VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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レーザーカジキ、往く




狼双戦争(デュアルウルフウォー) 其の三

『大変長らく御待たせ致しました!此れよりクラン:旅狼(ヴォルフガング) 対 クラン:黒狼(ヴォルフシュバルツ)、先鋒戦を開始致します!各陣営、先鋒を飾るプレイヤーの入場です!!!』

 

クラン対抗戦の開幕、初手でサイガ-0を引き抜くというサンラクの奇策によって、六対六の状態での星取り形式に変更となってから数分後。司会進行を勤めるプレイヤー、クラン:ライブラリに所属しているアーネスの一声と共に、クラン:黒狼からは『†武閃陰蝕(スラッシュシャドウ)†』が、クラン:旅狼からは『レーザーカジキ』がバトルフィールドへ足を踏み入れた。

 

『クラン:黒狼からは†武閃陰蝕†選手!対するクラン:旅狼からはレーザーカジキ選手だ!』

『見た所、武閃陰蝕君は二刀流のインファイター。対してレーザーカジキ君は遠距離の魔法職という感じだね』

『自分の得意な距離で相手を叩けるか……そんな戦いになりそうですね~』

 

クラン:ライブラリのリーダー・キョージュと、ライブラリ所属プレイヤーのミレィが軽く解説、そして戦場にて双剣士と魔術師が相対する。

 

「は、初めまして!よろしく御願いします!」

「あ、あぁうん、よろしく」

 

遠目でしか見えないが、あの†武閃陰蝕†なるプレイヤーはレーザーカジキを嘗めている(・・・・・)可能性が高い。まさか初手で旅狼が魔法使いをぶつけて来るとは、考えていなかったと見える。

 

其れでも余裕を崩していない辺り、彼は絶対に勝てる自信が有るのだろう。だが古今東西の対人戦や戦争ゲームにおいて、共通する『言葉』が有る。曰く『戦いに絶対は存在しない』────と。

 

「降参したくなったら言ってくれ」

「御気遣いありがとうございます。でも……負けるつもりは有りませんから」

「…………へぇ」

 

そう力強く宣言して、レーザーカジキは『初期メンバー五人のクラン共有化処理』を経て取り出された、とある物を此の戦場へと出現させる。

 

「クラン:旅狼の、そして僕自身の為にも!必ず貴方に勝ちます!行きましょう───朱雀(スザク)さん!」

 

初戦を前に彼へと渡された、規格外戦術機鳥(きかくがいせんじゅつきちょう)朱雀(スザク)】。夜襲のリュカオーンの影狼の持つ暗闇から不可視のステルスアタックを封じ込める為、サンラクが『紅鳥扇風機』で使った『ユニークモンスター・墓守のウェザエモン』の撃破報酬が一つ。

 

前回の使用後からインベントリアの中で充電をMAXまで回復した、規格外エーテルリアクターを装填された事で起動し(目覚め)た鋼の朱き鳥が戦場に羽ばたいて。少年が全身に規格外特殊強化装甲(きかくがいとくしゅきょうかそうこう)艷羽(アデバネ)】の一式全てを纏い、其の手に長杖の形状をした規格外武装(きかくがいぶそう):拡散機構型(かくさんきこうがた)【メテオディフュージョン】を握り締め、朱雀が横に降り立った次の瞬間。

 

会場内はどよめき、興奮の声で染まり始めた。

 

「ロ、ロボォ!?」

「はい!鳥のロボットの朱雀さんです!あと御喋り出来ます!」

『な、なななんとぉロボットォ!?!?レーザーカジキ選手、まさかの鳥型のロボットを繰り出してきました!?!?しかも赤い鳥の意匠が施されたスーツまで纏っています!!!』

『ほぅ………此れは此れは………』

『凄いですねぇ………会場のボルテージが高まってますよ~』

 

シャンフロにロボット在ったの!?やら、アレちょー欲しい!なる声が聞こえてくる。紅のパワードスーツに身を包み、朱い鳥型のロボットを従え、何やらロマンチックな機械の長杖を握るレーザーカジキの姿は、一人だけ『別のゲームをしている』様にも見えなくは無い。

 

だが此れも(・・・・・)『シャングリラ・フロンティア』なのだ。まだ他の者が知らないだけ、クラン:旅狼は知っている、此の世界には確かにロボットやパワードスーツにSFが存在している…………其の事実が今宵明かされたのだ。

 

『とと!其れでは…………戦闘開始!』

「朱雀さん!『合体(がったい)です』!」

了解(リョウカイ)()レヨリ当機(トウキ)ハ、合体(ガッタイ)シークエンスヲ開始(カイシ)シマス』

 

レーザーカジキが走り出し、追従する形で朱雀も飛び立ち。パワードスーツを纏った少年の肩を掴むや、朱雀は上空まで引き上げて徐に手離すと同時に全身を分解。両翼を背に、ブースターを腰へ、胴体は両足を強化し、頭部は艶羽の頭機殻(ヘルム)を覆って、其の機能を更に強化した。

 

「な、なん………!?」

『合体したぁ!?』

「行きますッ!」

 

朱雀の羽等に仕込まれたブースターが火を噴き、紅蓮に成ったレーザーカジキが、メテオディフュージョンの鋒を言葉を失った†武閃陰蝕†に肉薄、同時に握る長杖に魔力が籠められる。

 

何とか剣を抜く事は出来ても、朱雀というロボットバード+合体シーンを目の当たりにしてしまった事で、漆黒の双剣士は攻める機会を逃してしまった。そして其の逃した機会を、朱い魔術師は逃がす事無く掴み取った。

 

超々々至近距離の、本来なら†武閃陰蝕†の決殺領域(キリングレンジ)であった筈の其の場所で、彼が繰り出すは炎属性魔法【フレイムクラスター】。其の一撃はメテオディフュージョンによって、本来『広範囲攻撃』を可能とする其の魔法を、有ろう事か『絨毯爆撃級』にまで跳ね上げる。

 

そして其の一撃は謂わば、『ショットガンを零距離接触射撃をされる事』に等しき威力と成り、放たれた拡散の炎魔法は†武閃陰蝕†の全身を、文字通り木っ端微塵に消し飛ばしてしまったのである。

 

余りの一撃に会場は静まり返り、そして宙返りして夜空を飛行した後、旅狼側選手控え場所まで進んで着地、朱雀との合体を解除したレーザーカジキは高らかに叫んだ。

 

「えっと、僕の勝ちです!!!」

『…………ハッ!?戦闘終了!!し、勝者!旅狼所属、レーザーカジキ選手ッッッッ!!!何と試合開始から僅か『23秒』という、圧倒的な電撃決着だああああああ!!!』

『─────────────!!!!』

 

アーネスの叫びに、会場で戦いを見届けていた観戦者達の興奮の声が響き渡り。此処に先鋒戦が決着し、クラン:旅狼が先制する形となって、次鋒戦へと向かう。

 

 

 

 






朱き鋼の鳥が、勝利をもたらす


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