レポートを読み終えて
※機種変更からの初投稿です
ファルナ・シェリー。神代の大いなる遺産の一つ、ユニークモンスター・天覇のジークヴルムを模倣し、世界に示された人が蒼空を舞う為の答えたる、
彼女が遺したレポート………もとい遺書には
「というか『6·6·6·計画』って何なんだろう。少なくともあの科学者………エドワード・オールドクリングが、ジュリウス・シャングリラにアリス・フロンティアと袂を別けた『理由』だろうが………うーん」
人類を犠牲にして未来を繋ぐという
さて脱出をといった所で、ペッパーの足が止まる。其れはゲーマーとしての直感か、生物としての危険に対する悪寒か、或いは其の両方なのか。此のまま退室したなら、何かヤバい事が起きる…………そんな予感が彼の脳裏を過る。
「…………一応インベントリアにクターニッドさんの聖杯を入れておこうかな。後は………やりたくなかったが、規格外エーテルリアクターも移しておこう」
大事な物をインベントリアへ、両足にビィラック作の
アイトゥイルを
結論から言えば、神代の鐵遺跡にてペッパーが他のプレイヤーに見付かったり、追い掛け回される事は無かった。遺跡を出てサードレマへと戻る道中でも、暗闇に同化しているような色合いである為に、何事も無く進む事は出来た。
(なぁんか順調過ぎるんだよなぁ…………)
あの時に自分を襲った嫌な予感は、未だに収まっていない。アレが何なのかは解らないが、其れでも用心するに越した事は無いだろう。夜のサードレマの街並みを歩き進みつつも、幕末で培ってきたノールック直感システムの応用による周辺警戒で、突発的に始まりかねない敵の奇襲にペッパーは備える。
道行く他のプレイヤー達も見える上に此方が纏う装備が気になるからか、目で追い掛けたり振り向いたりするものの、名前隠しの能力によって『NPC』と誤認しては通り過ぎて行き。此の辺りでそろそろ裏路地へと思っていた所、前から歩いてきた鋭い目付きの女性プレイヤーと目が合った。
彼女は鼻から左頬へと走る傷ペイントを顔に刻んだ、凛々しくも荒々しさが内封された茶髪をポニーテールに結んでおり、服装も女子のキックボクシング選手の様なグラップリングを重視するスタイル。
肩や腕に腹部の筋肉の付き方から、おそらくステータスは筋力に重きを置く、近接前衛職のプレイヤーだろうと思いながら通り過ぎたのだが、其の女性プレイヤーは此方を見ながら付いて来たのである。
(ペッパーはん、ペッパーはん。何か女の人が付いて来てるのさ!?)
(把握してる。取り敢えず裏路地に入って、人目の付かない場所で事情を聞こう)
気付いていないフリをしつつ、人目が少ない裏路地に入って待機していれば、其の女性プレイヤーもやって来て。ペッパーは其の者………頭上を凝視した事により『サバイバアル』と判明したプレイヤーに対して問い掛ける。
「貴方は誰?何で付いて来ているんですか?」
「オマエ、ペッパーか?名前無し、目がオッドアイ。そして………サンラクと同じクラン
サバイバアルから発せられた声は低くとも力強い『男声』、所謂ネカマでプレイしている
「………仮に自分が『ペッパー』だとして、サバイバアルさんは何が目的ですか?」
「別に俺は『争い』に来た訳じゃねぇ。ただ、ペッパー………オマエのお陰で『同郷の友』を見付けられたってのを、礼がしたかったってだけだ。後は………個人的に少し『話』がしたい」
話の内容によっては、より面倒な雰囲気に成りかねないと確信しつつも、取り敢えずは聞くだけ聞いてみる事にしたペッパーは、名前を明かす事はしないままに「じゃあ……蛇の林檎で話をしましょうか」と提案し、サバイバアルは其れに乗っかって。二人は暗闇の裏路地を移動し、NPCが運営する穴場のカフェである蛇の林檎へと向かう。
「何か食べます?」
「………ならドリンクを一杯」
「マスター、林檎ジュースって有りますか?自分と彼女に」
「畏まりました」
シャンフロの各街に在る蛇の林檎に入店し、個室を取ったペッパーは席に座り、サバイバアルと向き合う。
「先ず、問いたいが………オマエはペッパーで合ってるんだよな?」
名前隠しの能力によって隠されているプレイヤーネームを問うサバイバアルに、ペッパーは答え合わせをするように奏でる者の旋律羽衣の名前隠し能力を解除すると、彼の頭上には『ペッパー』と名前が表示された。
「どうやら『本物』らしいな」
「ん?本物?」
「知らねぇのか?今ファステイアやセカンディルに居る
「えぇ………」
サバイバアルの発言にペッパーは遠い目をした。何せ其の手のMMORPGでは、有名プレイヤーの名前を一文字変えたプレイヤーネームだったり、アバターの顔をコピーしてプレイしたり等々、其のプレイヤーの恩恵に乗っかろうとする輩が少なからず居るからである。
とうとう自分も向こう側のプレイヤーになったのかと、心の内にて頭を抱えていれば、サバイバアルがこんな事を言ってきた。
「ペッパー。オマエのお陰でサンラクと再会出来た事、俺は感謝している。別のゲームで
サンラクよ、お前はサバイバアルと一体何をやったんだ。そんな疑問を抱いていれば、注文していた林檎ジュースが届いて。美食舌の効果で美味しい林檎ジュースとして味わっていた最中、サバイバアルはペッパーに本題の話を始めたのだ。
「何でも此処最近オマエの
「……………何処で其れを?」
「カカカッ。俺ァこう見えても『顔』が広くてな、知り合いのプレイヤーから其の筋の話は聞いてんだ………」
サバイバアルが嘘を言っている様子は無い、であれば二つの狼の戦争に自ら飛び込むつもりなのかと、ペッパーは心の内にて警戒し。
「もし手ェ足りて無いならだが、俺を一戦力として『雇う』気はねェか?『
サバイバアルはそう言ったのだった。