牛々詰めの大乱闘
さて問題です。
全長50m台の巨大トンネルにて、巨大シオマネキと巨大オケラ、そして巨大百足蚯蚓が道を塞いでいますが、此所を通り抜けてくださいと言われたら、貴方はどうしますか?
正解は─────
「敵対関係同士で、ぶつかる様に仕向ければ良い………!」
巨大オケラの『クレーゼーレ・ヴィンディッシュ』が
対するバタリング・ナイツクラブは左側の鋏と己の足を踏ん張り構えるや、弾丸跳躍を滑らせるようにして受け流して、トンネルの天井に激突させ。流れる太刀筋というか鋏捌きで巨大オケラの後ろ足の一本を右鋏で摘まむや、巌喰らいの蚯蚓諸ともトンネルの地面へと叩き付けた。
だがそんな程度とばかりに、クレーゼーレ・ヴィンディッシュは挟まれている足に力を込めるや、何と脚力だけでバタリング・ナイツクラブの巨体を持ち上げ、あまつさえ逆に天井に叩き付けると言う、剛力っぷりを発揮して見せたのである。
「おいおい、其れトンネル潰れない?大丈夫……………あ、コイツ等一応土の中でも生きられる連中ばっかりだった!というか、此のままじゃ此方が生き埋めにされて殺されるパターンじゃねーか!?うぉぉぉぉぉぉ!そんな事許さなぁぁぁぁぁぁぁぁい!?!」
女王陛下謁見前に生き埋めで死んで堪るか!先ずはあの二体のヘイトを自分一人に絞り込ませる!騒ぎを聞き付けてか他の巌喰らいの蚯蚓が複数体、別のトンネルから現れては集団で巨大シオマネキと巨大オケラへ、コンビネーションアタックを掛けんとし。
が、突如として其の動きが止まるや、スススッ………と道を『譲る』様にして、トンネルの中へと戻り行く。
「な、何だ………!?」
いきなりの行動変更に驚いていると、緋色の炎が照らす暗闇の奥よりズズン…!ズズン…!なる、大質量の『何かが』流動しながら此方へと向かってくる音を聞き。クレーゼーレ・ヴィンディッシュが、バタリング・ナイツクラブも其の動きを止め、視線を向けた其の先には直径40mクラスの一瞬
本来の甲殻は『赤黒い小豆色』なのだが、巌喰らいの蚯蚓の成虫個体であり、様々な鉱物を喰らい其の身に纏う生態故に、甲殻は赤・青・緑・黄色を始めとして、水晶や瑠璃色に琥珀色等々、様々な彩りに満ちた甲殻を纏っていた。其の甲殻の何れもが地面を掘り進んだ事による研磨で隆起が削られ、研ぎ澄まされた『天然の鉱物資源鎧』と成る迄に至っていたのだから。
だが、そんな泰山巌宝蛇蟲の中でも群れ全体に付与した其の強化を、更に己への強化として付与・自らが最前線で戦う『女王個体』が産まれる事が有るのだ。分類で言うなれば、肉体的には通常種と同じながら。しかし通常種とは明確に、異なる思想と強化の使い方で『異端』と成った存在。
其の
ズガンドゴンと衝撃にトンネルが軋むように揺れ、三種族が掘り進めただろう別の穴が落石や落土によって崩れて塞がる。50m台の巨大トンネルで在れど、天然鉱物装甲列車ヤスデ・重装騎士シオマネキ・超速砲弾オケラが戦っている地中は、最早安全圏は何処にも無い。
「取り敢えず!全員ッ纏めて!表に出ろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ギルフィードブレイカーで全員の頭をブッ叩きながら挑発し、あからさまにヘイトを大特価で買い取り喚き散らかす小蝿に、地中に潜み暮らす三体も無視しては、確実に邪魔をしてくる存在だと理解するに至ったらしい。
鋏を鳴らして横歩き、弾丸跳躍による突撃、特急列車顔負けの快速で突っ込んでくる三体を前に、疾走系スキルと共に点火したミルキーウェイで、トンネルの中を駆け走るペッパーは、穴の先にある地上を目指して緋色に燃えながら走り、そして飛び出し。
其の直後、まるで植木鉢の裏を引っくり返したかの様に、巨大シオマネキ・巨体オケラ・巨大ヤスデも地中という檻の外から抜け、台地の斜面で四つ巴の睨み合いに突入する。
「さぁ、此れで全員動き易くはなっただろう?三つ巴だろうが、最終的に生き残った
堂々たる宣言と共に、いざ奴等との戦争へ────!
が、其の刹那。
一体何だと視線を向け、仕掛人を見てみれば。地中より現れし、胸角が三本生えて『ドリルに変化した』物を掲げる、歪な角を携える巨大な『ヘラクレスオオカブト』。
前足・中足・後足の其の全てが『ポンプの様な筋肉形状』をしており、先端の鉤爪部分に至っては『ショベルカーのシャベル部分』と同じで、前翅は『対列車砲』を想定したとしか思えないブレード状、後翅はドローンのような『扇風機』の如く高速回転の、最早『サイボーグカブトムシ』か何かとしか言えない見た目だった。
乱入者の名は『
だが他にも地中にて眠り、何時かは産まれていたであろう『兄弟姉妹達』は泰山巌宝蛇蟲"昂華堅巒"や、彼女の子供にして配下として仕える巌喰らいの蚯蚓に食い荒らされ。バタリング・ナイツクラブによって蛹状態で見付かり、目覚めを前に切り刻まれて命を落とし。クレーゼーレ・ヴィンディッシュの通行の邪魔だと、突撃によって生命活動を止められ死に絶えて。
此の地に置ける『唯一』の生き残りとなった其の
戦いの振動と掘り進められた事によって出来た穴から流れた空気により遂に目覚め、己の眠りを妨げた其の全てを殺すべく、
唯一体のみ遺された
五つ巴の大混戦
Q、本来の戦災孤児って新大陸のシグモニア前線渓谷にしか現れないんじゃ?
A、巨大オケラも、巨大シオマネキも、百足蚯蚓も全員種族こそ違えど土掘って生活するし、何なら土に埋まってる蛹や卵は真っ向からブッ壊したり食い殺しに行くし、他種族と出逢ったなら速攻でテリトリーから排除する為に戦争する。クリサリス君は『目覚められさえすれば』戦えるが、そうなる前に蛹状態でブッ殺されてしまうので、生きている蛹自体が『超稀少』という理由で不世出個体に至れた。というかペッパー君が来なかったら、コイツも何れ三種族の何れかに見付かって覚醒前に殺されていたというのが真実