VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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激戦の後に




勇者の疾走は誰にも止められない

「はぁ~~…………楽しかった!」

 

弾丸跳躍突撃巨大オケラの『クレーゼーレ・ヴィンディッシュ』に、大剣大盾装備の重装甲巨大シオマネキの『バタリング・ナイツクラブ』、ホーミングビーム照射の巨大装甲列車ヤスデたる『泰山巌宝蛇蟲(イミュリティーション.ヴィルワーム)"昂華堅巒(ブリリアント)"』。

 

そして途中で乱入してきたサイボーグじゃじゃ馬ヘラクレスオオカブトこと『FM's(フォッシルマイナーズ)クリサリス"戦災孤児(ウォールフェン)"』の、計四体のモンスター達を討伐したペッパーは、超星時煌宝珠(クロック・スタリオン)封熱の撃鉄(ニッショウ・トリガー)(スペリオル)を解除。

 

深厳の戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)及び星皇剣グランシャリオを鞘に収め、インベントリアに仕舞いつつも、戦場となった気宇蒼大(きうそうだい)天聖地(てんせいち)で不世出個体の素材を回収しながら、そう呟いた。

 

不世出個体(エクゾーディナリーモンスター)を二体、シオマネキとオケラも一緒に討伐したからなぁ………希少な素材も含めて、インベントリアがウハウハだ」

 

不世出個体を倒す事で、其のモンスターの素材と不世出の奥義(エクゾーディナリースキル)を直接習得出来る。今回獲得した不世出の奥義は、戦砕琥示(ウォールフェン)虹華顕燗(ブリリアント)の二つ。

 

戦砕琥示は、戦災孤児を倒した時の状況(シチュエーション)が反映されたのか『脚撃スキル』として、不世出の奥義の欄に刻まれている。其の能力もまたサイボーグじゃじゃ馬ヘラクレスオオカブトを模してか、攻撃の威力でノックバックを増減させるらしく、ある種の二極化を謳うそんなスキルだ。

 

一方の虹華顕燗なのだが、パーティーのリーダーであるという条件とプレイヤー・モンスター・NPCの平均レベルを参照した『バフスキル』らしく、仮にレベル99 Extendのプレイヤー15人編成で固めた場合、七分間とんでもない強化が入る事になるだろう。ライブラリと合同で検証して貰えるか、交渉してみたい所である。

 

「とまぁ………喜んでもいられない、か」

 

自分に対する視線(・・)を感じながらに其の方角を見れば魔法使いや戦士等々、多種多様なプレイヤー達の姿が在り。確実に此処までの戦いは観られていたと確信しつつも、何時でも逃走可能状態にしておく事にする。

 

此方が発見したと雰囲気から悟ったか、ぞろぞろと出てくるプレイヤー達。其の数や『五十人』は下らず、群衆の中にはライブラリや午後十字軍のクランエンブレムを掲げていたり、現在絶賛敵対関係に有る黒狼(ヴォルフシュバルツ)の団員……よく見れば『穏健派』のプレイヤーが居た。

 

「えっと………ペッパー、さん………ですか?」

「そうだと言ったら?」

『えっ?』

 

一人の問い掛けに至極簡単に答えた事で、全員の目が見開かれた其の刹那。ペッパーはトゥワイス・ジャンピング起動で其の場から高く跳ね飛び上がるや、アトロフォスの白蒼翼(はくそうよく)の効果で再使用時間(リキャストタイム)を完了した星天秘技(スターアーツ)・ミルキーウェイと、再使用時間(リキャストタイム)を終えた機動力強化スキルの起動を行い。

 

「バイバイ」と一言だけ述べた瞬間、誰の目にも止まらぬ速度で空中を疾走し、黒い流星と化して届かぬ場所へと走り去ったのを、彼等彼女等は唯々唖然とした表情で見上げて居たのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミルキーウェイの効果が許す限り空中をダッシュスキル駆け走り、効果が切れたタイミングでインベントリアへと籠ってMPの回復を行いながら、ミルキーウェイの再使用時間超過を終えたタイミングで再び空を走り出す。

 

「リュカオーンの愛呪(あいじゅ)も有ってか、スムーズに進軍出来た。多分見えてくるはず……!」

 

そうして空を走り、インベントリアでの回復を挟むを繰り返して数回。彼はラビッツへの死に戻りを前に、一つやるべき事をしに此の地を─────栄古斉衰(えいこせいすい)死火口湖(しかこうこ)にやって来たのだ。

 

「周りには人は………よし、居ない」

 

インベントリアを挟んで山頂の縁に着地。今は懐かしき光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)を復活させる為に必須となるパーツ探しに訪れ、窮速走破を習得した地でも有る此処は、様々な思い出が蘇る様だ。

 

「とと、思い出に浸るのは良いが目的を忘れるな」

 

再使用時間を終えたミルキーウェイを点火して、一気に火口に貯まった湖の中へとダイブ。息が続く内にインベントリアを操作・クターニッドの一式装備たる深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)を取り出し纏い、無限潜航によって獲得した水中呼吸を用いて湖の底を目指して進み続ける。

 

そして──────

 

(此処、かぁ………)

 

湖の底………ヴァイスアッシュ曰く『先々代の赤竜』────名を『赤竜クレプトクルム』が、天覇のジークヴルムに物理的にプレスされて、何か(・・)を封じる為の『蓋』と成った場所まで辿り着いた。

 

身体だけの亡骸と成った竜へ合掌し、水中から酸素を取り込んでは探索を続けていると、人が一人通れるだろう大きさの『亀裂』を発見する。おそらく生身で通る事を想定しただろう狭さだ、此のまま(・・・・)では通り抜けは流石に厳しい。

 

(やるか………!)

 

通れない?ならば亀裂を広げて、通れるサイズまで拡張すれば良い。巨剛触手を八本全て使って亀裂の間に射し込みつつ、目一杯の力を込めて広げ通る。

 

隙間が広がり水流が襲い掛かるが其れにも負ける事無く、ペッパーは暗い隙間の先を進み。途中には『溶岩が冷え固まった地層』に遭遇しながら、奥へ奥へと潜り進んで行くと『赤い光』が見えてきて。其の光に導かれる要に進めば、滝の如く水が流れ落ちる場所まで彼はやって来た。

 

おそらく『深層』と思われる其の場所の、辿り着ける道筋(ルート)の一つから侵入した彼は、其処で自分の目を疑う光景を目の当たりにする。

 

流れる水の量からして、既に此の場所は水で満タンになっていなくてはオカシイ筈なのに。其れ(・・)を中心として流水が片っ端から『干上がって』おり、まるで『灼熱のマグマ』を彷彿とさせる朱色と白が混ざったような光を放つ、×字が入った球体という『明らかに異質と解るモノ』が在った。

 

『Fololololololo………………』

 

まるで『太陽』と呼べる其れから聴こえてきたのは、ある意味『鼾』とも形容するべき寝息(・・)で、其の音からは『笑っている』かの様な。

 

だが呼吸をする度に周りの水が圧倒的速度で『蒸発』し、濡れていた一式装備が自然乾燥もビックリな乾き具合になっている。間違い無く英傑武器(グレイトフル)にして、現時点で『朽ち果てたアスカロン』を甦らせる為に必要な『炎』なのだろうが、戦おうとすれば間違い無く死は避けられない。

 

「取り敢えず一式装備は収納確定として、問題は『どうやって炎を採取するか』………だな」

 

クターニッドの一式装備から奏でる者の旋律羽衣(ダ・カーポ・シェイルンコート)に着替え直し、頭装備としているライノベレーの帽子は外して様子を見る。

 

『Fololololololo………………』

 

随分と気持ち良さそうに寝息を立てる、浮遊球体から如何にして炎を取るか。ゲーマーらしく、謎解きに挑むとしよう。

 

 

 

 

 

 






其れは地底の『赤』


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