VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

414 / 1074


やるべき事をやろう




ガンズ・アンド・デュエル、セットアップ

GAME-SHOP ロックロールにてずっと探していた『戦場のヴァルキュリア』のソフトを見付け、更にサンラクが購入した物と同じ『龍宮院富嶽全面協力! VR剣道教室・極』と共に八千円の出費をコストに手にした梓は、自身の住まいたるアパートへと帰って来た。

 

「お、ちゃんと防水加工で届いてるな」

 

玄関の扉と一体化したポストには、昨日注文した『デュエル・ガンナー』のソフトが郵送で届いており、梅雨の時期に対応した防水包装状態で入れられているのを見ながら、其れを手に取ってから鍵を開けて部屋に入り、鍵とチェーンを掛け。リュックサックを置き、手洗い&うがいをして、梓は早速夕食の調理を始めた。

 

食材としてレタス・水菜・ピーマン・人参・大根を野菜室から、別区画に置いた油揚げと味噌に、生鮮食品室から鮭の切り身を一切れ取り出し。野菜達は一人前分だけ切り出した後に冷蔵庫へ戻し、水洗いを行った後にレタスは手で一口サイズに千切って、水菜は三センチ間隔のピーマン・人参・大根の三種類は千切り。

 

器に千切り済の野菜達と少量の水を入れ、レンジで一分の加熱をする間にレタスをサラダ皿に乗せつつ、フライパンと味噌汁用の鍋を取り出して、一人前分の水を加えてカット乾燥若布を鍋に、火を掛けながら蓋をする。そしてレンジでチンした野菜は取り出して水気を切り、レタスが乗った皿にパラパラとまぶした後、オリーブ油を一回ししてサラダは完成。

 

俎を洗い、油揚げを短冊切りにして鍋の中へ、フライパンに油を敷いて火を付け、熱が巡ったタイミングに空かさず鮭を投入・表面を焼きつつ、味噌汁の鍋には味噌を溶かし味を調整。鮭は引っくり返して焼きながら御碗に味噌汁、茶碗には炊飯器に残っている白米を全て盛り、マグカップには牛乳を一杯注ぎ入れれば。

 

「よっし、完成!」

 

献立は焼き鮭・野菜のサラダ・牛乳・油揚げと若布の味噌汁・白米の計五品からなる、和を主体とするヘルシーな物となった。スマフォで撮影し「いただきます」と合掌。十五分掛けて完食した後に、彼は「御馳走様でした」と合掌してから調理器具・食器を洗い、米を磨いで炊飯器に入れて朝六時に炊ける様に予約し。

 

布団を敷いて、トイレとシャワーを浴び。寝間着に着替えて、ドライヤーで髪を乾かし。水分補給を行い、彼はいよいよデュエル・ガンナー………通称『デュエガン』をプレイする。

 

「さぁて………プレイアバターの決定とキャラクリに、初心者推奨ミニゲームをプレイしてから、シャンフロに戻って交渉に赴かないとな。時間は有限、手際良く行こう」

 

ヘッドギアの確認や水分補給用の水を近くに置き、シャンフロのソフトからデュエガンのソフトへ切り替える。説明書を一通り読み、そして布団に仰向けになった梓は、シルヴィア・ゴールドバーグへのリベンジに向けて、新たなる修行場へと飛び込んで行く。

 

デュエガンの利用規約を閲覧しサイン、そして梓はキャラメイク画面と相対する。

 

「さて、どんなアバターでプレイしようかな………」

 

アバターの性別は無論男性で決定、続いてアバターの製作に入る。此のゲームは体格は勿論だが、何よりも『筋力のバランス』が銃の抜き撃ちに直接(・・)関わるらしく、単純なゴリマッチョでは銃を速く抜いて撃てないし、逆に細過ぎる身体では銃の重さに悩まさせれて銃撃の領域にも立てない。

 

そして此のゲーム、何とまさかの『フルスクラッチ推奨』という厄介さを秘めている。一応ゲーム側で用意されたモデリングを採用し、実際に操作してからプレイする事は出来るものの、やはり本格的に勝ちに行くのであればフルスクラッチが絶対条件………もとい『通過儀礼』の様な関門でもあるのだ。

 

「フルスクラッチかぁ………一応苦手なプレイヤーの為の措置として、体格を読み取って基礎形体をしてくれるとはいえ、其れに任せっきりって訳にもしたくないし………。うん、後学の為と思ってやってみるか!」

 

 

 

 

 

 

一時間半経過─────────

 

 

 

 

 

「まぁ、うん………此れで良いかな?」

 

リアルの自分を鏡写しにした顔立ちだったので、右頬と左顔面には斬り傷痕、右目は青で左目は白のオッドアイ。身長170cmで細身な男、筋肉は程好く付き腹筋は割れ、初期装備を装着している姿をした、デュエル・ガンナーの世界に置ける己の分身(アバター)が出来上がった。

 

「次は銃……選べるのはハンドガンか、リボルバーか」

 

アバターを製作し終えた所で、続いて表示されるのはアバターが使う此の世界(ゲーム)の武器の選択。ポイントを稼げば色々なパーツが解放されて、カスタマイズや新型の銃が増えていくのだが、初期段階でプレイヤーが使えるのは、早撃ちに秀でたハンドガン or 破壊力に秀でたリボルバーの二種類のみ。

 

だが此の二つの銃種はオンライン対戦モードでもレギュレーションとして使われ、月に数回行われるゲーム内の大会イベントでも此等を基準に戦うといった形で、プレイヤーの間では非常に深く浸透しているのだ。基本であるが故に奥深く、単純であるが故に使い手の技量が物を言う。そういう銃達なのだ。

 

「早撃ちだけならハンドガン一択なんだろうけど、生憎俺はロマン思考も有るんでね………!」

 

彼が選択したのはリボルバー、弾丸を発射する口径が大きければ『弾道変化』は少ない。ましてやハンドガン、其れも弾速に絞り込んだ『スピード一極タイプの銃弾』ならば。側面でぶつかり合ってもブレたり、明後日の方角へ飛んで行く事も防げる。

 

今の自分に………否、初心者にとって何よりも大事なのは、速さ以上に先ず確実に(・・・)弾丸を対象に届かせる事、此れに尽きるのだ。

 

「銃や弓の早撃ちはアルバイトと『同じ』だ。先ずは速さよりも時間が掛かって良いから『確実性』を求め、其処から速く動けるようにしていく事が重要になる」

 

アバターと使用武器が決定し、最後に決めるのはプレイヤーネーム。だが、此れに関しては何にするか決めている。

 

「プレイヤーネームは『ペッパー・ミニョネット』。よし、決定………!」

 

全ての制作行程を終了、VRゲーム共通の注意表記が表示され、其れを読んだ後に梓の身体は電脳世界の、デュエガン世界の『ペッパー・ミニョネット』となっていく。

 

同時に始まるのはオープニング。スキップ機能は有るのだが、やはり世界観を知って理解を深めるにはスキップは勿体無いと、其のまま流していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

此処は別次元に存在する、チキュウと呼ばれる惑星。

 

人間の発展と共にサイバーテクノロジーの発展が、人類とチキュウに更なる進化をもたらした。高層建築が建ち並ぶ超未来の都市の数々、人の手で作られたロボットにより、世界は新次元に到達していく。

 

だが行き過ぎた発展は貧富の差を広げ、犯罪の横行や環境破壊を押し進めた。富める者に虐げられた者達は、立ち上がる。争いの火種は水面下で燻り、発展の影に崩壊への足音が静かに鳴り響く。

 

君は何者にも成れる…………世界を破壊する事も、世界を守る事すらも。

 

其の引き金を、お前は誰の為に引く?

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼は、此の世界に生まれ落ちた。

 

 

 

 






いざ行こう、新たなる世界に


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。