VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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会談を終えて




甘美なるワンショット・キル・ボイス

旅狼(ヴォルフガング)黒狼(ヴォルフシュバルツ)によるクラン対抗戦。一週間後の日曜日の夜、七対七による星取り戦形式で最終戦まで行い、勝ち星を四つ上げた方が勝利となる大勝負。

 

七対七……自分・ペンシルゴン・サンラク・オイカッツォ・京極(キョウアルティメット)の五人は出場するとして、さて残り二枠は誰を入れるべきかと、頭の隅にて思考する。

 

「…………で、ペンシルゴンよ。何故に俺とサンラクは宿屋に移動した訳さ?」

「おうおう、ペンシルゴン。其処んとこの話を聞こうじゃねぇか」

 

会談終了後に現地解散したペッパーは、黒狼館から退出後、サンラクと共にペンシルゴン・ジョゼット・Animalia・SOHO-ZONE・カローシスUQ・キョージュによって、フィフティシア内最高級の宿に連れ込まれていた。

 

「あーくんさ。前に『あーちゃん』の姿でサンラク君と一緒に居た時に、ネチケット成ってないプレイヤーにスクショ撮られてたじゃない?」

「うん、困った事にね」

「まぁ、そうだな」

「其の状態に関して、皆さんからの『問い掛け』が相次いだんだ。此のNPC誰?ってさ…………。なので一度君に証明して欲しいって要請が、ライブラリから来たんだよ」

「……………はい?」

 

ペンシルゴン曰く『こんなイケ女見た事無い』やら『リュカオーン関係のユニークNPCか?』で、色々な考察やらが飛び交っており、ライブラリも調査に乗り出さんとしていたらしい。そしてクラン談合で集まるタイミングが丁度良いとの事で、こうして自分とサンラクを捕獲して連れて来たのだという。

 

「其の名前隠しのコートの効果?なのかは解りませんが、佇まいからNPCに見間違えるプレイヤーが多いのですよ、ペッパー君。故に、故にこそ!私は知らなくてはいけないのですよ!其の名前隠しのコートの詳細をッ!」

 

どさくさに紛れて奏でる者の旋律羽衣(ダ・カーポ・シェイルンコート)の情報を引き出さんとする武器狂い(SOHO-ZONE)に内心溜息を付きつつも、彼は「少々御待ちを」と言ってインベントリの中から青の聖杯を取り出し、性別を反転。其の時の状況を再現する為、サンラクと向き合う。

 

あからさまにジョゼットの視線が舐める様な物に変わって、キョージュは興味津々な視線を送り続けており、他のプレイヤーも女性化したペッパーの姿とスクショを照らし合わせ、成程納得といった具合に頷いていた。

 

「ペッパー君。ペンシルゴン君から聞いたのだが、先程使った『性別を変えられるアイテム』、アレは深淵のクターニッドを討伐して得られた報酬として、見て良いのだね?」

「えぇ」

「………解った。其れが聞けただけで、私は満足だよ」

 

おそらくだが、キョージュの目的は『クターニッドへの挑戦前の最終確認』が目的だったのだろう。現状判明している『再挑戦可能』なユニークモンスター………再現性も有り、難易度は跳ね上がる変わりに周回も可能にする為、下手をすれば独占等も起きる可能性を孕んでいる。

 

と、そんな中でペンシルゴンがペッパーの姿をジッ……と見詰めて、こんな事を言ってきたのだ。

 

「ねぇ、あーちゃん。ちょっと『キザっぽい台詞』を言ってくれない?」

「はい?」

「何でも良いから、早く早く」

 

チラッと横目でジョゼットを見れば、随分と(悪い意味で)良い顔をしており、絶対にブッ倒れるだろうと心配しながら。少しだけ思考した後、ペンシルゴンに無言のまま近付いて行き。

 

「えっ、あーちゃん?」

 

其のまま壁を背にして逃走を阻止し、壁に片手を付けて所謂『壁ドン』体勢に持ち込むや、もう片方の手でペンシルゴンを『顎クイ』して────────

 

 

 

 

 

「可愛いね、仔猫ちゃん」

 

 

 

 

 

 

──────────と一言、耳元で囁いた。

 

其の一言によってペンシルゴンは骨抜きにされてへなへなと、トップオブカリスマモデルの顔が剥がされて雌の顔と成り。ジョゼットは過呼吸で引っくり返ったばかりか、脳波に異常を起こしてシステムによる強制ログアウト。

 

SOHO-ZONEとカローシスUQは自身の性癖に若干の亀裂が入り、Animaliaとキョージュにサンラクは其の一撃に唖然と成ったのだった。そしてペッパーは羞恥心から窓より身を乗り出して、頭から地面に落ちて投身自殺を行った後、ラビッツにてリスポーンして其のままシャンフロを終えたのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後、蛇の林檎・フィフティシア通り支店内個室。其処には現在、旅狼のサブリーダーたるアーサー・ペンシルゴンと、聖盾輝士団の団長たるジョゼットという、あまりにも異彩な二人が密談をしていた。

 

「やぁやぁ、ジョゼットちゃん。どうしたのかな?」

「いやぁさ、性別を変えたペッパーちゃんの()()。破壊力高過ぎでしょ」

「解るよ………。()()は正直破壊力が凄まじかったとも」

 

議題はクターニッドの聖杯により、男から女へ性別を変更(するように要請)したペッパーが放った、あまりにもキザな台詞で。あの一撃によってペンシルゴンは雌の顔になり、ジョゼットは脳に異常を起こす程の瞬間火力+耳や脳に余韻が深く残る程だったのだから。

 

「でね、ペンシルゴン。私的にはアレを『録音』して私に卸して欲しいのだけど」

「フムフム、で『御幾ら』まで出せるの?団長ちゃんは」

幾らでも(・・・・)────と言ったら?」

 

要点によって値段はそちらに任せると、ジョゼットがペンシルゴンに仕掛けて。

 

「成程ねぇ………実は私もあーちゃんには()()()を感じててさ。元々あーくんの時点で相当な有名人、シャンフロ内の付加価値(ブランド)も絶大だから一気に売れると思ってる」

「奇遇ね、私もそう考えてた所よ」

「まぁ事業を立ち上げるにも、先ずは『同志探し』から始めないとね…………」

「其れはそう」

 

見えない場所で、見えざる想いを抱いた者が動き始めたのを、此の二人以外誰も知らない………。

 

 

 

 

 






動き出す野望


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