックが在ったりと、厄介極まる要素が大量に散りばめられている事が多々ある。
トゥルーエンドに辿り着くには全操作キャラの好感度をMAX、かつ最終章時点で全員生存とキャラクター個別の誓いを聞き届けるという、全レトロRPGでも屈指の難易度&フラグ管理が厄介なタイプが在ったのを、ペッパーは思い出した。
「もう一度来た時には、あのゲロミミズが待ち構えてる………なんて可能性も在るしな。此処でパパパッとやっとくか。エムル、ちょっと静かにしてろよー」
「は、はいな!」
そう言ってサンラクが取り出したのは、ペッパーも購入した『録映の眼珠』という『録画アイテム』。昔は回数制限が設けられていたらしいが、プレイヤー側の猛烈な抗議によって現在は無制限になったという、稀有な事例を持つアイテムである。
再生される男の最期の記録、時折エムルが「ひゅ?!」や「ぴょえ!?」と叫んでは居たものの、録画としては及第点だったようであり、サンラクは頷きながらにインベントリアへと録画アイテムを収納していく。
「じゃあ俺も録画しておこう」
三度目の再生、映像を記録しながらに男が述べた台詞を、ペッパーは考える。
(『アリス・フロンティア』と『ジュリウス・シャングリラ』………此のゲームのタイトルが『シャングリラ・フロンティア』である以上、彼女と彼が『アダムとイヴ』的な関係なのか?)
名字にあるフロンティアとシャングリラ、少なからず関係が有るとして、何を以て『繋がり』が在るのか。
(そういえばウェザエモン・
可能性は無きにしも非ずだが、やはり考察出来る情報が現時点でも少ないのが現実で。此れに関しては一旦、思考の片隅に退けておく事とした。
(空からやって来た………宇宙………方舟………ん?)
バチリ………と、脳内でスパークが走った。彼が言っていた『空からやって来た』という台詞、空は小説等で時々『
そして其れ等を成すには『宇宙船』が絶対に要る。
(セツナさんが言っていた事………クターニッドさんが言っていた事…………どちらも共通していたのは『バハムート達』という単語…………!)
単体では無く複数形。映像の中で言っていた『ジズ』・『リヴァイアサン』・『ベヒーモス』。此れが仮にバハムートであり、宇宙船だとしたならば─────彼の話と破綻する事無く『結び付く』。
(そしてクターニッドさんの言葉の中には『人よ大いなる祖を持つ栄誉を誇れ』と在ったから、二号計画の俺達
けれどクターニッドさんが言ったように、狂える大群青を含めた『始源の胎動』は終わっておらず、再び驚異が世界に襲い掛かろうとしている………という事かな)
現時点で得てきた情報を纏めた『仮説』では有るが、其れでも説得力の有る物に成っただろう。
「其れにしても便利だな、録映の眼珠。
改めて此のアイテムの凄さを再確認し、ペッパーが何気無く眺めて呟いた言葉。其れがサンラクの脳に電流を走らせた。
「ん?…………んんん?データを入れて、持ち運ぶ………ゔぉっ!?」
「サンラク、いきなりど『だぁぁぁあぁぁあぁあああああああ!!』!?」
「ぴゃああああぁぁぁぁあああぁぁあ!?」
其れは彼にとっての『天啓』であり、ずっと今迄──────強いて言うならば『
「嗚呼クソッ!?
「サ、サンラクサンどうしたですわ!? かつてないほどにやべー顔してるですわ!」
「やべー顔にもなるわ! ああくそ、今の今まで完ッッッ全に忘れてた!!」
サンラクの
ユニークモンスター・墓守のウェザエモンを討ち果たし、サンラクと
「戦術機獣は駄目だった………!アイツ等は携帯端末みたいなモンで、本格的な作業は出来ないんだろう……!だがコイツならどうだ!?」
ホログラムを再生していた筐体を、嘗め回す様にサンラクは探し回って。出力する場所にあった窪みを発見、意を決してサンラクが其処にキューブをセットした瞬間に、光が満ち溢れて彼の瞳から脳に。
解放される絶技、掴む真実の断片