ペッパー&サンラク vs 無尽のゴルドゥニーネ
「うおおぉ!?」
「あっぶ!?」
四体の
其れでも二人は戦っていた────空を蹴り、地を壁を駆け、蛇の巨体を足場にして跳躍する。自分達が戦っていたゴルドゥニーネ・レプティカ4とは明確に異なる、
「サンラク!多分無尽のゴルドゥニーネは『レイドボス』の可能性が高ぅ!!?」
「だよなぁ!?しかもコイツ、最悪なパターンが『ギミック込み』の場合だ!唯でさえクソなのに、よりクソ展開仕掛けてきやがっぶえ!?!」
『ウフフ………さっきまでノ威勢はどうしたのかしラ?』
空中を駆け、蛇が踊る道を走り、ペッパーとサンラクは懸命に抗い叫ぶ。そして其の抵抗を嘲笑うかのように、まるで逃げ惑う小さな虫を何時捻り潰そうかと考える、ゴルドゥニーネの声が耳に聞こえてくる。
何と言うか────地味に此方が『腹と頭が立つ笑い方』をゴルドゥニーネはしている。談笑における朗らかな
ウェザエモンは駄洒落を放ったし、ゴルドゥニーネの精神年齢は中学生並なのか?………そんな事をペッパーが頭の片隅で思考していた中、サンラクが龍蛇の一頭の身体の上で『何か』を発見、引っこ抜いたのが見え。其の背後からゴルドゥニーネの本体が毒の剣を精製、まるでナイフ投げをするが如く
「超スピード
左手の
ガァン!と高らかに音を鳴らすイーディス、弾かれ真上に飛んだゴルドゥニーネの作った毒の剣。同じタイミングで金と純白に彩られた輝きが溶かされ、イーディスの耐久がゴッソリと削られながらも、盾を収納してミルキーウェイでトンネル内部を走って落ちてくる剣を、空いた左手でキャッチする。
「いちちちちち!?サンラク!足を止めるなよッ!」
「わりぃ、助かった!」
どうやらサンラクは無事だったらしい。一瞬だけ見えたが彼が回収した物は『錆び付いた大剣』らしく、此方も左手が焼け爛れる痛みに襲われながらインベントリに入れた所、アイテム名に『
後でサンラクの持つ
目を凝らして見れば、アーサー・ペンシルゴンとサイガ-0が此方に向かい。しかし四体の龍蛇の一体に乗りながら大質量の音と共に迫り来るゴルドゥニーネと、各々の想い人が追われている姿を目視して、来た道を全力で引き返し始めた。
「レイ氏ィ!?急いで逃げてくれぇ!?」
「わ、こ、アレ……何ですか!?」
「ユニークモンスター・無尽のゴルドゥニーネの『本物』!ニ十数分戦ったけど、ギミック込みレイドタイプのユニークモンスター!取り敢えず
「自信満々に言う言葉じゃ無いでしょ、あーくん!?」
実際二十数分戦い続けた結果なので御了承して欲しい所だ。とは言え、ラビッツの方向に走ってしまったのは不味かったか。もしもゴルドゥニーネの分け身を倒した事で、ヴォーパルバニー達が其のまま『宴』でも始めよう物なら、モンスタートレインをやらかした事と同じになる。
「こうなりゃ『とっておき』だ!サンラク『ドミノ倒し』を手伝って!」
「OK、解った!」
両手に
「残存魔力50%の全ブッパ……!見さらせ
「我が一撃は災禍を砕き、我が存在を知ら示す!其の一撃は双極、故に誇示せよ────『
片や金色で暗闇すらも照らす破壊の光、片や軽く繰り出した左足の足刀蹴り。両者共に中二病たる詠唱を述べての攻撃、そして一瞬の静寂と直後に衝撃。龍蛇の腹部が結晶化して爆砕されたのとほぼ同じく、とてつもないノックバックが炸裂して吹き飛ばされた先頭の龍蛇が、他の仲間を巻き込んで吹き飛び絡まる。
そして其れを行ったサンラクは反動によって籠手にダメージが入り、『食い縛りが発動』しながらトンネルの中を吹き飛んで行き。あわや地面にダイビングといった所でサイガ-0が『御姫様キャッチ』により事無きを得て。龍蛇を蹴っ飛ばした衝撃で地面を転がりまくったペッパーは、ペンシルゴンが抱き止めながらに共に転がって両者共瀕死クラスのダメージを受けるも、何とか耐えきるに至った。
「うぐ、済まん………ペンシルゴン。助かった………」
「あーくんが無事で良かったよ♪」
「レイ氏、助かりました………」
「あ、いえ!御気になさらずッッッッ!!!」
御互いの想い人が無事だった事に安堵し、包容や運ぶ力が強くなる中、四人を襲うは殺意の塊。
『ウフフ……『狼』に加えて『一番不愉快な気配』。そして『龍』も此方に来ていル……!ウフフフフフ、みぃんナみんな、壊して殺して消し去ってしまいましょウ。えぇ……そうしましょウ………!!!!!』
一歩……また一歩と……。歩く度に襲い掛かる、殺意と憎悪の融合から成立する、圧倒的な重圧感。おそらく龍とはジークヴルムの
「此のまま黙って、嬲り殺しになるのは御免だ!精一杯抵抗してやろうじゃないか………!」
四人の開拓者達が武器を持つ。一人の少女が指を振って四体の龍蛇が並び立つ。待った無しの大一番、敗色濃厚で行う決戦。両陣営が僅かな沈黙と共に激突せんとし…………。
「おう、喧嘩は『仕舞い』だぜ。おめぇさん等ァ……」
ふわりとトンネル内に揺れる風。
背後に聞こえたのは、ドスの効いた力強い『バリトンボイス』。振り向けば上着物を肩に流して、エードワードが持っていた得物『
「皆さん無事でしたか!?」
「え、あ、アレは………!?む、無尽のゴルドゥニーネ!?ユニークモンスター!?」
二人は初めて遭遇したからか、システムウインドウに驚いている様子だ。しかし何故此所にヴァイスアッシュが居るのか、そんな疑問を抱いていれば此方へと走り寄る一匹の『ワンコ』────ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンの小さな分け身たる『ノワ』が、ペッパーに飛び付いたのだ。
『ワン!ワン!ワン!』
「ノワ!?もしかして、先生を呼んできたのか!?」
『ワン!ワォーン!』
そしてノワの遠吠えがトンネルに響き、直後にゴルドゥニーネと四人の間に割り入る様に。目の前に存在していた『闇』が、集まり形を成して『黒い狼』の姿を成すや、ゴルドゥニーネと四体の龍蛇に『狼特有の威嚇』と共に睨み付ける。
「おぅ、ペッパー。此れは夢か何か?」
「いや、現実だよコレ。とびっきりヤバい現実だ」
サンラクとペッパーが、ペンシルゴンとサイガ-0が、秋津茜とレーザーカジキが。此の場に居た全てのプレイヤーが唖然とする中で、闇を魔力で固めた其れは────ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンは顕れたのだった。
三つの星が会して