VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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炎の名は




闇夜を照らす、勇気に満ちし緋色の白星

シャンフロに置ける『耐性』とは、様々な要素或いは環境に対する『強靭さ』と定義されている。様々な環境に存在しているモンスター達は、其の多くが環境に適応した個体であり、各々が独自の耐性を持っていると言っても良い。

 

だが時に生物は縄張り争い等に敗れた結果、其の環境から追い出されて生活しなくてはならなくなった場合に、『此のまま死ぬ』か『環境に適応する』かの二種類の選択肢が与えられる。そうして其の環境に適応出来なかった生物は滅び、逆に適応出来た生物は其の遺伝子を紡ぎ、次世代に其の経験を継承していくのだ。

 

では──────長い進化の過程で得られた耐性(強靭さ)が、外的要因によって切り崩された場合。例えば『ビーム等の熱に対する耐性』が超低下し、かつ『熱によるスリップダメージが増加している場合』は一体どうなるのか?

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

緋色の炎熱と白光の輝きが、闘志という名の流星と成って夜空を駆ける。

 

バタリング・ナイツクラブの分厚い盾たる左鋏が焼け焦げて、全身の甲殻という甲殻が熱によって軟化し、頑強さを失っていく。

 

クレーゼーレ・ヴィンディッシュの動きが、熱耐性を下げられ続けた事によって、今までの機敏かつ力強さが、目に見えて鈍くなっていく。

 

泰山巌宝蛇蟲(イミュリティーション.ヴィルワーム)"昂華堅巒(ブリリアント)"の拡散ビーム照射の後に起きる放熱が、追い付かない程の熱の浴びせて熱を叩き付け続けた事で、オーバーヒートが引き起こされて悶え苦しみ。

 

FM's(フォッシルマイナーズ)クリサリス"戦災孤児(ウォールフェン)"は投げ込まれた油玉と着火用の小鎚、そして其れ等を加速度的に上昇させる熱によって全身を焼かれて、黒煙が立ち上る。

 

(ぶっつけ本番だったが、やっぱりヴァンラッシュブレイカーと封熱の撃鉄(ニッショウ・トリガー)(スペリオル)の相性は、とんでもなく最高(・・)だ!)

 

封熱の撃鉄による熱耐性の弱体化、ヴァンラッシュブレイカーの持つ炎の面でぶん殴り、即座に水の面水で冷やして水蒸気と熱衝撃による更なる追撃。甲殻がひび割れて熱と蒸気が体内に入り込んだ結果、自身が生存出来る『適応可能温度』を超過してしまった事で、四体は所謂『脱水状態』に陥ったのである。

 

「どうした?俺はまだまだ熱くなれるぞ?」

 

マナ粒子の道を駆け(ミルキーウェイ)重力軽減(グラビティゼロ)無限空中跳躍(天空神の加護)で跳ね回り、閃光の疾走(シャイニングアサルト)超速疾駆(英雄覇颯)眼力適応(ディチューン・アイ)による補助と更なる加速(ビート・ラン)スタミナ軽減(メロスティック・フット)

 

そして速度上昇で筋力強化(ブーストアップ)技能(スキル)を使い潰しながら、再使用時間短縮(ファウラム・チャージング)危険地帯の移動(ルーパス・アサイラム)の合わせ技で超常的な加速が途切れる事無く、此迄得て培い続けた打撃スキルを叩き込んで、敵に反撃の出番(ターン)を与えない。

 

「全員纏めて倒すと決めたんだ、此処で宣言通り倒さなくちゃ男が廃るよなァッ!!!」

 

熱の面を打ち込み、直ぐ様水の面で打ち込んで甲殻と身体へ熱を注ぎ込みながら、暴れ狂う地中巨大モンスターの合間をピンボールめいて跳ね抜けて、ダメージを積み重ねる。元より耐久には一切ポイントを振っていない上、相手の攻撃で被弾したり倒れてきた重量で潰されたなら、無論一発アウトで即終了は『不可避』。

 

おまけに空中戦を幾度も経験しているとはいえ、空を駆け回る行為は一見『自由』に思えるが、実際は繊細なバランス管理と重量調整必須等々含めた『制限』と、何処かしらで気を抜く=死が確定という危険と常に背中合わせ状態での、極めて難易度が高い操作の『連続』だ。

 

人間である以上、永久的な集中力維持は不可能。故にこそペッパーは『残り10分』で此の戦い決着を付けると、自身の目標を再設定・気合を入れ直して勝負に出る。

 

「先ずは巨大オケラァ!!!」

 

ビーム照射を潜り抜けて戦災孤児の視線を誘導、クレーゼーレ・ヴィンディッシュとの間に来るよう、再使用時間を終えたミルキーウェイで駆け走り、シャイニングアサルトで巨大オケラへと肉薄。

 

戦災孤児もまたポンプ状の足で弾丸跳躍してクレーゼーレ・ヴィンディッシュごとペッパーを押し潰さんとするが、跳躍&短距離瞬間移動(レーアドライヴ・アクセラレート)で回避され、横っ腹に衝撃と共に押し込まれて台地とサンドイッチになる。

 

此処まで熱と冷却によりダメージが積み重なっていたオケラの甲殻が、戦災孤児の強烈な一撃で遂に致命的な損傷を起こし、命が風前の灯となり。そして戦災孤児もまた、自身が繰り出したブチ噛ましによる衝撃と積み重なった『歪みと軋み』が、身体の至る箇所の亀裂を押し出し、其の巨体の動きが遂に止まった。

 

「FM'sクリサリス"戦災孤児"よ、お前の行動は確かに強烈だ。だが、一番の弱点として『小型相手に懐に飛び込まれた場合』に、解答案が皆無に等しい事だッ!」

 

だからこそ、此の一撃で巨大オケラごと蹴り砕く。

 

「足を踏ん張れェ!!!」

 

刻蓬封点認視界(エディア・キュリス・ウラタナ)&龍脈を映す視覚(ドラスティエル・ナルクト)のズッ友コンビスキル点火。戦災孤児と挟まれた巨大オケラの点穴と電気信号が視界に映り、ミルキーウェイで全力疾走。

 

切札の一つにして『使用したスキルの回数によって』威力が上乗せされる破戒神の舞脚(カルナダーハ・シヴァ)と、強化スキル・ブーストアップを織り混ぜて、戦災孤児へと蹴り付ける。

 

「ぉぉぉぉぉぉぉあああああああああああああ!!!」

 

スキル:ブーストアップの特色は、自身が速度アップ系スキルを使用する()に筋力へと強化(バフ)を与えるスキルで有る。

 

では此処で問題、使用する度に効果倍率上昇と再使用時間短縮をもたらす『ファウラム・チャージング』と、使用したスキルの総数が既に『五十以上を確実に越えた状態』で繰り出した神系統スキル、そして尋常ならざる籠脚を用いた蹴りと、全身の防御力が落ちに落ちている敵が食らったなら──────一体どうなるか(・・・・・・・)

 

其の答えが此方に成ります。

 

「く!だっ、けろぁぁぁぁぁ!!!!

 

此の戦闘中で最も重く、最も鋭く、最も速い飛び蹴りが、戦災孤児の頭部に出来た亀裂を撃ち抜き、放たれた衝撃はサイボーグヘラクレスと台地でサンドイッチとなっていた巨大オケラをも押し潰し、岩徹しに等しい一撃となって二体の強者の命を、今此の瞬間に『蹴り潰した』のだという感触をペッパーにもたらした。

 

其の脚撃は此の場に居たバタリング・ナイツクラブ、泰山巌宝蛇蟲(イミュリティーション.ヴィルワーム)"昂華堅巒(ブリリアント)"の動きを止める程に強烈な物であり。

 

「クレーゼーレ・ヴィンディッシュ。地面を掘り進むだけでなく、敵を撃ち抜き潰す桁違いの破壊力を持つ弾丸跳躍を可能とした、巨大オケラよ。FM's(フォッシルマイナーズ)クリサリス"戦災孤児(ウォールフェン)"。此の戦場に最も適応し、他の強敵との戦いを誰よりも心得た強者よ。次にまた出逢う時には、各々と一対一(タイマン)で死合える事を望みたい程の強敵達だったぞ」

 

言葉と同時にポリゴンと化して崩壊した二体の強者達、其の素材の全てを一片たりとて残さず回収した直後、静かに振り向き。

 

 

「次はお前達だ、覚悟しな………!」

 

 

そう告げた。

 

 

 

 






緋色と白光に輝く怪物


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