新武器&新防具御披露目
夕食を食べて、午後八時前にシャンフロへとログインしたペッパーは、同じくログインしたサンラクと合流。各々のパートナー及びリュカオーンの小さな分け身たるノワを連れ、ビィラックの鍛冶工房にやって来た。
「おぉ、ペッパーにサンラクよ。来たけぇ」
「おーす、ビィラック」
「ビィラックさん、来ました」
此処に来た理由は『ビィラックに製作を依頼した武器と防具』を受け取る事。彼女の表情が自信満々な様子から、製作された武装と防具はかなりの自信作だと見て相違無いだろう。
「ワリャ等二人の渡してくれた潤沢な素材のお陰で、今まで以上に力が入っての。どっちも『一式装備』に加えて、凄まじい『武器』が作れた。期待して良い」
そう言ってビィラックが一番に取り出したのは、青みを帯びる鋼鉄の円盤の形状を成した『黒い
「先ずはワリャ等が共通して依頼した『盾』。ワチ謹製の
「よっ!流石は未来の神匠!イカすねぇ!」
「ありがとうございます、ビィラックさん」
握っていた手の力を緩めれば、再びガシャコン!と音を立てながら外縁部が閉じて小盾へと戻る。此の時点でギミックをオンオフにしてガチャガチャと遊ぶ事も出来るだろうが、止めておく事にした。尚ギミック遊びを止めなかったサンラクは、ビィラックからハンマーを脛に食らって悶絶する羽目に成った。
「さぁ、次はコイツとコイツじゃ!」
ゴトゴトリと金床に置かれるは、確かな重量を持つ『片手剣』と『槍』。片や金属で纏めた刃とは違う、肉食モンスターの牙を彷彿とさせる骨を鋼で補強した様な『海色の片刃を持つ剣』。
片やアトランティクス・レプノルカ"
そして持ち手周りにはカトラスを思わせる『ハンドガード』に加え、槍芯の一部には『拳大の部分』が備わって、其所から鼓動を鳴らしてエネルギーを穂先へと流せる形に出来ている事から、サンラクとペッパーは此の武器が『甦機装』である事に気付く。
「片手剣は『
「ほぉぉぉぉ………!」
ビィラックの説明を聞いているのかいないのか、サンラクは海喰の剣と深帝の覇角槍を手に取り、惚れ惚れなる表情で眺めている。他の武器と併せて使用する事で本来の力を発揮出来る部分は、ヴァイスアッシュが作る対刃剣に似ているなと思っていると、彼女は工房の奥へと向かって行き。
其所から引っ張って来たのは『防具掛け』に立て掛けられた、特定の地域・年代・方式からアイデアを持ってきたであろう、特徴的な兜に甲冑から成る『スパルタ風の一式装備』と、其の両側に吊るされているのは『赤を主体とする拳帯と鞭』だった。
「ペッパーとサンラクが出した、アルクトゥス・レガレクスの素材を使って作れた一式装備『ラケダイモンシリーズ』、そして同じ素材で作った拳武器『
「おぉ!」
「わぁ………!」
ペッパーは鞭を、サンラクは拳帯と一式装備を手に取り、感触を確かめる。素材としたのがアルクトゥス・レガレクスだからか、シャンフロでは低耐久で知られる鞭武器で有りながら、下手な片手剣より頑丈である事に驚かされた。解りやすく例えるなら、頑丈さで知られる『
と、ラケダイモンシリーズを見ていたサンラクはビィラックに問い掛ける。
「なぁ、ビィラック。もしかしなくても此の格好………『狙ってたか』?」
「ん?いんや、思い付いたのを形にしただけじゃけ」
「そっかー」と言いつつ頭装備と腰装備を切り替えて、深帝の覇角槍と冥王の鏡盾を持てば、あら不思議。サンラクの姿は背に靡く
「おぉ。似合ってるし凄く格好良いぞ、サンラク」
「其れ冗談で言ってる?」
「いやいや、本当にそう思ってるが?」
ペッパーの発言は嘘ではなく、心からそう思っての物だ。ふと見ればビィラックとアイトゥイル、そしてエムルが大鏡を持ってきており、サンラクの前に止めて。其れを見た彼は満足気に笑っていた。
「さぁ、まだまだいくけぇ!」
そう言い放ちビィラックが自身のインベントリから顕現させたのは、アーコリウム・ハーミットの大前鋏を素材に作られた、インパクト重視の点側部分と破壊範囲重視の面側部分が存在している、ウォーハンマー形状の『大鎚』。
更にはキリューシャン・スフュールの甲殻や頭殻を用いて装甲とし、シャコパンチを繰り出す為に必須となる突起を、足の甲・脛・踵・膝のバンテージ部分に埋め込んだ『赤い
「アーコリウム・ハーミットの前鋏で作った大鎚は『
「おおぉ!」
ビィラックから渡された武器達を受け取り、インベントリにて早速性能チェック。大海鐘は能力には打ち込む面によって、ノックバック重視と威力重視に
そしてもう一つ気になったのが…………。
「ビィラックさん、大海鐘の能力項目に在る『水圧耐性:超』って何ですか?」
「其所に気付いたか………。ワリャ等の事じゃけ、何時か海ん中潜って素材を採って来そうじゃからの。説明しちゃる」
シャンフロは現実世界同様『水圧』が存在している。水圧は深層に至る程に強く重くなっていき、耐性が無い武器や防具は徐々に耐久値が削られて破損・破壊されるのだ。そして水中・海中に居る生物や其所に在る鉱石から作られた武器や防具には、素材としたモンスター在る場所に応じた耐性が付与され、稀少で有れば有る程当然ながら耐性も絶大になる。
「水圧耐性は小・中・大・超・極の全五段階でランク分けされちょるけぇ。仮に深海に潜って狩りをするんなら、少なくとも『大以上』じゃなきゃ武器が持たん」
ビィラックの説明を受けて、各々の武器を再度チェックし直せば、海喰の剣・紅蓮海の拳帯・紅蓮海の撃鞭は水圧耐性:超。ラケダイモンシリーズ・深帝の覇角槍・冥王の鏡盾・深厳戟響脚に関しては水圧耐性:極という驚異の耐性を誇っていた。が、此処で確認したのは深厳戟響脚の『装備ステータス』であり。
「おぅふ………」
其れが『レベル95以上・筋力200・技量150』の、凄まじい要求値を叩き出した事。甦機装特有の能力に加え、海中で使う場合は『心で唱えれば』発動出来たり。そして間違い無く
「さぁて、此等が最後じゃ!」
そんな最中にビィラックが再び鍛冶場の奥へと向かって行き、引っ張り出したのは防具掛けに掛けられた一式装備が二着と小鎚に
一式装備は全体的に『紺碧色の水晶』の様な美しい青白の装甲にマント、頭部分には通常で見る為の目と『擬眼』と思われる複眼が縦に並んでいる。
胸部や腹部、腕部に脚部といった部分には星をイメージした『十字』が並び、肩や襟周りの透明な水晶の色合いから、此の一式装備が『アトランティクス・レプノルカ』の素材を用いて作られた物だろう。
小鎚は様々なモンスターの『骨』を中心に用いて加工して作られただろう、マーブル模様が浮かぶ『小型のピッケル』で、雑種剣は『海喰の剣』を約四倍弱にした全長と、今にも食い掛かりそうな荒々しい見た目をしていた。
「アトランティクス・レプノルカの革や骨だけじゃのうて、鰭や器官も含めてありったけ使った一式装備『マクティスシリーズ』!ワリャ等二人のお陰で『二着』作れたけぇ。此迄色んな防具を作って来たが、こげんに凄まじい
「おぉ………コリャまたヤベェなオイ」
「凄い………!ありがとうございます、ビィラックさん」
深海の王と呼ばれているだけあり、頭装備だけで『水中呼吸』を可能にし、水圧耐性も極。装備の耐久力も一部位毎に+8000と至れり尽くせり。しかも一式全てを装備すると、炎・水・氷・雷の四属性への耐性が『極』になるというヤバさが有る。
そしてビィラックはペッパーとサンラクが預けていた武器や防具達の中で、修理が終わった物を取り出して各々に配っていけば、時刻は八時半を過ぎていた。
「おっと、もう時間か。エムル、フィフティシアへのゲートを頼んだ!」
「はいな!」
「よしアイトゥイル、ノワ、俺達はヴォーパルコロッセオに向かうよ!」
「はいさ!」
『ワンッ!』
二人はインベントリとインベントリアに収納し、各々の目的地を目指して走り出したのだった………。
いざ、試運転
※深帝の覇角槍のモチーフは『ディープシャドウ・ランス』。マクティスシリーズは一式纏うと、デュエル・マスターズのキングマスターカードの一枚、『MAX・ザ・ジョニー』の見た目になる。
深厳の戟響脚のイメージは、デジモンゴーストゲームに登場する、究極体デジモンの一体『アンフィモン』の膝下の脚部に丸い突起が付いた物。