VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ゴルドゥニーネ(本人)のサプライズ




(まが)なる蛇よ、我等の怒りを思い知れ

『だから!全て(・・)死んで頂戴?』

『オマエ、オマエが、死ねぇエエエエエエエ!!!』

 

突如襲来した、ユニークモンスター・無尽のゴルドゥニーネ。其のゴルドゥニーネに襲い掛かった、ゴルドゥニーネ・レプティカ4。だがゴルドゥニーネ・レプティカ4は知らない、此れが自分の『敗北イベント』である事を。

 

『生まれたての()。嗚呼、そうやって()()()()()()()。本当に不愉快、とても不愉快…………ネ』

『殺ス!死ね!死ェェェェェェ!!』

 

勧善懲悪、原始的時代から続く悲しき宿命。平和の素晴らしさをヒーローが説いたとしても、ヒーローだけでは(・・・・)世界は決して成り立たない。其処に平和を脅かし、安寧を妨げ暴れるヴィランが居なくては、彼等彼女等は決して輝けない(・・・・)。其の点を考えるとゴルドゥニーネ・レプティカ4がヴィランで、無尽のゴルドゥニーネがヒーローの様な物だろうか。

 

『私の可愛い子供達、どうか()を壊して頂戴ナ。どうか()を殺して頂戴ナ。そして────もう二度と()にならないようにネ』

 

ゴルドゥニーネ・レプティカ4が毒の武器を作るより尚早く、無尽のゴルドゥニーネの底冷えした視線と共に、彼女に仕える四体の龍蛇(ナーガ)達が殺到、蛇女巨人に喰らい付いた。

 

彼女の左上に仕える龍蛇は、蛇女巨人の右肩から先の腕を喰い千切って吐き捨て。

彼女の右上に仕える龍蛇は、蛇女巨人の左肘から先の腕を噛み砕いて破壊して。

彼女の左下に仕える龍蛇は、蛇女巨人の鳩尾を弾丸の如く貫き破壊し、次いでとばかりに左膝をも破壊せしめ。

彼女の右下に仕える龍蛇は、倒れる蛇女巨人の右膝を締め砕いて、四肢を捥ぎ取り達磨に変えた。

 

そして駄目押しとばかりに四匹の龍蛇達は、各々の牙を蛇女巨人に突き立てて毒を注入しながら、まるでペットが主人に見せ付けるように運びつつ、其れを乱雑に彼女の前へと投げ落とす。此れは謂わば『サンドバッグ』、強者が弱者に必要以上の暴力を強いる光景だ。

 

だが、其れ以上に。ペッパーとサンラクの感情は現時点で別の物に置き換わっていた。ペッパーにとっては既に虫の息たる者に対し、其れ以上の惨い仕打ちをするゴルドゥニーネに対して。サンラクにとっては勝手に横入りした挙句に、此方の獲物を強奪すんなやボケがという物で。

 

そして小さな足で達磨にされたゴルドゥニーネ・レプティカ4を踏み付けんとした、無尽のゴルドゥニーネからダッシュスキルによる圧倒的な加速で奪い返し、ストレングス・キャリアーで運送。からの死に体にあるゴルドゥニーネ・レプティカ4へ『死神の斬撃(デス・マサカー)』を動脈にクリティカルで直撃させながらに、ペッパーは無言と静かな怒りを纏いながら、無尽のゴルドゥニーネを睨み付ける。

 

『あら? 何のつもりかしラ?』

「何のつもりか?乱入してきた挙句、彼女を惨たらしく痛め付ける必要は本当に有ったのか?そう聞きたいからだ」

「ペッパーの意見にゃ同意だわ。─────いきなり横からしゃしゃり出て来て、人様の獲物を奪っといて何様のつもりだクソガキ(・・・・)

 

そしてサンラクもまた、ゴルドゥニーネを挟む形で睨み付けており、其の口調から明らかに()()()()()のが解る。

 

『フフフ、アレ(・・)の姿を見て怯え竦まないなんて………貴方達、随分と勇敢な(ゴミ)なのネ」

 

指差し達磨と化し、ダメージエフェクトとポリゴンを撒き散らしながら、絶え絶えの呼吸で無尽のゴルドゥニーネを睨む、ゴルドゥニーネ・レプティカ4を構築していたポリゴンが崩壊し──────そして消滅した。

 

「貴女があの(・・)ゴルドゥニーネの分け身に対して、何故『憎悪』を抱いているか俺には解らない。ただ一つ、たった一つだけ確か(・・)なのは。俺はお前を『絶対に許さない』って事だけだ」

「別にアイツがフルボッコにされてる事に対して『意義』が有る訳じゃない。どちらにせよ俺が殺るかオマエが殺るかの違い────其れだけだ。俺が『文句』を言いたいのはさ…………『人の獲物を横から掻っ攫っといて、偉そうな(ツラ)してんじゃねーよ』って事さ。スクショして掲示板に晒すぞテメェ」

『すくしょ……? ウフフフフ、少しだけ愉快だワ。晒されるのはお前達の屍────』

 

其の刹那、此処まで近付いていたサンラクがゴルドゥニーネに『デコピン』を噛ましたのと同じタイミングで、小さな少女の背中に放たれた悪寒(・・)。そして其れから主を守らんとした左下の龍蛇が割って入り、其の巨体に明確な『斬り傷』が刻み付けられた。

 

『ゴァァッ!?!』

『───────』

「邪魔が入った……」

「えっと、おーおー………随分と間抜け面だ。傑作だなぁオイ」

 

ペッパーの右手には『七つの穴の内の持ち手に近い場所に二つの宝玉が納められ、黒いオーラを業火の如く噴き出し続ける聖剣』が握られており。まるで『居合でも行った後の様な残心を以て』、ゴルドゥニーネに振り返り。其の一撃で仕える龍蛇の一匹が、明確な傷を受けた事に目を見開いたゴルドゥニーネの『全体像』をサンラクはスクショしながら言った。

 

「良かったじゃねーか、ゴルドゥニーネ。もし俺も加わってたら、軽く五十回は死んでたぜ?」

「従者に感謝して下さいね。───次は其の首斬り落としますから」

 

胸に右拳を叩き付けて黒雷を、左指で高らかに打ち鳴らして緋炎を纏い。ストンと表情の抜け落ちた表情の無尽のゴルドゥニーネは、笑顔の形たる表情を『作った』後に一言。

 

『──────殺セッ!跡形も無く……惨たらしク!!』

「殺ってやろうじゃねぇかぁぁぁぁぁぁ!!」

「勝負だッ!無尽のゴルドゥニーネェッ!!!」

 

戦いの火蓋は再び切って落とされた。四匹の龍蛇と一人の最強種、そして二人の開拓者による戦いが………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペッパーとサンラクが、七つの最強種(ユニークモンスター)・無尽のゴルドゥニーネとの戦闘を開始した頃、ゴルドゥニーネ・レプティカ4が差し向けていた眷属達は、主を失った事で混乱状態に陥り。其れとほぼ同時に、ゴルドゥニーネの分け身から(呪い)を受けたヴォーパルバニー達の身体から、皹割れの刻印と其処から漂う黒煙が消滅していくのを開拓者達は見た。

 

顔が皹割れ掛けて、ずっと片眼でトンネルの中で戦った者が居た。両足が皹割れ掛けて、二度と歩く事が出来なくなりそうな者が居た。全身に皹割れが走って、此れを最後の戦いと覚悟していた者が居た。

 

ユニークモンスターが刻んだ呪いは、其の存在が世界から消えるまで身体に残り続ける。ましてやゴルドゥニーネの毒は刻まれた瞬間より身体を蝕み、別の生物にも感染・未曾有の大災害を引き起こす『危険』を孕む。

 

故に呪いを受けたヴォーパルバニー達は家族や友人、恋人に会う事は許されず、トンネルの中でゴルドゥニーネの眷属達と戦い続けて、人知れず………否兎知れず朽ち果て、消え逝くしか無かったのである。

 

だが、身体を蝕む『其れ』が消えた。即ち自分達が眷属達を押し留めている間に、奥へと向かった二人の開拓者達が、ゴルドゥニーネの分け身を宣言通りに討ち果たした事を意味していた。彼等の、彼女等の、武器を握る其の手に力が籠る。其の勢いは希望を見据え、ゴルドゥニーネの眷属達を殲滅し切るまでに、そう時間は掛からなかった。

 

そして八股に頭が分かれた大蛇が、致命の槍と金色の槍に貫かれ、全身に炎の槍雨を受け、腹部を致命の大鎚によって叩かれ。体力を全損した事によるポリゴンの崩壊と其の蛇の牙と鱗、体皮がドロップした事でトンネル内には遂に静寂が訪れ。

 

防衛戦で陣頭指揮を取ったインテリヤクザのヴォーパルバニー・エードワードが、此迄に戦いで散って逝った同胞達への鎮魂と共に瞑目し、其の手に握る業物たる長ドスを掲げ開眼しながら───────彼は勝鬨を挙げる。

 

「我々の─────勝利だ!」

 

オオオオオオオオオ!!!!!と、戦いに関わったヴォーパルバニー達の叫びがトンネルに轟く。

 

「えいッ!えいッ!おー!!!」

『えいッ!えいッ!おー!!!』

「えいッ!えいッ!おー!!!」

『えいッ!えいッ!おー!!!』

 

まるで合戦の後の様な、彼等彼女等の歓喜の叫びと涙が彩る其の場には、レーザーカジキと秋津茜(アキツアカネ)の姿は在れど、サイガ-0とアーサー・ペンシルゴンの姿は無かった。

 

二人の乙女は走り続ける、想い人達が未だに奥から帰って来ない事を心配しながら。そして其の奥に潜む『何か』を確かめんとして。

 

 

 

 






雄叫びは響く















???『彼が戦ってる。あの子は────そう、()に応援を頼みに向かったのね。良い判断よ』




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