VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

456 / 1076


降りた先で見た物は




断片に触れて

神代(しんだい)鐵遺跡(くろがねいせき)内に在るレディアントシリーズ一式が封印されていた、小さな研究室にて光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)を装備した事で起きた、未知なるエリアへ通じる螺旋階段の出現。

 

インベントリに一式装備を収納し、聖盾イーディスを装備したペッパーは、パートナーのヴォーパルバニーのアイトゥイル、ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンたるノワを連れ、更なる地下へと歩を進める。

 

「二人共、足元には注意してね」

「はいさ」

『ワンッ』

 

タン……タン……タン……と歩みを進めれば、階段は終わりて床に足が付き。漆黒を空間に灯りが点りて、一人と一羽と一匹の目の前に晒された。

 

無果落耀(むからくよう)古城骸(こじょうがい)の城と思われた遺跡の地下、其の最果てにて見た三つのΔ装置が在った研究室(ラボ)よりも二回り大きな室内には、様々な機材や装置が置かれ。

 

室内の一角には『手術台』に『手術ロボットらしき物』が配備、他にもプレス機・溶接機・作業用アーム・ベルトコンベアと『何かを製作』出来る工業ライン、更には『試運転室らしき場所』が在ったりと唯成らぬ気配と未知が漂っている。

 

「なんじゃこりゃ…………」

 

上に在った研究室とはまた違った研究室に、ペッパーは唖然と成っていて。しかし此処に入れたという事実から、此の場所には何かしらの情報が有るのではと思いながら、一行は捜索を開始する。

 

「工業的機材、手術的機材………は動かず。えっと、此方に在るのは『ディスプレイパソコン』か、しかも随分旧式の奴だな。コードは刺さってる、電源は………入った」

 

一昔前のデスクを思わせるテーブルとパソコンを調べ、電源を入れると起動し、パスワード画面に切り替わる。

 

「………此の手のタイプは、レトロゲームだと座った場所から『見やすい箇所にメモが貼られてる』ってパターンが御決まりだが……………ん?」

 

デスクの正面、壁に固定された『ボード』に多数の丸型磁石で貼り付けされた無数の資料の中で、唯一つ貼られてる『写真』を発見。合掌と共に其の写真を磁石から離して、ペッパーは其れを見る。其の写真は永い年月が経った事で随分と色褪せてしまっているが、人の輪郭はまだ残っており。そして写った人物を見た彼は自身の目を疑った。

 

其処には『光輝へと昇る金龍王装を作った女性』を初めとして『天津気(アマツキ) 刹那(セツナ)』と『ラテン系か中東系の顔立ちをした身長2m越えのダンディな大男』、更には無果落耀の古城骸の地下で見た『マッドサイエンティスト』等々、一同に介して映るとんでもない物で。

 

表情は十人十色で誰かを睨み付けていたり、互いを見つめ合っていたりと、中々カオスな物なのだが集合した形から判るのは、彼等彼女等が『記念撮影をした』────という事であろう。そして其の後ろには『パスワード』と思われる、十桁の英数字が記されていた。

 

「いや………此の写真に写ってるのって、刹那さんにΔ装置を託した科学者、其れに金龍王装を作った女性………。じゃあ、此の男性って………まさか『ウェザエモン・天津気(アマツキ)さん』……なのか?」

 

天津気 刹那が産み出した悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)大天咫(おおてんた)天王(てんおう)と共に神代最強の英雄と成った男の名。そして愛する人を小さな嘘によって喪い、己の誓いと彼女への贖罪の為に機械の鎧に身を包み、天津気 刹那の墓を守らんとして『死に損ない』と成った者。

 

他にも男性や女性が居るのだが、色褪せが激しく写真に映る全員の顔は判らず仕舞いに終わった。

 

「一応スクショを撮って、写真を再生させられる所で直しておきたいな………」

 

パリャリとスクショを撮った後、ではパソコンの中身を拝見しようとパスワードを入力してクリックすると、小さな文字で『ようこそ』の表示が。どうやら合っていたらしい。

 

「ノワはん、ノワはん。間違って飲み込みそうだから、あまり遊んじゃ駄目なのさ」

『グルル、ワゥン!』

 

と、アイトゥイルとノワが何か会話しているらしく、ペッパーが振り返って見れば、ノワは口に玩具の骨でも咥えるように『何か』を持ち運んでいて、アイトゥイルが注意していた。

 

其れを注意深く見ると『角を取った三角柱状の筒のアイテム』で、己の記憶の引出しを開けていけば以前にオイカッツォが見せた、墓守のウェザエモンの御供・戦術機馬【騏驎(きりん)】の撃破報酬の『規格外エーテルリアクター』と同じ物。

 

駄目押しに凝視すれば、アイテム名に『規格外エーテルリアクター』と名付けられているという、ダブルパンチでペッパーは目を見開いた。

 

「ノワ!今、君が咥えてるモノ!其れ超重要アイテムなんだ!取り敢えず放してくれない?」

『ワンッ!』

 

咥えていた其れを至極あっさりと放したノワ。受け取り調べてみると破損していなかったのを確認し、彼はノワの頭を目一杯撫で撫でした。

 

「ノワ、とってもナイス。コレは何処に置いて在ったの?」

『ワゥル』

 

まるで『付いて来て』と、其の場にてクルンと一周回ったノワは、タタタッと走り出し。室内の一室に在るチタン製の棚を眼差しながら、ワンッと一鳴きする。其の棚の中には規格外エーテルリアクターが『二本』も並んでおり、ペッパーは再び唖然となってしまった。

 

「えぇ…………」

「ペッパーはん、コレって相当な物なのさ?」

「あぁ、うん。相当な物なんだよねコレ………」

 

遠い目をしつつ、コレがバレたらペンシルゴンやオイカッツォ、京極(キョウアルティメット)にサンラクから漏れ無く『オハナシ』が飛んで来ると確信しながら、此のままコレを置き去りにすると別の開拓者に持っていかれると考え、ノワから受け取った物と合わせて『インベントリ』へと収納する。

 

(インベントリア(・・・・・・・)に入れてると他四人と共有状態に在るから、間違い無くバレるんだよな。其のデメリットを除いても充分過ぎる程の『御釣り』が在るのがヤバいんだけど。というか、何で規格外エーテルリアクターが?もしかして此処を拠点としていた、あの女性が作った物なのか?)

 

気になる事は色々有るが、先ずはディスプレイパソコンの中身を確認して、此処であの女性が何をしていたのかを確かめる事にする。

 

再びパソコンに向き合ってデスクトップを確認すると、中央にファイルが一つ在るのみで、ゴミ箱には何も無い。即ちファイル一つ以外に、此方が閲覧出来る物は無いと言うことだろう。そして其のファイルには『ファルナ・レポート』というタイトルが書かれていた。

 

「………『ファルナ・レポート』ねぇ」

 

万が一という可能性が有る中、彼は意を決して其のファイルをダブルクリックした。そして開かれたファイルを見た彼は──────驚愕する事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファルナ・レポート

 

6·6·6·計画なるモノは結論から言うと、エドワード・オールドクリング氏の気持ちが、最近になって漸く判ってきた。人類という一種族を犠牲にして未来を繋ぐという結論を、彼は許容出来なかったのだろう。

 

彼は最後まで人の未来を案じていた。故にこそ彼はアリス・フロンティア氏と、ジュリウス・シャングリラ氏と袂を別けたのだと。去り行く彼の背中にはそんな想いが籠っていたのだと、今はそう想える。

 

私は罪を犯した。人が蒼空を飛ぶという夢を叶え、防波堤たる彼を支える為に作った力が、人同士の争いを招く原因を作った。一つのみを遺して私の権限で稼働していた全ての自爆スイッチを押した時、仲間達の怨讐の声が聞こえたのは間違い無い。

 

今も悪夢の中で彼等彼女等の声が響く。遺された一つは私自身の手で分解し、各々の場所に封じた。私は私の命を以て産み出した者としての罪を償う。きっとコレが読まれる頃には、私はもう自決しているだろうが………。

 

嗚呼、もしも彼の息子に。英雄好きな龍に逢えたなら、父親が『良く頑張っている。凄い奴だよ』と何時も誇らしげに語っていた事を、どうか伝えてあげて欲しい。其れがきっと彼へ───────唯一機遺される事となる、ジークヴルムへと送るべき言葉である筈だから。

 

 

筆者:ファルナ・シェリー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金龍王装を創り上げた者の名がファルナ・シェリーである事、ファルナ・レポートなる物が彼女の遺書である事。

 

そして地下の映像で見た科学者の名がエドワード・オールドクリングという人間だった事、天覇のジークヴルムに対する伝えるべき言葉が示された、またしてもとんでもない『情報爆弾の権化たるファイル』だった事を知ったのだから………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






遺されたモノ









ファルナ・シェリー

神代の英雄の一人であり、機械光学の一点に関してだけ見れば、天津気(アマツキ) 刹那(セツナ)に比肩し得る才覚を持っていた人物。どれくらい凄いかというと、規格外エーテルリアクターを見た『だけ』で脳内で図面を作り出し、其れを完全模倣し切る程だった。

人体実験等で自身を傷付けるのも厭わないマッドサイエンティストであり、外付けで⬛⬛⬛⬛実験を行ったりした彼女は、自身が尊敬していた⬛⬛⬛・⬛⬛⬛⬛⬛⬛と⬛⬛⬛⬛⬛⬛・⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛の二人の理論や研究を元にして、神代人類が外界で活動・飛翔・攻撃可能なデバイスたる光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)を産み出した。

此の装備は元々⬛⬛⬛⬛のジークヴルムを補助する目的として産み出されていたが、人類同士による争いによって血が流れた事により、彼女は自身の権限を行使して⬛⬛⬛以外の全てを自爆させ、最後に残された⬛⬛⬛を分解・自らが信用出来る者に魂・機構を預けて各々の場所に封印を命令、残された一欠片たる器を封印した後、彼女は研究所に単身で引き隠り、人を殺したという責任を自ら取る為、毒薬を服用して自決した。

享年29歳。



蒼空を舞うという『自由』を願った者。其の願いは当時の『人』にとっては()()であり、同時に()()()でも在った。

だが『今の人類』なら、或いは───────


彼女のモチーフは『戦場のヴァルキュリア2』に登場するキャラクターの一人『クレメンティア・フェルスター』で、顔以外に手術痕の継ぎ接ぎが刻まれている様な見た目。




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。