VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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VS ゴルドゥニーネの分け身






暗きを照らし、闇を呑み込み

『ユニークモンスターに関係するユニークシナリオ』というのは、ペッパーとサンラクの経験上からすれば他ゲームの『エンドコンテンツ』に等しい難易度であると認知している。

 

そしてゴルドゥニーネの分け身というモンスターも、戦闘開始直後より口の中から()が飛び出して掴み掛かってきたり、蛇+人型ボスの挙動を一通り網羅していたり、普通にタフネスに秀でたモンスターであったりと、ボスの及第点たる『簡単に倒れてくれない』存在だと言うのは判る。

 

だからこそ(・・・・・)、彼等は警戒しているのだ。あまりにも────そう、あまりにも『簡単過ぎる』からこそ、二人は警戒を止める事はしない。

 

「オラァ!」

「せいっ!」

 

金色の斬撃と漆黒の打撃が、スキルエフェクトを纏い黒ツチノコと形容される、ゴルドゥニーネの分け身を相手に炸裂。切り裂かれて殴られて弾け飛んだ鱗や体液は、片や表面に流出して『皇晶化効果』によって瘡蓋の如く固まり、片やショートメイスの表面にマナと鱗が吸い付き付着する。

 

「ペッパー、皇晶部分を破壊してくれ!其処ならダメージが通りやすくなる!」

「任せろ!呑黒(どんこく)で採ったら、そっちに渡す!其の間のヘイト請負頼んだ!」

「了解!」

 

付着したマナと物質を吸収し、呑黒は王撃ゲージを90%に高め。獲得したゲージを30%と50%消費しクリティカル発生率上昇と装甲貫通効果付与を受けて、武器の()()がより殺傷能力に秀でた姿へと独りでに()()していく。

 

「ッ!」

 

襲い掛かる掌の掴み攻撃を至近距離で避けつつ、サンラクが黒ツチノコのヘイトを買い、其の隙にペッパーが皇晶化した部分に肉薄。巨人兵の大厳撃覇(ジャイアント・インパクト)で皇晶化部分を叩けば、装甲貫通効果とクリティカル発生率上昇効果の組み合わせが一撃で結晶を破壊し切り、呑黒には紫水晶に似た水晶が付着する。

 

其れを空いた右手で剥がし、大半をインベントリアに収納しながら、一部はインベントリに収納したペッパーは、サンラクに向かって叫ぶ。

 

「サンラク!インベントリアに皇晶化した結晶を入れといた!」

「サンキュー!此のまま奴が倒れるまでジャンジャン採取するぞ!」

「解るよ、周回出来ない可能性が高いからな!採れるだけ採っておきたい!」

 

分け身を倒すと宣言した以上、あまり時間を掛けられないが、周回不可能な可能性を宿す此のイベントで手に入る『成分結晶:ゴルドゥニーネ・レプティカ3』を、此処で出来る限り集めておきたい。

 

(というかレプティカ3ってなんだ?今のゴルドゥニーネの分け身の『状態』か?)

 

あの黒ツチノコには二人で挑んで居るからか、ダメージソースが二倍になっているからか、順調に………順調過ぎる(・・・・・)程にダメージが通っている。どう考えてもユニークモンスターたるゴルドゥニーネが、倒れてくれる訳がない。

 

ならば、考えられる可能性は一つだけ。

 

「サンラク、対刃剣のゲージ具合はどうだ!?」

「冥帝輝は効率が悪くて蓄積が悪い!対刃剣の片方が機能不全を起こすと、こーゆー弱点も有るとは思わなかったわ!あとツチノコは『多段形態ボス』!」

 

どうやらサンラクも同じ答えに辿り着いたらしい。同時に一定時間の経過か、或いはダメージラインを切ったか、ゴルドゥニーネ・レプティカ3の動きがピタリ……と止まって。

 

其の内側から何かが蠢き(・・・・・)、ゴルドゥニーネ・レプティカ3という身体の中から、得体の知れない何かが出よう(・・・・・・)としているかの様にも見える其れに、サンラクは漸く黒ツチノコに対する『勘違い』に気付いた。

 

アレは『蛇のガワを被った何か』であると。言い換えるなら風船の中でスーパーボールが跳ね返り、蛇として奇天烈な形をしている内側から更なる衝撃で歪な形状に変わり、其の内側から攻撃するのは『四つの打撃点達』。

 

其の直後、丸々太った腹部を貫いて()が現れて。其の腕に続く形で、もう一本の腕が貫いた腹部を引き裂く様に、荒々しく割き開きながら其れ(・・)は姿を見せる。

 

掴み掛からんとしていた腕擬き(・・・)とは全く違う、正に『白魚の様』な女性の手が(・・・・・)()()()()()。成分結晶の色合いから恐らく紫であろう体液に濡れて、不気味な程に妖艶な気配を漂わせながら姿を現した。

 

「第二形態……にしても『大盤振る舞い』、か」

 

サイズが三メートルに匹敵する点に目を瞑れば、あのゴルドゥニーネは『人間』にしか見えないだろう。其の胸には立派な双丘を二つ持ち、人間のサイズに例えれば『超一流グラビアアイドル』レベルのプロポーションを誇る。

 

尤も『女性としての大事な部分』は、年齢制限的な意味合いで鱗に覆われ隠されてはいるものの、どうにも目のやり場に困るのは明確だった。しかしながら、ゴルドゥニーネのユニークシナリオが発生していないにも関わらず、おまけに前哨戦ながらに人型と化したゴルドゥニーネと戦う事に成るとは。

 

『ハァァァァァア………』

「おい、服着ろよゴルドゥニーネ」

『………………』

 

そんな中で魔が指したのか、サンラクが『お前が言うな』発言をゴルドゥニーネ相手にブチ噛ました。だが考えて見れば、ユニークモンスターには此方の言葉を『理解出来る』。リュカオーンやクターニッド、ジークヴルムにヴァイスアッシュ、そしてウェザエモンも感じ方に差異は有れども、反応したり言葉を返してきたりした。

 

であるなら、此のゴルドゥニーネは如何なる言葉を返すか…………そう思いつつも警戒を続けていれば。

 

『…………ひ、ト』

 

ゴルドゥニーネが喋る。其の顔を上げる。

 

()タシ(・・)()………()()()()……にぃネ(・・・)────ゆエに……殺す(・・)

 

目は二つ、鼻と耳……そして耳の根元まで引き裂けた口と、伸びる先が二股に割れた長い舌。目は人と明らかに異なる爬虫類の眼を持ち、其の蛇相(じゃそう)が今のゴルドゥニーネを『人』に非ず、謂わば『蛇人』の其れだと明確に『示していた』。

 

『シィィィィィィィ!』

「ペッパー、第二ラウンドだ!気合入れて叩くぞ!」

「OK、やってやろうぜ!サンラク!」

 

変形か進化、或いは脱皮を経て人の姿をした、ゴルドゥニーネ……………『ゴルドゥニーネ・レプティカ4』が吐瀉した、触れたらアウトな毒液焼夷弾(ポイズンナパーム)をゴングとして二人の開拓者が挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『嗚呼、聞こえるワ…………()が目覚め、()に成ろうとする………声ガ』

 

二人の開拓者が、ゴルドゥニーネ・レプティカ4と戦い始めていた其の頃、暗きトンネルの中を侵攻していた其れ(・・)は気配を感じ取っていた。

 

『匂ウ……匂ウ……。()()、そして犬の()()()が放ツ、不愉快な臭イ。犬の()と、寵愛(・・)()()()と『一番不愉快』ナ、(チカラ)を受けた最悪の臭いガ………』

 

其れ(・・)は、四体の蛇を従えている。

其れ(・・)は、全てを憎悪する存在である。

其れ(・・)は、其の四体の蛇と比べればあまりにも小柄な者である。

 

『ウフフ………(すべカラ)く、惨タラしく、全テ殺して綺麗にしまショ?』

 

其れはゆっくりと動き出す…………己の様に成らぬ様にと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






蛇が来る


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