VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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第二ラウンド




蛇女は昂り、星達は瞬く

ゴルドゥニーネ・レプティカ4。

 

ゴルドゥニーネ・レプティカ3時のツチノコ形態から一転して、深淵のクターニッド:想像態を二回り小さくして尚も巨人の姿たる三メートル程の巨人。

 

人と蛇型モンスターの複合挙動を行い、毒液による爆撃や其の毒液を別の武器に構築し直し、多種多様な戦法を仕掛けてくる。成程、先程迄のツチノコ形態には無い挙動は確かに『厄介』と言って良い。

 

「悪いな、家のプロゲーマー曰く『此の御時世で人型の挙動は熟知してて当然』だってな!」

 

ヴルム・ハーフニィルを攻略する為、オイカッツォに勝つ為、人の動き方を自分の身体に落とし込んで修行してきた、其の努力は無駄では無い。幕末で培った敵の視線と脚の位置、そして腰と肩の動きから、毒液をグローブに固めた拳で叩き潰す事を狙っていると悟りつつ、サキガケルミゴコロでギリギリまで引き付けて回避。からのミルキーウェイで肉薄しながらに腹部をオウツキノアカシで殴り付け、其所に刻印を残して距離を取る。

 

『シャアアアアアアアアア!!!』

「動きが素直過ぎなんだよッ!馬鹿ドゥニーネ!」

 

勇魚兎月(イサナトゲツ)達では相性が悪いと、サンラクがフェイバリットウェポンの煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)に切り替える。振るわれる拳を紙一重、しかもスキルを使わずに回避。

 

通常跳躍からフローティング・レチュアで虚空を一歩踏んで更に跳躍し、アガートラム・テンカウンター・燐砕拳(りんさいけん)のトリプル拳撃スキルコンボ+ブラストアップの筋力上昇+ニトロテック・チャージによるダメージ上昇と再使用時間(リキャストタイム)短縮を乗せて、ゴルドゥニーネにアッパーカットを打ち据える。

 

「揺れろ脳天、馬鹿ドゥニーネ!」

「追撃は任せろ、サンラク!」

 

テンカウンターによる気絶能力付与により、一瞬身体がぐらついたゴルドゥニーネ・レプティカ4。其所へ効果が残ったミルキーウェイで空を駆け、発動者が5m内に居る敵へ『打撃武器を用いて攻撃する際』に、其のダメージをスキルレベルに応じて倍率上昇を行う『ティオ・チャクラ』を点火。

 

象牙兎月(ゾウガトツキ)呑黒(どんこく)から風雷皇の御手(サルダゲイル・アトゥヌ)切り替え(スイッチ)刻蓬封点認視界(エディア・キュリス・ウラタナ)&龍脈を映す視覚(ドラスティエル・ナルクト)のダブルコンボでゴルドゥニーネ・レプティカ4に最も攻撃が通る場所を見据え、神威光臨進(かむいこうりんしん)とシャイニングアサルトで加速しながら、メダリオンフィストでオウツキノアカシが打ち込まれた場所を更にぶん殴り、衝撃を爆発させた。

 

炸裂した衝撃にゴルドゥニーネ・レプティカ4がバランスを崩し、摺鉢状のバトルフィールドにて尻餅を付く。手から離れた毒のグローブは形状維持が出来ずに、毒液となって滴り落ちて土を溶かすのを見た事で、ペッパーは仮説を以てサンラクに声を掛けた。

 

「サンラク!多分だが『結晶成分』を採取するには、奴が作る毒液の武器を『クリティカルでパリィ』しないと入手出来ない気がする!」

「マジか!ヴァッシュの兄貴め、中々(ムズ)い事を要求しなさるなぁ…………!」

「でも御好きでしょう?そういうシチュエーション」

「当たり前だ、やってやろうじゃねーかゴラァ!!」

 

逆境上等(クソゲー最高)!とでも言わんばかりにサンラクが吠え、煌蠍の籠手から勇魚兎月達に再び切り替える。ならば此方がやる事は、サンラクが此の摺鉢状のフィールドで疾走に集中出来る様に、空中戦で援護をする事だ。

 

両足に深厳の戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)を装備、風雷皇の御手に『放出せよ(Discharging up)』と言霊を乗せて機能を解放。雷迸り風がつんざく音と共に、ペッパーは拳を構え直すのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペッパーとサンラクがゴルドゥニーネ・レプティカ4と、死闘を繰り広げている其の頃。ゴルドゥニーネ・レプティカ4………元ゴルドゥニーネ・レプティカ3が差し向けた眷属達との戦いは混沌を極めていた。

 

今回の戦いに、レベル完ストプレイヤーが四人加わった事。魔法攻撃による先制攻撃が圧倒的な破壊力により、タワーディフェンスでよくある『○○WAVE』を一撃で吹き飛ばした事。其れ等を加味してもヴォーパルバニー達とゴルドゥニーネの分け身の眷属の戦力は、漸く『互角』といった具合である。

 

というのも、レベル完ストプレイヤーでも苦戦する強い蛇の群れの中に、何故かワンパンで倒せる貧弱な蛇が紛れ込んで居たり。逆にワンパンで仕留められる貧弱な群れの中に、レベル完ストプレイヤーを一撃で吹き飛ばす様な蛇が潜んで居たりと、普通(・・)のプレイヤーからすれば厄介極まりない。

 

そう、普通ならば(・・・・・)─────である。

 

「ヘイヘイヘーイ!そんなんじゃ私は倒せないよ~、蛇ちゃん達ー?」

 

金色に輝く槍の穂先を振るい、次々と蛇の脳天を穿ち貫き(ブチ抜き)。首を断ち切って胴体と頭を別け隔て(サヨナラ)させながら、赤いポリゴンが舞い散る中で、ペンシルゴンが不気味に笑う。

 

聖槍(せいそう)カレドヴルッフ………シャングリラ・フロンティアというゲームに『六種』しか存在しない、ユニークのなんたるかを証明する『勇者武器(ウィッシュドウェポン)』に属する武器の一つである其れは、装甲と肉質を貫いて刃を命へ届かせる、ゲーム内最高峰の『装甲貫通能力』を保有している。

 

例え相対者が水晶群蠍(クリスタル.スコーピオン)の煌美やかな甲殻や針を用いて作り上げた鎧で全身を武装し、金晶独蠍(ゴールディ.スコーピオン)で作り上げた強靭で荘厳な盾で防ごうが、其の槍の穂先は金色の盾すら穿って水晶の鎧をも貫いて、肉体に鋒を届かせられるのだから。

 

何よりも今の状況(シチュエーション)は、廃人狩り(ジャイアント.キリング)で恐れ知れ渡った彼女にとって、自身の力を最も発揮する事が出来る状況だった。敵の混乱に乗じて、最も強大な(エネミー)を討ち取る事………其の『過程』の中には己さえも。

 

只の『歯車の一部』として切り捨てられる彼女は、此の戦いさえも自身の恋人(ペッパー)に追い付き、隣に並ぶ為の単なる『通過点』として捉えているに過ぎないのだ。そして──────其れと『似た感情』を抱いているのは、何もペンシルゴンだけに非ず。

 

「ハァッ!!!」

 

シャングリラ・フロンティア内で『最高瞬間火力』を誇り、世界に『最大火力の記録(アタックホルダー)』として名を刻み、ペッパーと共に此の先に居るゴルドゥニーネの分け身を相手に戦うサンラクの隣に立って、何時かは現実(リアル)でも仲良くなり。

 

最終的には恋人と成りたいと願う、サイガ-0もまた此の戦いを『通過点』と捉えて、残りのゴルドゥニーネの眷属達を殲滅し、彼の元へと向かわんと躍起とヤル気に満ちながらに、致命の大鎚(ヴォーパル.スレッジ)・改十四を二つ頭のアナコンダの片方に叩き付け、流れるままに残りの頭を叩き上げて倒す。

 

「何か………凄いですね」

「ペンシルゴンさんとサイガ-0さん、凄いです!私達も負けてられませんよ、レーザーカジキさん!」

「わわわっ!?ま、待ってくださーい!?」

 

大きな死神の鎌を持ちながら、ペンシルゴンとサイガ-0に続かんとする、秋津茜(アキツアカネ)を援護せんと魔法を放っていく。

 

風来兎のアイトゥイルに武者兎のシークルゥ、魔術師兎のエムルや江戸っ子インテリヤクザなエードワードも、他のヴォーパルバニーに混じり、リュカオーンの小さな分け身たるノワも影を潜り、闇を纏った牙と爪を蛇の首筋に突き立て囓り裂いて。

 

 

 

だが、其の時。

 

 

 

ノワはペッパーとサンラクが向かったトンネルの奥から、とてつもない『殺意と憎悪』を感じ取った。何かが近付いている………彼が危ないと、野生故の直感が直ぐに行動せよと叫んでいる。彼処に居るあの金色の槍を振るう女は、私のモノをさも自分のモノと言っているが、実力は確かだ。

 

ならば此処は奴に任せて、自分は何をするべきか?自分の策謀を見抜いてみせた彼なら、こんな時にどんな行動を取るか?考えて、考えて、考えて─────ノワは結論を出す。

 

フィールドを見渡し、影に紛れ込み。蛇と兎に開拓者達が躍り狂う戦場を脱け出し、ノワはたった一匹でトンネルの中を真っ直ぐに。()()殿()()()()()()へと走り出した。

 

戦いは更なる混沌と共に、状況を加速させていく………。

 

 

 

 

 






強者共よ、暴れよ


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