VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

468 / 1074


集いし星




集う三星、勇者重要なる言葉を語る

蛇の始祖(はじまり)にして、四体の龍蛇(ナーガ)を従える致命兎(ヴォーパルバニー)の宿敵、七つの最強種・無尽のゴルドゥニーネ。

 

魔力で闇を狼の形を成し、世界を我が心のままに駆け、御気に入りに呪い(マーキング)を付ける夜の帝王、七つの最強種・夜襲のリュカオーン。

 

致命兎の国(ラビッツ)の頭であり、世界の真実に最も近いと思われる神匠、そして……七つの最強種・不滅のヴァイスアッシュ。

 

深淵のクターニッドは元々魔法陣であるので、おそらく死なない存在であるとしても、残り六体のユニークモンスターの半数が此の地に集っているという事実に、壮観以上に驚愕や恐怖に震え上がった。何よりもヴァイスアッシュの視線に、四体の龍蛇達が恐れ慄いて後退る光景は、RPGで良くある『小さい方が強キャラ』という法則を此所に真理として見せ付けている。

 

「せ、先生。アイトゥイル達は………?」

「ガキ共はぁ、全員下げといたァ………アイトゥイルの奴ァ付いてこようとしたから、シークルゥとエードワードに引っ張らせたぜぇ。まさかぁ、ノワの奴が単身で俺等(オイラ)を呼んだ所か、犬ッコロまで来てるたぁ………随分と混沌としてるじゃあねぇか?」

 

いや本当にそうなんですよ。星皇剣(せいおうけん)グランシャリオというリュカオーンを此の場所に誘き寄せる可能性が、常に寄り付いている鬼札を切った時点でこうなる可能性が有るってのは想定してたんですよ。

 

そんな事を心の内にて吐露していれば、導きの灯火が反応していない影狼だろうリュカオーンが、自分の近くまで歩いてきながらにゴルドゥニーネの龍蛇達を睨み、グルルルル………!と、低く喉を鳴らしながらに威嚇している。

 

そして其の視線はペンシルゴンにも向けられ、彼女もまたリュカオーンに鋭利な視線をぶつけ、サンラクとレーザーカジキはスクショを撮り、サイガ-0と秋津茜(アキツアカネ)はアワアワしながら見守る、そんな混沌な状況でヴァイスアッシュが前に出た。

 

「おめぇさんが出張(でば)って来れば、俺等が出張る………。其れァ、おめぇさんだって解ってんだろぅ?」

『随分とソイツ等に御執心なのネ、ウサギ(・・・)()ハ』

「見込みの芽を咲く前に摘むもんじゃねぇ、そうだろうがよう……なぁ?」

『いいエ。見込みなんて有りはしないワ………今も、此れから先モ。()が私で在る限リ、()は私でしかないのヨ』

 

ゴルドゥニーネが放った其の言葉に、ペッパー・サンラク・ペンシルゴンが一体何だと思い、サイガ-0・秋津茜(アキツアカネ)・レーザーカジキは首を傾げる。そして其の言葉を聞いたヴァイスアッシュが、ゴルドゥニーネに対して言ったのだ。

 

「俺等ぁも、おめぇさんも。互いに身内同士を戦わせて、最後にゃあ(あたま)が出張っての睨み合いだぁ………。其処ん所、どうなんだい?」

『…………………』

 

ゴルドゥニーネの殺意と憎悪の視線に、一切揺るがないヴァイスアッシュ。龍蛇達はペッパー達を狙わんとしている様だが、影狼たるリュカオーンが睨み付けながら威圧を飛ばして、手を出させる事を許さない。

 

『……ふん、興が醒めたワ。でも忘れないことネ……私は必ず、お前が匿っている()を殺しに行ク。お前の眷属を鏖殺(みなごろ)しにしながら……ネ』

 

其の言葉を聞いた瞬間、ペッパーがグランシャリオを振るい、断風(たちかぜ)を飛ぶ斬撃で繰り出すよりも。四体の龍蛇達がペッパー達を食い殺さんと、一斉に動くよりも。そしてリュカオーンが影を用いたカウンターで、龍蛇達とゴルドゥニーネをブン殴ろうとするよりも尚早く。

 

ヴァイスアッシュの口から唯一言(・・・)の言葉が紡がれた。

 

 

 

 

 

「──────【恒矗(こうちょく)】」

 

 

 

 

 

其の言葉により、此の場に居た『ヴァイスアッシュ以外』の全てのプレイヤーとモンスターが、まるで時が止まった様に『動かない』。何よりも習得した『スキルや魔法』の一切(・・)が、発動不能の状態─────謂わばアクションゲームで有る、メニュー画面を開く時に起きる『一時停止(ポーズ)』と同じ現象(・・・・)が起こっていたのである。

 

いや、此れどうやって攻略すれば良いのか?仮にヴァイスアッシュと戦うにしても、スキルの発動は愚か運動エネルギーすら止めてしまう、ポーズを使えるボスキャラを自分達はどう攻略すれば良い?

 

クターニッドの様なギミック系のユニークモンスターなら『まだ納得出来る』が、ウェザエモンの様な『ガチンコ系』の場合は軽く二〜三十回以上は死ぬ事になるだろう。

 

「言葉をよう。選んで使うもんだぜぇ……なぁオイ?────此所はもう『おめぇさん』の場所じゃあねぇよ」

「あの()が掘った穴に、私は執着なんて無いワ。でも……良いワ、此度は()が引いてあげまショウ」

 

ゴルドゥニーネと四体の龍蛇達が去ろうとしている。ヴァイスアッシュが放ったポーズなるスキルか魔法は、ゴルドゥニーネ側が矛を収めたからか既に解けて、動けるようになっていた。

 

今、ヴァイスアッシュとゴルドゥニーネが居る。ならば『あの言葉』を伝えるには充分では無いか?そう思ったペッパーは、グランシャリオを鞘に納めて。ゴルドゥニーネに向かって叫ぶ。

 

「無尽のゴルドゥニーネ!」

『……………何?』

 

彼女の底冷えした視線が向けられて、リュカオーンとノワとペンシルゴンが威嚇と鋭利な視線をぶつける中、彼はヴァイスアッシュにも視線を向けて。

 

「俺は『深淵のクターニッド』さんから、此のような言伝か警告か…………ある『言葉』を受けています」

 

そして一拍置いて。彼は言葉を紡いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────『蛇と兎の鎧を探せ。白き神目覚める其の前に』─────と」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

其の言葉に無尽のゴルドゥニーネは目を見開き、不滅のヴァイスアッシュは瞑目し、夜襲のリュカオーンとノワは首を傾げる。三者三様の反応、しかしながら其の言葉はゴルドゥニーネの口から『ある存在の場所を示す言葉』を引き出させた。

 

『────『黒き鳥の骸、尾羽の先端、最果ての社地(シャシ)』………其処に、お前が求める物が在るワ(・・・・・・・・)

「何………?」

『二度は言わなイ………次に逢う時は、お前達を殺す(・・)必ず(・・)ネ』

「ほざいてろ。無尽だか無賃だか知らないがな……俺達は何時か必ず。お前の喉元に剣を突き付けてやる。覚悟しとけやクソガキ」

 

サンラクの宣言に対し、無尽のゴルドゥニーネは『フンッ』と鼻で笑った。彼が青筋を浮かべる中、無尽のゴルドゥニーネは四体の龍蛇達を連れて、暗いトンネルの奥の闇の中へと消えていき。

 

影狼のリュカオーンも驚異が去ったのを確認してか闇に融け、ヴァイスアッシュも鍛龍を鞘に納めた事で、此所にはペッパー達六人の開拓者達とリュカオーンの分け身のノワ、そしてヴァイスアッシュだけが残った。

 

「先生、ありがとうございました」

「おぅ。此のままラビッツに『歩かせても』良いんだろうが………よし」

 

そう言いながらヴァイスアッシュはノワを見て、更には再び鍛龍を抜きながら刀身に『見た事が無いエフェクト』を纏わせるや、小さな分け身に『こんな事』を言った。

 

「ノワよぅ、今からペッパー達に『ちょいとした事』をするがァ………まぁ、大目に見てくれや。なぁに、開拓者ならぁ………目覚めたら()()()()()()()からなぁ」

 

其の刹那、全員が反応出来ないレベルの速度でヴァイスアッシュが振り向き、縮地等の比にも成らない圧倒的な踏み込みから、全員の首を0,0000001秒すら生温い刹那すら超越した斬撃で『斬り落としたのだ』。

 

「─────【安楽(アンラク)】、痛みはねぇからよぅ。ペッパーとサンラク、目ェ覚めたら俺等の鍜冶場に来なぁ」

 

ノワが吠える中、ヴァイスアッシュが仔犬に兎御殿の方角を指差して。六人の頭が地面にゴトリ……と落ちる感覚と共に意識が断裂する直後、サンラクの目の前にはリザルト画面が、ペッパーにはサンラクと同様ながら+αが表示された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『開拓者は無尽の分け身を討ち果たし、兎達を守り抜いた』

『ユニークシナリオ【兎の国防衛戦(ラビッツ・ディフェンシブ)】をクリアしました』

『称号【兎の国の防人】を入手しました』

『ユニークシナリオEX【致命兎叙事詩(エピック.オブ.ヴォーパルバニー)】が進行しました』

『ユニーククエストEX【七星の皇鎧よ、我が元に集え】が進行しました』

 

 

 

 

 






ヴァイスアッシュの絶技


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。