VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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どったん ばったん おおさわぎ




暴れ猛り狂うはヘラクレス、勇者は闘志を抱きて止まらず

FM's(フォッシルマイナーズ)クリサリス"戦災孤児(ウォールフェン)"。乱入者ならぬ乱入虫たるコイツを一言で現すならば、最早『サイボーグじゃじゃ馬ヘラクレス』以外に有り得ないだろう。

 

気宇蒼大(きうそうだい)天聖地(てんせいち)、台地と傾斜が連なり重なった所謂『ウェディングケーキ』の様なフィールドの地下に住み暮らす巨大シオマネキの『バタリング・ナイツクラブ』に、巨大オケラの『クレーゼーレ・ヴィンディッシュ』。

 

そして目的のモンスターであり不世出個体(エクゾーディナリー)たる『泰山巌宝蛇蟲(イミュリティーション.ヴィルワーム)"昂華堅巒(ブリリアント)"』と、ペッパーの四つ巴の戦争へ割って入った其れは、目に入った存在に対して『よしブチ殺そう』と答えを出したのか、はたまた既に『そう決めていた』のかは定かでは無いものの、そうとしか(・・・・・)思えない動きを以て襲い掛かって来た。

 

「だあああああ!?」

 

昆虫の羽ばたきとは『静か』であり、翅の動かし方も鳥類の其れとまた違って『独特』だ。蜂を例に挙げると、体内に在る筋肉の伸縮を『秒間数百回行う事』、そして『翅で空気の流れを掴む事』によって、自身の身体よりも小さな翅で旋回や小回りの効いた羽ばたきを可能にしている。

 

そして此のクリサリスも羽ばたきが『あまりにも小音』であり、ドローンのプロペラ形状で有りながらも、何処からそんなスピードを繰り出せるのかレベルのスピードで、バタリング・ナイツクラブが構えた左鋏に激突。三本のドリルホーンを乱回転させて、有り余るパワーと共に吹き飛ばして土ペロさせるや、今度は泰山巌宝蛇蟲へ突貫して。

 

しかし其の真横から弾丸跳躍で横っ腹にヘッドスマッシュをブチ噛ました、クレーゼーレ・ヴィンディッシュによって傾斜に叩き付けられたかと思えば、ポンプの様な足で踏ん張りを効かせて、逆に押し返し。其所へ全身の甲殻が彩り豊かに輝いた泰山巌宝蛇蟲が、多色の光線を撃ち放って貫く……………かと思われた所で、ドリルホーンを回転させるやビームを乱反射させて防いだのだ。

 

「危なっ!?」

 

弾け飛ぶビームをルーパス・アサイラムによるルート割り出しで回避し、此処までのFM'sクリサリス"戦災孤児"を含むモンスター達の動きを見続けてきた事で、ペッパーの脳内では『巨大オケラは跳躍弾丸による突貫攻撃が強く』、『巨大シオマネキは全方位からの物理的攻撃による突破は殆ど不可能に近い』。

 

そして『巨大ヤスデは拡散光線を全身の甲殻から放ちつつ、台地の斜面を高速で走り続ける重装甲特急列車』、『其の三体に対する、対抗策と対応戦法を心得たFM'sクリサリスの特殊個体が戦災孤児』との答えを導き出すに至った。

 

(さて、どうやって攻略しようか………!)

 

あの巨大列車ヤスデの放つビーム。アレが『魔力』によって出来ているならば、まだ此方の『勝機』は潰えていない。だがそうであるにしても、ほぼ全方位にブッ放せる動く砲塔のヘイトを唯一点に集束させるのは、先ず『不可能』に等しい。

 

其れも巨大鉄壁シオマネキと巨大高速砲弾オケラ、ハイスペックサイボーグじゃじゃ馬ヘラクレスを相手取りながら、ヤスデを仕留めて素材を回収しなくてはならないと言う、超々々々々々々々難易度の戦闘というエンドコンテンツレベルの代物の中で………である。

 

「上等だ………!此方はレトロ狩りゲーの『歴代最強クラスの難易度と状況の中でも』クリアしたんだ!オケラ?シオマネキ?ヤスデ?ヘラクレス?俺は人生を楽しむ為にゲームをしているんだ!」

 

こんな戦場が何だ!一歩間違えばフレンドリーファイヤが当たり前に起きる戦いだって乗り越えた!エンドコンテンツレベルの狩り?レトロゲームじゃ此のレベル(・・・・・)の難易度は標準搭載されてるのがデフォルトだよッ!

 

来る黒狼(ヴォルフシュバルツ)との対抗戦で敵に情報が渡るかも知れない?人間『知っている』のと『実際に経験した』のとでは、情報には天と地の差が存在する。そして個人的にだが、其の『認識のズレ』にこそ対人戦では勝機を作り出す()其の物なのだと思っている!

 

(良いぞ、割り切ったからか思考がクリアになって来た!)

 

ペッパーの結論が『此処で全員ブチのめす』と算出した瞬間、効果が切れた封熱の撃鉄(ニッショウ・トリガー)(スペリオル)を指パッチンで再起動。同時に逃げ回りつつ情報を収集し、心拍数は『一定以上』のリズムを刻んでいる条件も充たした事により、合掌によって超星時煌宝珠(クロック・スタリオン)も重複使用する。

 

炎と熱が己の身体の内側より溢れて燃え盛り、全身を白き光が更に包み。金色の龍王が休息地たる台地と黒天の夜空の下、蒼空を舞う勇者は緋色と白光を纏う()と成った。そして駄目押しとばかりに此処まで振らず、備えて取っておいた『ステータスポイント』を振り分け、両足に『赤い籠脚』を纏う。

 

其れは深海に在りて、島一つを丸ごと引っくり返した、ユニークモンスター・深淵のクターニッドが領地『反転都市ルルイアス』で出逢い、討伐した不世出存在(エクゾーディナリーモンスター)。キメラモンハナシャコこと『キリューシャン・スフュール"恕志貫徹(ファースリィオ)"』の素材を使い、古匠ビィラックが産み出した甦機装(リ.レガシーウェポン):深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)を装着。

 

更には聖盾(せいじゅん)イーディスを交代(チェンジ)、同じくルルイアスにて出逢った深海三強の一角・深海の王と称される『アトランティクス・レプノルカ』の照鏡骨を用いて、ビィラックの手で産み出された大盾たる『冥王の鏡盾(ディス・パテル)』を軽く(・・)握り、改めて彼は宣言した。

 

「覚悟しろよ巨大連中、全員纏めてボコボコにしてやる」

 

 

 

 






退かぬ、媚びぬ、顧みぬ


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