訓練者達は
ヴォーパルコロッセオ。致命兎の国・ラビッツに在るコロシアム型の闘技場であり、ヴォーパルバニー達が訓練所として使う場所であり、そしてユニークシナリオ・実戦的訓練においてはプレイヤーのレベルやステータスに応じ、格上のモンスターが投入されて致命武器縛りでの攻略を行う場所だ。
「お。やぁやぁ、あーくん♪アイトゥイルちゃんにノワちゃん。他のクランメンバーにもチャットを通じて、対抗戦の事は伝えといたよ。ヴォーパルコロッセオに御用有りかな?」
「ペッパーさん!アイトゥイルさんにノワちゃん、こんばんわ!」
「御晩に御座る」
『グルルル………!』
ペッパーと肩に乗るアイトゥイル、足下に擦り寄るノワの到来を歓迎するかの様に。現実世界ならば恋人同士がやる、腕組みを行ったペンシルゴンに対して喉を鳴らして威嚇するノワ。其れに応じる形でペンシルゴンもまたノワに鋭い視線を向けつつ威嚇し、両者共に絶対に好きな人は譲らないとばかりに、互いが火花を散らし合う。
「ユニークシナリオの様子が気になってさ。どんな感じ?」
「サイガさんがさっき『五体目』を倒して、私とペンシルゴンさんは『三体目』、カジキさんは『四体目』にチャレンジ中です!」
「妄執の樹魔か……」
「あーくん、アレ知ってる感じ?」
「うん。当時のサンラクの最後の相手が、あの木人魔術師だった…………あ、レーザーカジキがやられた」
デバフの鎖に巻かれて機動力を失い、其所へ火・氷・雷・土の属性魔法による飽和攻撃を喰らったレーザーカジキが倒れる。あのモンスターは『持っている杖』を弾き飛ばしたりしてどうにかしないと、十秒毎に『魔法の種類が増える』のだ。
おまけにMPの概念は何処に行ったレベルで、奴は攻撃を仕掛けてくる………つまりは魔法による撃ち合いになれば、MP特化の魔法職でも先に燃料切れを起こして倒される未来しか無い。幸い奴は杖を持ってる場合でも『魔法によるダメージは入る』らしく、少なからず火属性のダメージは通っているのが判る。
「レーザーカジキにアドバイスしに行ってくる。ペンシルゴンと秋津茜は、自分の訓練の相手として出て来るかもだから、初見は自分の身で体感して欲しい」
そう言い、ヴォーパルコロッセオに備え付けられたベッドにてリスポーンしたレーザーカジキに、ペッパーは走り寄る。そしてペッパーを見るや、青い魔術師たる彼はこんな質問をしてきたのである。
「あ、ペッパーさん!対抗戦の出場メンバーは決まっていますか?」
まさかの立候補にペッパーは目を丸くした。対抗戦は七対七の戦いで、現状自分・サンラク・オイカッツォ・ペンシルゴン・
「今はまだ考え中だが、もしかして出場したいの?」
「もしも空いていたら、僕も立候補したいなって」
「民度はアレだが、最上位クラスのクランな上に廃人だって居る。其れでも─────『やるか』?」
「はい!旅狼として微力でも力に成りたいです!」
煌々と燃える意志の炎が、レーザーカジキに宿っている。其の本気と覚悟に自分も答えなければいけないと、ペッパーはそう思い。
「解った。ただ
「はい!粉骨砕身の心構えで頑張ります!」
「後は………妄執の樹魔の攻略法とか知りたい?」
「えっと、多分あのモンスターは『杖』が鍵を握っていそうなので、今度は『手』を狙うつもりです」
かなり良い線に気付きつつ有るので、此処でヒントを出すのは無粋と考えたペッパーは、無言で頷き見守る事を選択。そうして彼は何度目或いは十数回目のチャレンジに挑み、開幕速攻で杖を持つ手へ炎属性魔法を叩き込みながら、叩き落とし戦術を敢行。
木の根とデバフの鎖に抗い、何度も何度も炎属性魔法を叩き付け続け、遂には両手を破壊した。が尚も妄執の樹魔は攻撃を止める事は無く、木の根とデバフの嵐で何度も何度も殺されそうに成りながら、漸く討伐するに至ったのだった。
疲労困憊に成りながらも、何とか妄執の樹魔を倒したレーザーカジキは「ちょっと、今日は……もう無理、です………」と言い残して、兎御殿へエストマと共に帰って行った。
ユニーククエストを進める前に、秋津茜とペンシルゴンの三体目が何なのか気になったのでチェックした所、秋津茜の場合は『二人三脚の人型のゴーレムロボット』なる『マシュマーク・パルリオット FW-03G型』であり、機動力だけならブルックスランバー"
しかも其の機動力と共に、両方の頭の目から死角がほぼ皆無&断風より一段階遅い速度で『レーザー』を撒き散らし、最終的には秋津茜がサイコロステーキされたのを、ペッパー達は目の当たりにする事となる。
ペンシルゴンの三体目は『ドラクルス・ディノコアトル』なる二つの頭を持つ、大空を駆けるプテラノドン型の翼竜なる存在であり、空中から超音波・羽ばたきによる暴風・巨体を活かした突撃等々、恐竜タイプのモンスターが持つ当たり前の攻撃を仕掛けてきた。
何よりも嘴による刺突は、攻撃の
「秋津茜。あの二人三脚ロボット、多分だが『転倒』させれば人体構造上の理由で、ビームの射角を一気に『制限』出来ると思う。其れとあんなに速く走れるって事は、逆に転べば『相当なダメージ』になるかも」
「解りました!やってみます!」
「ペンシルゴン。あのツインヘッドプテラノドンはどっちかの『頭』か、もしくは『胸』に情報や攻撃を行う為の『重要器官』…………即ち『脳』が在る可能性が高い。鳥や翼竜型のモンスターも、浮遊以外じゃ永遠に飛び続けるなんて芸当は『先ず不可能』だ。兎に角地上に降りたら、頭か胸を叩いて反応を見てくれ」
「解った、探ってみるよ」
秋津茜とペンシルゴンにアドバイスを送りつつ、二人がどうか無事に実戦的訓練を越えられます様にと祈り、彼は予てよりの目的を。
ビィラックから依頼された新武器種の『
尚、アイトゥイルとノワには対抗戦含め、万が一が有ってはいけないという事で、兎御殿で良い子にして居てねと沢山撫で撫でをしてから、開かれたゲートを越えてテンバートから出立するのだった………。
さぁ、女王に会おう