VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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交渉に向かう




即死の呪文で最強の盾を釣る

「ふぃ~………スゲェな、デュエガンの世界………!」

 

およそ一時間近くを初心者用ミニゲームで潰したペッパー・ミニョネットは、此の日のデュエガンを切り上げて現実世界(リアル)の梓へと戻った。

 

「超未来的な銃火器もそうだが、やっぱり一番凄いのは『銃の重さと銃撃時に襲い掛かる反動』だな。両手の痺れが結構響いてたわ………!」

 

ブシカッツォがオススメしたデュエル・ガンナー、一対一の早撃ち決闘スタイルを主流とする、ガン・VS・シューティングゲームであり、初心者用に設置されたミニゲームも様々な難易度設定によって、反射神経や動体視力が優れていないプレイヤーでも訓練の積み重ねによって、上達出来るようになっていた。

 

「ただまぁ動体視力を鍛えるからか、目にズシンと重い物が乗った気分だ………。ゆっくり休みつつ、毎日ログイン出来るように頑張ろう…………」

 

翌日には目の筋肉痛になりそうだと不安を抱きつつも、梓はデュエル・ガンナーのソフトをヘッドギアから外し、新たにシャングリラ・フロンティアのソフトを挿入。一旦水分補給とトイレ休憩を済ませ、十八分の仮眠を取る。

 

そして十八分後にアラームが鳴って、目覚めた梓は身体を伸ばし、スマフォを使ってシャングリラ・フロンティアのwikiにて『ある項目』をチェックした後、ログインするのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペッパーはん、こんばんわなのさ」

『グルル♪』

「やぁ、アイトゥイルにノワ。早速だけど今日はジョゼットさんと聖盾輝士団を、味方側に付ける為の交渉に向かう。二人には出来るだけ隠れた状態で話し合いに行かないと、色々と厄介な事になるから頼むよ」

「はいさ」

『ワン!』

 

アイトゥイルをコートの中に入れ、ノワを影に擬態させ。伝書鳥(メールバード)のフクロウを使って、ジョゼットとSOHO-ZONEの二人に訪問可能かの確認メールを送り。暫くしてメールが返ってきた。

 

内容として、ジョゼットからは『今から一時間であれば時間を作れる。聖女様も貴方がもうすぐ到来すると予知しておられた』と有り、SOHO-ZONEからは『午後八時以降ならば何時でも』と返信が。

 

会う順番を決めてアイトゥイルが開いたゲートを通り、ペッパー達パーティーはフィフティシアの裏路地へと赴くや、暗闇に紛れてフィフティシアに在る聖盾輝士団の本部にして、慈愛の聖女 イリステラが居る教会………其の裏口へとやって来た。

 

「む、何者………えっ、ペッパーさん?あれ、()じゃないっけ?」

「ロールプレイ崩れてますよ?」

 

男の姿で会っていた話題のプレイヤーが、まさかの()に成って現れる等と誰が予想出来ただろうか。

 

「ジョゼットさんには話は通しています。今回は何れ起きるであろう『黒狼(ヴォルフシュバルツ)との戦争』に備えて、聖盾輝士団の御力添えを頂きたく馳せ参じました」

「コホン………団長から話は聞いております。どうぞ此方へ」

「失礼致します」

 

動揺も数瞬、ロールプレイガチ勢の本気度を目の当たりにしながら、聖盾輝士団団員に案内されたペッパー達は、教会内を歩いて懺悔室の前まで来た。

 

「団長、ペッパー様を御連れ致しました」

「解った。此処からは私が、君は配置に戻れ」

 

「はっ!」とハッキリした声と共に戻る団員を見送り、其の直後に扉が開かれる。中からはジョゼットの「入られよ」と厳格なロールプレイで作った声が聞こえて、ペッパーは「失礼致します」と部屋へ入る。

 

「よくぞ参られた、ペッパーど………の…………」

 

室内に居たジョゼットは、ペッパーの姿を見た瞬間に硬直し。其の視線は何処か『舐め回す様な』物を以て、今は女アバターへと変わっている彼を見詰めている。

 

「?」

キリッとした吊り目で中性的な男装麗人に近い見た目、えっ立ってるだけで無自覚にエロス振り撒いてんの?歌劇団の主演女優だなんて言われても、絶対見間違えるでしょ強くない?圧倒的なイケ女じゃないのヤバいじゃない…………

 

小声かつ早口で何かを喋っているジョゼット。一体何が起きているのか、ペッパーには解らない。

 

「……………あの、ジョゼットさん?」

「…………あ、うむ、すまない。随分と様変わりしたようだが、何故に男性から女性に?」

「クターニッドさんの撃破報酬で手にした物で、性別を入れ換えられる様になりまして。現在は男性から女性に成ってます」

「そうか………周回(ヘビロテ)出来ないのかな、そうしたら他の男子勢全員女の子に出来てパラダイスなのに

 

聞いたら駄目な言葉を聞いた気がしたペッパーは、若干ジョゼットに対して引き気味になるものの、本題を済ませるべく懺悔室にて話を始める。

 

「………と、ジョゼットさん。今日来たのは何れ起きるであろう黒狼と俺達旅狼(ヴォルフガング)が戦争となった時に、自分達の側に付いて欲しい事を御願いしに参りました」

「良いわよ」

「えっ」

「だから良いわよ。私達聖盾輝士団は旅狼に協力するって。何よりイリステラ様が、ペッパーさんに会いたいと仰ったからね」

 

二つ返事であっさりと決まってしまった協力要請に、ペッパーはジョゼットやイリステラが何か裏に隠しているのではと、警戒心を持ち続けていた。

 

「ただし、協力要請の代わりに『一つ』。ペッパーさんにやって貰いたい事が有るの…………」

「!」

 

最大防御直々のミッション。手合わせか、或いはイリステラからの御使いか。ロールプレイングガチ勢クランが、一体何を仕掛けてくるのかとペッパーは身構えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私を壁ドンして股に片膝を差し込んで、耳元で『悪い子だ………仔猫ちゃん』って囁いて欲しいのよ」

「何て?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりにも予想外処か、自分が想像していた斜め上にブッ飛んでいたジョゼットに対し、ドン引きを通り越した形容不可能の感情を抱くには充分過ぎて。協力要請取り付けの為、仕方無くペッパーはジョゼットのオーダー通りに壁ドン&股に膝の挿し込み、そして────『悪い子だ………仔猫ちゃん』と耳元で囁き。

 

其の台詞によってジョゼットはヘブン状態と化し、過呼吸を起こしてブッ倒れたのを見届けて、ペッパーは「えぇ…………」と言葉を溢した。そして彼女()は他の団員を呼び、ジョゼットが倒れた事に対して謝罪、同時に青の聖杯はTPOを考えた上で使わないと、大変な事に成ると再認識するに至る。

 

同時に此の一件以降、聖盾輝士団の団員達の間にはペッパーに対する、新しい異名が広まる事になった。

 

 

 

 

 

曰く『性の最大火力(セクシャル・アタックホルダー)』─────と。

 

 

 






新たな異名


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