VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ペッパー&サンラク vs 無尽のゴルドゥニーネ




ノンストップなランナウェイ

「うおおぉ!?」

「あっぶ!?」

 

四体の龍蛇(ナーガ)が荒れ狂い、暴走列車の如く襲い掛かる。残された陽炎(ヘイト)の残照は次々と産み出されては、片っ端から潰され続ける。黒雷を纏い迸らせ、全力疾走する其の道先に巨体が回り込む。

 

其れでも二人は戦っていた────空を蹴り、地を壁を駆け、蛇の巨体を足場にして跳躍する。自分達が戦っていたゴルドゥニーネ・レプティカ4とは明確に異なる、本物(・・)のゴルドゥニーネとの戦いを。だが、二人はこうして二十数分戦い続けた事で、否応無しに理解するに至ったのだ。此れは─────『敗北イベント』だと。

 

「サンラク!多分無尽のゴルドゥニーネは『レイドボス』の可能性が高ぅ!!?」

「だよなぁ!?しかもコイツ、最悪なパターンが『ギミック込み』の場合だ!唯でさえクソなのに、よりクソ展開仕掛けてきやがっぶえ!?!」

『ウフフ………さっきまでノ威勢はどうしたのかしラ?』

 

空中を駆け、蛇が踊る道を走り、ペッパーとサンラクは懸命に抗い叫ぶ。そして其の抵抗を嘲笑うかのように、まるで逃げ惑う小さな虫を何時捻り潰そうかと考える、ゴルドゥニーネの声が耳に聞こえてくる。

 

何と言うか────地味に此方が『腹と頭が立つ笑い方』をゴルドゥニーネはしている。談笑における朗らかな笑い(・・)に非ず、外道四人衆がやっている同族同士の会話で起きる嗤い(・・)の方の。そして蛇の始祖(はじまり)はサンラクの挑発に対し、あからさまに反応した事から『煽り耐性が皆無』であるらしい。

 

ウェザエモンは駄洒落を放ったし、ゴルドゥニーネの精神年齢は中学生並なのか?………そんな事をペッパーが頭の片隅で思考していた中、サンラクが龍蛇の一頭の身体の上で『何か』を発見、引っこ抜いたのが見え。其の背後からゴルドゥニーネの本体が毒の剣を精製、まるでナイフ投げをするが如く軽々(・・)と、しかも超高速(・・・)でブン投げて来たのだ。

 

「超スピード差し込みガード(インターセプト)ォッ!!!」

 

左手の風雷皇の御手(サルダゲイル・アトゥヌ)を、勇者武器(ウィッシュド.ウェポン)聖盾(せいじゅん)イーディスに切り替えて空中疾走(ミルキーウェイ)英雄覇颯(ヒーロースプリーム)&ルーパス・アサイラムの疾走コンボで死地を駆け抜け、盾士の憤撃(レイジングシールド)+守護者の威厳(ヘイルス・ガーディア)で補助を加えたイーディスの鏡面で防ぐ。

 

ガァン!と高らかに音を鳴らすイーディス、弾かれ真上に飛んだゴルドゥニーネの作った毒の剣。同じタイミングで金と純白に彩られた輝きが溶かされ、イーディスの耐久がゴッソリと削られながらも、盾を収納してミルキーウェイでトンネル内部を走って落ちてくる剣を、空いた左手でキャッチする。

 

「いちちちちち!?サンラク!足を止めるなよッ!」

「わりぃ、助かった!」

 

どうやらサンラクは無事だったらしい。一瞬だけ見えたが彼が回収した物は『錆び付いた大剣』らしく、此方も左手が焼け爛れる痛みに襲われながらインベントリに入れた所、アイテム名に『無尽なる暴毒剣(ゴルドゥ・ヴィド・バスター)』なる片手武器を回収出来た。

 

後でサンラクの持つ金皇照(こんおうしょう)で結晶化するか、グランシャリオの真化素材にして貰おうと思いつつ、ペッパーとサンラクは各々の撃鉄を解除しながら、ラビッツの方向へ走り出す。と、そんな二人の視線の先に此方へと走ってくる二人の姿が見え。

 

目を凝らして見れば、アーサー・ペンシルゴンとサイガ-0が此方に向かい。しかし四体の龍蛇の一体に乗りながら大質量の音と共に迫り来るゴルドゥニーネと、各々の想い人が追われている姿を目視して、来た道を全力で引き返し始めた。

 

「レイ氏ィ!?急いで逃げてくれぇ!?」

「わ、こ、アレ……何ですか!?」

「ユニークモンスター・無尽のゴルドゥニーネの『本物』!ニ十数分戦ったけど、ギミック込みレイドタイプのユニークモンスター!取り敢えず今は(・・)勝てない!!」

「自信満々に言う言葉じゃ無いでしょ、あーくん!?」

 

実際二十数分戦い続けた結果なので御了承して欲しい所だ。とは言え、ラビッツの方向に走ってしまったのは不味かったか。もしもゴルドゥニーネの分け身を倒した事で、ヴォーパルバニー達が其のまま『宴』でも始めよう物なら、モンスタートレインをやらかした事と同じになる。

 

「こうなりゃ『とっておき』だ!サンラク『ドミノ倒し』を手伝って!」

「OK、解った!」

 

両手に煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)を握るサンラクと、両足に深厳の戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)を纏うペッパーが、殺到する四体の龍蛇が直列した其の刹那を見抜き──────動く。

 

「残存魔力50%の全ブッパ……!見さらせ致命魂(ヴォーパルスピリット)!【超過機構(イクシードチャージ)】、超排撃(リジェクト)ッッッッ!!!」

「我が一撃は災禍を砕き、我が存在を知ら示す!其の一撃は双極、故に誇示せよ────『戦砕琥示(ウォールフェン)』!!!」

 

片や金色で暗闇すらも照らす破壊の光、片や軽く繰り出した左足の足刀蹴り。両者共に中二病たる詠唱を述べての攻撃、そして一瞬の静寂と直後に衝撃。龍蛇の腹部が結晶化して爆砕されたのとほぼ同じく、とてつもないノックバックが炸裂して吹き飛ばされた先頭の龍蛇が、他の仲間を巻き込んで吹き飛び絡まる。

 

そして其れを行ったサンラクは反動によって籠手にダメージが入り、『食い縛りが発動』しながらトンネルの中を吹き飛んで行き。あわや地面にダイビングといった所でサイガ-0が『御姫様キャッチ』により事無きを得て。龍蛇を蹴っ飛ばした衝撃で地面を転がりまくったペッパーは、ペンシルゴンが抱き止めながらに共に転がって両者共瀕死クラスのダメージを受けるも、何とか耐えきるに至った。

 

「うぐ、済まん………ペンシルゴン。助かった………」

「あーくんが無事で良かったよ♪」

「レイ氏、助かりました………」

「あ、いえ!御気になさらずッッッッ!!!」

 

御互いの想い人が無事だった事に安堵し、包容や運ぶ力が強くなる中、四人を襲うは殺意の塊。

 

『ウフフ……『狼』に加えて『一番不愉快な気配』。そして『龍』も此方に来ていル……!ウフフフフフ、みぃんナみんな、壊して殺して消し去ってしまいましょウ。えぇ……そうしましょウ………!!!!!』

 

一歩……また一歩と……。歩く度に襲い掛かる、殺意と憎悪の融合から成立する、圧倒的な重圧感。おそらく龍とはジークヴルムの呪い(マーキング)を持つ秋津茜(アキツアカネ)の事だろうが、まさか捕食者たる蛇に睨まれた、被食者の蛙や鼠の気持ちを体験する事になろうとは。

 

「此のまま黙って、嬲り殺しになるのは御免だ!精一杯抵抗してやろうじゃないか………!」

 

四人の開拓者達が武器を持つ。一人の少女が指を振って四体の龍蛇が並び立つ。待った無しの大一番、敗色濃厚で行う決戦。両陣営が僅かな沈黙と共に激突せんとし…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう、喧嘩は『仕舞い』だぜ。おめぇさん等ァ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふわりとトンネル内に揺れる風。

 

背後に聞こえたのは、ドスの効いた力強い『バリトンボイス』。振り向けば上着物を肩に流して、エードワードが持っていた得物『鍛龍(たんりゅう)』を引き抜き、煙管を加えて下駄を鳴らして歩いてくる、白い毛並みの大兎こと『ヴァイスアッシュ』。其の後ろには、秋津茜とレーザーカジキが走って来ていた。

 

「皆さん無事でしたか!?」

「え、あ、アレは………!?む、無尽のゴルドゥニーネ!?ユニークモンスター!?」

 

二人は初めて遭遇したからか、システムウインドウに驚いている様子だ。しかし何故此所にヴァイスアッシュが居るのか、そんな疑問を抱いていれば此方へと走り寄る一匹の『ワンコ』────ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンの小さな分け身たる『ノワ』が、ペッパーに飛び付いたのだ。

 

『ワン!ワン!ワン!』

「ノワ!?もしかして、先生を呼んできたのか!?」

『ワン!ワォーン!』

 

そしてノワの遠吠えがトンネルに響き、直後にゴルドゥニーネと四人の間に割り入る様に。目の前に存在していた『闇』が、集まり形を成して『黒い狼』の姿を成すや、ゴルドゥニーネと四体の龍蛇に『狼特有の威嚇』と共に睨み付ける。

 

「おぅ、ペッパー。此れは夢か何か?」

「いや、現実だよコレ。とびっきりヤバい現実だ」

 

サンラクとペッパーが、ペンシルゴンとサイガ-0が、秋津茜とレーザーカジキが。此の場に居た全てのプレイヤーが唖然とする中で、闇を魔力で固めた其れは────ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンは顕れたのだった。

 

 

 

 






三つの星が会して

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