友との交渉
稼働する銃──────其れはクラン:ウェポニアが結成当初からずっと探し続けていた
「本、物………?本物の………銃………!?えっ、本物………???」
驚愕と興奮に打ち振るえながら長銃────形状から察するに『狙撃銃』だろう其れを見ながら、SOHO-ZONEはペッパーを見る。其の瞳孔はギラギラと血走り、荒々しい呼吸から並々ならぬ感情が渦巻いており、受け答え次第では『タダ事では済まない』ような気が、ペッパーはしてきた。
「以前インベントリアの事に関して言ったとは思うけど、ウェザエモンさんの撃破報酬として初期メンバー五人の共通の逸品、其の中に『共有状態』で入っていた物の
規格外武装:大砲型【レグルス】
規格外武装:双銃型【カストル・ポルクス】
規格外武装:長銃型【サジタリウス】
其れがインベントリアの中に入っていた、
「………ん?一つ、という事は…………、別の……銃も?!」
「えぇ………まぁ」
「ち、因みにトレードとか出来ないのか!?」
「いや、駄目だが」
「其処を何とか!」
「駄目」
「じゃあせめてスクショを………」
「開示するのは
「解った、約束する」
「即断即決かよ………」
硬い笑顔で答えれば、物々交換しようとしたので確固たる意志を以て回答を示せば、SOHO-ZONEはションボリと落ち込んで。せめてスクショを撮りたいと言ったので、ゴタゴタが全て解決してからという条件で落ち着いて貰う事にした。
「…………コホン、えっと………
「あぁ。其の人に預ける形になるし、直すにしても相応の時間が掛かる。其れでも良いなら、俺から渡りを付けられるけど」
暫しの沈黙、SOHO-ZONEがペッパーの目を見詰め続ける。対してペッパーは事実を述べただけであり、瞳孔に嘘を付いた時に起きるブレは起きず。最終的に目頭を押さえて深く深い息を吐いた後、徐に立ち上がるやサジタリウスのスクショを数十枚撮った後、彼は「少々御待ちを」と言って何処かへと向かって行き。
SOHO-ZONEが戻るのを待つ間に、ペッパーは様子を見ていたウェポニアの構成員からサジタリウスや名前隠しのコートに付いての質問に晒されながら、SOHO-ZONEに話したようにゴタゴタが終わってからという事を伝えながら、待つ事数分。
SOHO-ZONEがクッションに乗せて持ってきたのは、土錆色に変色した片手サイズの物体。だが確りと観察すれば、
「コレ………もしかして
「えぇ。色々な武器を調べて、様々な研究を行って来た我々ウェポニアが、シャンフロに銃が存在すると
「敗北の歴史の象徴………?」
ペッパーの疑問に対して、SOHO-ZONEは語り始めた。彼曰く────シャンフロのゲームに置いて、現実で作った『図面』が鍛冶に用いる事が可能という事実が発覚した時より、鍛冶師プレイヤーはシャンフロ内での武器の製作を。即ち『ハンドメイドガン』を目指し、研鑽を積み重ねてきたのだという。
だが同時に『精密過ぎるパーツはゲーム側では作れない』という事実が発覚し、鍛冶師プレイヤー達は別の方向で『銃』を作り出さんと、魔法系統武器に魔力射出能力を加えた物を作り…………無理に形状を変え過ぎた結果、武器として『破綻』。ある意味『本末転倒』の結果を向かえたとの事。
「クラン:ウェポニアは様々な鍛冶師プレイヤーやNPCと繋がりを持っては居ますが………やはり誰にもコレを直す事が出来ず。プレイヤー最高峰の鍛冶師である『イムロン』氏でも、銃を作る事も直す事も叶わなかったのです」
「イムロン………?あ、確か前に言ってた『槌の勇者武器所持者』の」
「えぇ。クラン:ウェポニア内でも彼に憧れている鍛冶師プレイヤーは多いですし、ウェポニアは独自のコネクションを構築してます。あの人が作る武器は一級品で、中々面白い性能をしているものも多い。例えば──────」
あ、コレ長くなる奴だと半ば確信しつつ、話を聞く事一時間弱。漸くイムロンが作った武器に関する話をSOHO-ZONEが終えた所で、ペッパーは本題へと話を戻しに掛かる。
「で、ソウちゃん。どうする?」
「……………アズサ、頼んだよ」
「心得た」
SOHO-ZONEとウェポニア、延いては鍛冶師プレイヤー達の、幾度も挑めども越えられない『壁』を越える。其の為の鍵をペッパーは託されたのだった………。
同時刻、シャンフロ第8の街・エイドルト。各街に在るNPCカフェ・蛇の林檎、其の水晶街支店にて三人のプレイヤーと一羽のヴォーパルバニーが集っていた。
一人は半裸にして鳥頭の端から見てもHENTAIファッションたる男・サンラク。そして彼のパートナー、そしてヴォーパルバニー・エムル。
一人はユニークモンスター・深淵のクターニッドを討伐メンバーとなり、クラン:SF-Zooのスカウトを蹴って
一人はシャンフロ最高峰の呪術師にして、レーザーカジキの実の姉に当たる、動物狂いのクラン:SF-Zooを率いるリーダー・Animaliaが、今宵カフェの一室にて向き合っている。
「サンラクさん、何かしら?レーザーカジキさんの身柄の引き渡し交渉に来たの?」
「そうだな、園長さんよ。レーザーカジキは俺等のクランへ入ろうとしてる………ソイツを邪魔するってのは、些か『横暴』ってヤツじゃあねぇか?」
自身も一人の妹を持つ『兄』であり、家族が各々の『世界』を持っている。そして妹の逞しさを知っているからこそ、引き下がる事はしない。
「レーザーカジキさんはね…………、まだまだ私からすれば『弱い』のよ。私が見てないと何仕出かすか、解った物じゃないわ」
「Animaliaさん、僕は………ッ!!」
「おーおー、過保護で家族愛なのは良い事だ。が………アンタはレーザーカジキの事を『ちゃんと見てたのかい』?」
リュカオーンとの遭遇戦に、ルルイアスでの死闘、そしてクターニッドとの決戦と、レーザーカジキは要所要所で己の成すべき事を成し遂げた。男子三日会わざれば刮目せよと言うように、彼も姉の知らない所で成長・進化している。
サンラクがチラリとレーザーカジキを横目で見るや、少年が頷いたのをトリガーとしAnimaliaへ言った。
「ぶっちゃけるが、レーザーカジキは………何だっけ『パワーゲート』?なる魔法を繰り出せる。何でも魔法の中じゃ
サンラクの其の言葉にAnimaliaの視線が、レーザーカジキに注がれる。魔法系統の中でも『門魔法』と呼ばれるカテゴリーに属する其れを、彼が所持している等と彼女は知らなかったのだ。
「其れに俺達もタダでレーザーカジキを引き込みたいって訳じゃねぇ。
一部脚色を加えつつも、サンラクがインベントリを操作・取り出したのは『一枚』の写真、其れをスッ……と彼女へ見せる。
「あ………」
「動物の写真?そんな物で私が釣ら………は?!?」
レーザーカジキは「其れは」といった感情を、逆にAnimaliaはガタッと立ち上がる。其の写真に写されていたのは─────『ルルイアスの地にて魚の切り身を食す、夜襲のリュカオーンの小さな分け身たるノワ』が在ったのだから。
「リュカオーンの小さな分け身、ソイツのブロマイドを俺達旅狼は『生産出来る』。其の写真の御代は入らねぇ、レーザーカジキの独立を認めてくれりゃ其れで良い」
「良いわよ、レーザーカジキさんを連れて行って。ただし…………此のブロマイド、時々で良いから私に卸して頂戴な………!」
結局動物というか、物で釣られるチョロ甘なんだよなぁ……とサンラクは思いつつも、交渉は無事に成立。続いてクラン:旅狼が黒狼との戦争になった場合、此方の陣営に協力して貰う為の交渉へサンラクは入ったのだった………。
尚協力に関しては、二つ返事で交渉成立となった事を記載しておく。
各々の決着