VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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次鋒戦へ




狼双戦争(デュアルウルフウォー) 其の四

クラン対抗戦、旅狼(ヴォルフガング)黒狼(ヴォルフシュバルツ)の先鋒戦は、ロボットバード朱雀(スザク)とパワードスーツ艶羽(アデバネ)、そしてメテオディフュージョンのスリーコンボを用いたレーザーカジキが、†武閃陰蝕(スラッシュシャドウ)†へ肉薄して零距離炎魔法接射で焼却、団体戦の初戦を白星で飾った。

 

「やぁやぁ、カジキ君。初めて朱雀を動かして戦った気分はどうだった?」

「はい!とっても楽しかったです!鳥さん達は何時もあんな気持ちで飛んだり、狩りをしているんだなって知れて良かったです!」

 

朱雀を撫でながら、最後に「ありがとうございました!」と言って、朱い機械の鳥に電源OFFの指令を出して眠らせ、レーザーカジキは優しく規格外エーテルリアクターを抜き、纏っていた艷羽とメテオディフュージョン共々、ペンシルゴンへと返却した。

 

『クラン:旅狼と黒狼の対抗戦、先鋒からとんでもない展開になりましたねぇ!どう思いますか、キョージュさん!』

『いやはや……まさかロボットにパワードスーツ、そして面白い武装を繰り出しての『電撃戦』とは……。敵の知らない『未知の武装による初見殺し』という、ペンシルゴン君の采配が光ったと言って良い』

『私は朱雀が気になりましたねぇ………。合体シークエンスのフォーメーションが中々と言いますかぁ………。後で質問会出来ないか聞いてみたいですね』

『其処に関しては私も同意だよミレィ君。アレはおそらく『墓守のウェザエモン』に関する報酬と見て間違い無いだろう』

 

解説席がやんややんやと盛り上がる中、プレイヤーやNPCのボルテージは更に高まり、両陣営の次鋒戦出場プレイヤー達に期待を寄せる。

 

「さてさて、先ずは一勝取れた訳だけど……。次に来そうなのはモモちゃんの性格的に、リベリ()ス君か草餅(くさもち)君だと思うんだよねぇ……」

「リベリオスな、ペンシルゴン。其の心は?」

「まぁリベリ()ス君を早い段階で切る事で、万が一後半に添えて負けた時に『リカバリー不可』になるから、さっさと切っちゃいたい。草餅君は弓の勇者武器(ウィッシュド.ウェポン)聖弓(せいきゅう)フェイルノートの所持者だから、同じ勇者武器持ちの私かペッパー君を、早々に戦場へ引っ張り出したいって感じがする」

「まぁ、有り得るよね。勇者対勇者(・・・・・)って花形の戦いは、衆人環視からすれば『見物』だからさ」

 

リベリオスの名前をわざとか、はたまた偶然か間違えたペンシルゴンを見つつも、京極(キョウアルティメット)の説明を聞きながらペッパーは思考を続ける。勇者武器所持者は共通して『食い縛り』と、体力かMPを消費する事による『武器の修復能力』を獲得している。更に食い縛りが連続発動する可能性が有る以上、下手に仕留め損なえば長期戦は不可避に成るだろう。

 

と此処でサバイバアルが、黒狼陣営内で筋肉巨漢のマッシブダイナマイトが、サイガ-100に提案して頷いた瞬間を目撃。其処にリベリオスが反応して自身の胸をドンと叩き、渾身のドヤ顔した事で『次鋒』には奴が出て来る可能性が有ると、彼女()は読んだ。

 

「おぅ。奴等の次鋒、どうやら『いけすかないヤロー』みたいだぜ」

「リバウンド(・・・・)か」

「リボリタン(・・・・)じゃないっけ?」

「いやいやリバイ(・・)オスだよ」

「えっと…………リベリオス(・・・・)、ですね………サンラクさん」

「………絶妙に言い間違える名前してるんですよ、レイ氏。というか、此処まで間違えられるのは一種の才能じゃないですかね?」

 

そう言ったサンラクを横目に、ドヤ顔で前に出たリベリオスを見て、呆れ果てた顔をするサイガ-100を見たペンシルゴンは、次鋒戦で投入する旅狼陣営のプレイヤーを指差し、そして言った。

 

「リバルカン(・・・・)君が出てくるつもりなら、此方も此方でブッ飛ばそうか。其れじゃあ『京極ちゃん』、朱雀以外の戦術機獣とパワードスーツに武装使って、彼を(わか)らせてやって。其れも『徹底的』にネ」

「任された。リベンタル(・・・)をボッコボコにしてあげよう」

 

クックックと嗤うペンシルゴンと京極を見ながら、サンラク・オイカッツォ・ペッパーは心の内にてリベリオスへと合掌する。此れは『ヤバい蹂躙劇』になると、そんな予感を抱きながら…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、本当に『とんでもないユニーク』を出してきましたね………。ですが『あのロボット』の持つアレだけの出力を発揮し続けるのは、不可能に近い。そしてアレには『稼働に制限時間が設けられている』、そうでしょう『人斬り』?」

「まぁそうだね。流石にずっと動いていたら、()達でも運営に連絡を入れてたけどさ」

 

次鋒として黒狼はサブリーダーのリベリオスが、旅狼は京極がバトルフィールドへと足を踏み入れる。リベリオスは先程の朱雀の戦闘光景を目の当たりにしてか、防具をガチガチに固め直しており、随分と警戒している様子だ。

 

其の判断は『間違いでは無い』。が、同時に『正解でも無い』。何故ならば─────。

 

「あぁ、リリリリン君」

「リベリオスです、何か?降参でもしますか?」

「時に僕達が持ってるロボットって、さっきレーザーカジキ君が操ってた朱雀以外に『あと三体』居るんだ。そして僕達は、其れ(・・)を動かす為の動力源を『合計四本』所持してる。此れだけ言えば解るかな?」

 

京極の言葉にリベリオスは数瞬の後に唖然とした表情と化し、観客席のプレイヤーやNPCは一挙にどよめいた。其れ即ち残り後三人のプレイヤーが、先程と同様にロボットとパワードスーツに武装を使い、攻め潰して来るという通告でも有り。

 

「じゃあ、始めようか。漸く僕の願いの一つが叶った………規格外戦術機亀(きかくがいせんじゅつきき)玄武(ゲンブ)】!出番だよッ!」

 

自身の手首に装着された格納鍵(かくのうけん)インベントリアから取り出すは、四体在る戦術機獣の中でも重量・馬力・装甲に関して最大級と呼べる存在、数多の砲塔を背負う姿は見るだけで『砲撃戦仕様』と言える存在感を放つ。

 

其れを動かす為に必要な一式装備で、何の因果が『祖父』の名を刻む『規格外特殊強化装甲(きかくがいとくしゅきょうかそうこう)富嶽(フガク)】』という、緑と黒に彩られた重装甲を全身に纏いつつ、凄まじく重くなった身体を動かして玄武の甲羅を模した、後ろの装甲に一つ空いた穴へとエーテルリアクターを装填すれば、玄武の両眼に光は灯るや其の巨体が『ホバー』を開始。

 

そして京極は其の手に『規格外武装(きかくがいぶそう):太刀型(たちがた)【ハービンジャー】』を装備。太刀の柄を利き手で軽く握り、柳の葉が風で流れて揺れる様に鞘から淡く光る空色の刃を抜刀、其の鋒を憐れなる実験台に向けて、現役PKerたる女剣客は力強く言い放つ。

 

 

 

 

「さぁ─────狼狩りの時間だ」

 

 

 

 






戯れという名の蹂躙


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