VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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実戦的訓練の真髄




強き心揺らがぬ限り、人は諦めを知らない

ユニークシナリオ【兎の国からの招待】────其れはユニークシナリオEX【致命兎叙事詩(エピック.オブ.ヴォーパルバニー)】に繋がる前提ユニークであり、内容としては『受注プレイヤーよりもレベルが高いが、機転を効かせての攻略が可能な、10体のモンスターとの戦闘』である。

 

其のモンスターも『単純な高スペックモンスター』・『ギミックモンスター』・『特定の行程を踏まなければならないギミックモンスター』の何れか三種類であり、何より『致命武器オンリー』という絶対条件以外、アイテムの持ち込みを禁止していなかったりと、意外にも抜け道が多い。

 

ヴァイスアッシュがクリア条件を指定したり、毒消し薬で薬漬けにして無効化出来たりと、おそらく戦い方や見方を変えれば、其のモンスターは倒せる様に出来ている。

 

 

 

では。

 

 

奇跡的な偶然が重なった事により、致命魂(ヴォーパルだましい)首輪(くびわ)という極めて優れた(ブッ壊れな)ステータスポイントボーナスを持つアイテムを装備し続けた状態で、かつユニークモンスター二体に深海三強の一角を含めた強敵と戦い続け。

 

其の結果として通常プレイのプレイヤーを遥かに凌駕し、レベルダウンビルド済に匹敵するステータスを獲得していたり。首輪を着けずとも、既に幾度かのレベルダウンビルドを経験したプレイヤーだったり。

 

或いは既にレベルカンストのプレイヤーが此のユニークシナリオに挑んだ場合、相対するモンスターは一体どうなるのか──────其の答えが此方になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うわぁ………』

 

レトロゲーマーとして多種多様な様々なジャンルのレトロゲームをプレイしてきたペッパーと、ありとあらゆるクソゲーを制覇してきたサンラク。

 

シャンフロをほぼ最初期からやって来たサイガ-0とペンシルゴン、そしてフェアクソを越えてシャンフロを其れなりにプレイしているレーザーカジキですら、其の光景に対して『ドン引き』の感情を以て言葉を溢した。

 

「あぁっ……!また首を掴まれて、斬られ……ぴうっ」

 

一体幾度目の挑戦なのか、はたまた何体目のモンスターなのか知らないものの、触れようものなら一発アウトに等しい『ドス黒の瘴気を喪服の形に変えて纏い』、自信の周囲10mに同等の瘴気を撒き散らす姿は、生きとし生きる全ての命を狩り取る『死神』としか例えられないモンスターで。

 

翳した其の黒い影と生気を感じない手の中に、挑戦者たる秋津茜(アキツアカネ)が転移させられ、一体幾つの命を狩り取ったのか判らない程に、変色した血と悪意の黒で塗り潰された『死神の大鎌』に首を断たれて、コロッセオの地面に頭が落ちる光景を目の当たりにした。

 

「ねぇ、アレが何なのか解る人居ます………?」

「シー兄ィよ、アレは確か『黒死の天霊(トゥルー.クワイエット)』なるモンスターで御座ったか」

「ウム……親父殿しか捕まえることは出来ないだろう、死の権化たる最上位の『精霊』に御座る……」

 

エストマとシークルゥの説明を聞いて、此の場に居る開拓者五人は更にドン引きになる。

 

「よ、よぉ~し!流石に私にはアレは来ないでしょう!茜ちゃーん!ちょっと交代してー!」

「あ、ペンシルゴンさん!解りました!」

 

秋津茜と交代し、リスポーン地点を更新したペンシルゴンがヴォーパルコロッセオへと立ち、彼女の付き兎たるゼッタがペンシルゴンの一体目となるモンスターを、コロッセオに投入する。

 

「マジかぁ………お前がペンシルゴンのシナリオの一体目かぁ……」

「ペンシルゴン……コリャ御愁傷様だわ」

 

其れを見た瞬間、ペッパーとサンラクは心の中で合掌し。ペンシルゴンの前に現れたのは『全身に金色の水晶を纏い』、巨大かつ戦闘特化へと進化を遂げた『前鋏』と『針』に『体躯』。

 

ペッパーにとってはソロプレイの狩りで、其の実力を見せ付けられたし、サンラクにとっては一方的に親しみ、マブダチとの愛称で呼ぶ強敵────『金晶独蠍(ゴールディ.スコーピオン)』が、彼女の前に立ち塞がったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや何あの金色蠍!!毒液飛ばすわ、馬力が違うわで、五分足らずで吹き飛ばされて死んだんだけど!?」

 

金晶独蠍との初戦、殆ど何も出来ずにボコボコにされた挙句、死亡した瞬間に発動されたスキルを用いても尚、致命傷に至らなかった金晶独蠍を見ながら、ペンシルゴンがリスポーン。イライラ&歯軋りする表情を見たペッパーは「コレ後で自分に対する跳ね返りがヤバく無い?」と、背筋に悪寒を感じていた。

 

そしてペンシルゴンと交代で入り、リスポーン地点を更新したサイガ-0の一体目は、背中と背鰭と尻尾が『鋸形状』に進化している、鰐の顎を三倍以上に発達させた様な、重量級のスピノサウルスこと『ドラクルス・ヴィルザーク』というモンスターが相手として現れる。

 

「…………斬れそうな背中だよなぁ、アレ」

「剣や刀の素材にしたら、鋸に出来そうな気がする」

「何て言うか……まぁたヤバそうなモンスターだね」

「わゎ……凄い、ですね……!」

『ガルル』

 

初見の相手の情報とモーションを見る為に、スレッジハンマーを担いで距離を取ったサイガ-0。其れに対してドラクルス・ヴィルザークは自ら回転して、尻尾を思いっきり振り回す。

 

すると其処から物凄い勢いで鋸状の刃麟が、プロの投げナイフ使いが如く飛び出して、サイガ-0の真横や真上に股下、更には顔や胴体を狙い飛んできた。

 

「ッ─────!」

 

が、其処はサイガ-0。攻撃を回避から素早く体勢を立て直した、其の瞬間。ドラクルス・ヴィルザークが徐に己の顎を鳴らした時、飛んでいた刃麟が爆発して『音』による衝撃波と斬撃波が発生。

 

其れを受けたサイガ-0の身体からポリゴンが飛び散り、其の巨体が膝を着いた。

 

「…………今の攻撃って防御貫通?」

「多分防具無視の空気振動による斬衝撃か?」

「アレ時間差だから、懐に飛び込まないと駄目なパターン?」

「何か凄いですね!あのチェーンソーサウルス!」

「スピノサウルスですね、秋津茜さん………」

 

其れでも倒れない最大火力(アタックホルダー)、だが再び襲い掛かるドラクルス・ヴィルザークの顎鳴らしから発生した斬衝撃に斬り刻まれ、サイガ-0が死亡し落ちる。

 

「…………マジか」

「レイ氏が何も出来ずに殺られた……」

「わわわっ………」

「うーん、仮にあのスピノサウルスどうやって攻略するんだろうねぇ?」

「あのレベルのモンスターを相手にするんですね………。じゃあ、行ってきます………」

 

そしてサイガ-0に変わって、ヴォーパルコロッセオに備え付けられたベッドでリスポーン地点を更新し、実戦的訓練の1体目に挑んだレーザーカジキの相手が、火・水・風・土の四属性を纏う精霊の『クインタ・エレメンツ』なるモンスターであり、彼も倒さんと抗ったが戦闘開始から僅か三分で大火力の水魔法に押し流され、敢え無く撃沈する結果となった。

 

「レーザーカジキ、レベルは今幾つ?」

「えっと、レベル99とExtendです……」

「金晶独蠍クラスかぁ………」

 

四人が猛烈に大苦戦しそうな予感を抱き、秋津茜がリベンジに挑む姿を見、再び転移させられて首を斬り落とされる光景を目の当たりにしていた時、ふとフワリと風が過る。ペッパーが其の方向を見ると、ラビッツの頭を張っている『ヴァイスアッシュ』が其処に居た。

 

「先生!」

「ヴァッシュの兄貴、御晩ですぁ!」

「お、兄貴!御久です!」

「あ………先生、こんばんわ……です」

「師匠、御久し振りです!」

「おぅ、全員挑み始めたみてぇだなぁ」

『グルッ』

 

ペッパーとサイガ-0は先生・サンラクとペンシルゴンは兄貴・レーザーカジキと秋津茜は師匠と、ヴァイスアッシュを呼ぶ。対してカカカッと軽く笑い、煙管を噴かせている。そしてサンラクが御使いとして頼まれていた、三つのΔ装置をインベントリアから取り出しながら、彼に言ったのだ。

 

「兄貴から頼まれていた『件の物』、ペッパーと一緒に取って来やした」

「おうおう。随分と早く見つけたじゃあねぇかい……俺等(おいら)ぁは、もうちぃっと掛かると思ってたんだがなぁ」

「サンラクも俺も、壁を駆けて空を舞いましたからね……」

 

帰り道は黒狼(ヴォルフシュバルツ)の過激派に追い回されたが、全員無事逃げ切れたので問題無しである。そんな事を思っていると、ヴァイスアッシュはペッパーとサンラクを見ながらに言ってきた。

 

「ペッパー、サンラクよう。おめぇさん達が持ってる『兎月(とげつ)達』と……『おめぇさん達が(つえ)ェと認めたモンスターの素材』、ソイツも一緒に渡しな」────と。

 

ユニークシナリオEX【致命兎叙事詩】の進行と共に起きる、神匠(しんしょう)・ヴァイスアッシュによる致命武器(ヴォーパルウェポン)の真化イベント。おそらくだが、プレイヤーの渡したモンスターの強敵度合いや、希少素材等により武器種や性能面にも変化が顕れると見て良い。

 

自分とサンラクはウェザエモンを見据えての真化だったが、今回は六人居るので各々の武器や性能に関する情報を纏められるだろう。最終的にヴァイスアッシュと戦うのか、はたまた別の存在と戦うのかは解らないものの、此の武器達がユニークシナリオの()になっているのは間違い無いのだから。

 

では、彼に渡すモンスターの素材は何が適切か?という質問に対して、ペッパーは『強敵だった!』と自らが納得出来る(・・・・・)存在を選ぶ。武器や防具の製作にビィラックへ渡し、インベントリアの中に残る余った素材を見て、彼は『女帝鮟鱇の酔頭篭』を取り出し。

 

サンラクもまたインベントリアから『冥帝鯱の扇薙鰭』と、様々な鉱石を溶かし混ぜ合わせて合金(・・)にした色を持つ『金晶独蠍の甲殻』、そして『大妖蝦蛄の髭』をヴァイスアッシュに見せながらに言った。

 

「スレーギウン・キャリアングラーの桃燈…………兎月(とつき)暁天(ぎょうてん)】で戦い、アイトゥイルとノワの援護で何とか倒した強敵でした。素材にするなら相応しいかと」

冥帝鯱(アトランティクス.レプノルカ)"覇頭衝角(プロモスピア)"と金晶独蠍(ゴールディ.スコーピオン)"皇金世代(ゴールデンエイジ)"、そして大妖蝦蛄(キリューシャン.スフュール)の素材…………何れも一筋縄では行かぬ強敵ばかりで、特に皇金世代は敗れこそしましたが、最終的に片眼を穿ち甲殻を引き剥がしてやりやした」

「おぅおぅ、面白ぇじゃあねぇか……。こりゃあビィラックの奴ァ、笑えねぇなぁ……」

 

サンラクの言葉からペッパーはあの金蠍に不世出個体が居るのかと驚き。対するヴァイスアッシュは、ニヒルな笑みを浮かべながら、兎月と素材達を受け取る。其れを見届けたペッパーは、ヴァイスアッシュに一つ質問をしてみた。

 

「先生。もし御許しを頂けるならば、俺とサンラクが先達として、妹弟子や弟弟子にアドバイスを送る事は出来るでしょうか?」

 

ペンシルゴンやサイガ-0がボコボコにされた強敵であり、何よりクランリーダーとして彼等彼女等の力に成りたい。そんな彼の想いが宿っていて。

 

「そりゃあ構わねぇ。おめぇさんが兄貴分として手助けしてぇってんなら、俺等ァは止めやしねぇよ」

 

彼はそう答えてくれた。

 

「ありがとうございます、先生!」

「ありがとうございやす、兄貴」

 

間接的では有るものの、四人のユニークシナリオで戦うモンスター達の攻略を、此方でも手伝える事が決まった。問題は自力での攻略を行って貰う為、如何にヒントを上手く伝えるかになるだろう…………。

 

 

 






攻略法を探せ








ドラクルス・ヴィルザーク

新大陸の樹海に生息している鰐の顎を持つスピノサウルス型のモンスター。背中・背鰭・尻尾に生えた鋸状の刃麟こと『凶音刃麟』を飛ばして地面に差し、顎から発生する特殊な音階で空気を振動・対象の保有するマナを暴走させて内部から斬り刻むという、圧倒的な初見殺しを仕掛けてくる。

実は対象のマナが多い程に此の空気振動のダメージは加算される&体力への固定ダメージなので、魔法職は天敵レベルでブッ刺さり、逆に魔法を用いない物理職の方が優位に動けるモンスター。

じゃあ魔法職はコイツに勝てないのか?実はコイツ、顎の物理耐性はカチコチなのに、魔法耐性は微塵も無いのが特徴。例を挙げると初期魔法一発で機能不全を起こす欠陥っぷり。







クインタ・エレメンツ

シャンフロの基本魔法属性たる、火水風土の四属性を同居させて纏う精霊であり、滅多に御目に掛かれないレア中のレアモンスター。出現条件としては、四属性のマナが均一に保たれた場所にしか現れないので、基本的には遭遇出来る事自体が稀&ランダムエンカウント出来るユニークモンスター以下の遭遇率を誇る。

一応魔法を用いて人為的に出現させる事は出来ても長くは持たないが、姿を見せたら見せたで大火力の魔法を叩き付けて暴れてくるので、遭遇=パーティーの壊滅or全滅はザラ。危険度はアトランティクス・レプノルカに比肩し得る。

そんなクインタ・エレメンツは自身の存在を確立せんとし、魔力を求めて顕れる。要するに『腹ペコ状態』で出現するので、兎に角攻撃を躱わして腹を満たすまで魔法を均等に叩き込め。




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