サンラク、出陣
『クラン:
アーネスの実況の中、黒狼はムラクモを。旅狼はサンラクを投入する事を決めたと同時に、御互いの陣営では出場プレイヤーとして前へ出た者に、対戦相手の情報を渡していた。
「ムラクモ。正直に言うが我々はサンラクというプレイヤーが『半裸で凝視の鳥面を装備し、リュカオーンの
「まぁ、そうやろうなぁ………。ただまぁリュカオーン相手取れたちゅう事は、少なくとも『機動力』には重きを置いてんのは間違いないやろ。あと可能性としては『
ムラクモの予測、其れは
故にムラクモは、サンラクという人間を『警戒』する。そして得られた情報と、彼方に立っている半裸の鳥頭の情報を精査しつつも、彼は此れから戦う相手に『全力で挑むべし』と結論を下して、戦場へと向かう準備をする。
「ムラクモはシャンフロプレイヤーの中で、知る人ぞ知る『最大回数のレベルダウンビルド』を経験したプレイヤーでね。しかも一つの武器に付き『最低五つ』は、関係するスキルを所持しているの」
「更に言うと、小鎚や
「何だよ、其のラスボスじみたプレイヤー」
「更に、付け加え……ますと………其の、姉とはコロシアムの舞台で一時期、PVPしてまして………えっと……確か12戦5勝5敗2引き分け、の戦績……持ちです」
「やっぱラスボスじゃねーか、其のムラクモってプレイヤー」
ペンシルゴンとペッパーの説明を、そしてサイガ-0の説明を聞きながら、サンラクは準備運動の中でムラクモというプレイヤーに対し、ヤバい奴という認識を持った。だが同時にサンラクは、ペッパーの采配とフィールドの
コロシアムの構造、飲んできたエナドリ、レベルダウン済みの格上プレイヤー。今自分のテンションが跳ね上げる為の全てが、此処には『揃っている』のだから。
「よっし、じゃあ行ってくるわ」
「負けたら此れネタにして、向こう三年は弄ってやるから覚悟しとけよサンラクゥ~」
「証拠としてスクショも撮ったげるね~」
「よしお前等負けたら、さっき言ったのと同じ事してやるから覚えとけ」
半目でそう宣言しつつ、拳をパキパキと鳴らしたサンラクは肩をぐるんぐるんと回し、戦場へ向かわんとし。
「あの、サンラク………さん!が、頑張って───下さいっ」
振り向いたサンラクの視界に、純白の鎧に包まれた『サイガ-0』の姿が映る。そして甲冑に包まれながらも彼の目には、確かに『斎賀 玲』の姿が重なって見えていた。
「任せろ。どんなに手数が多かろうが、使われる前に潰せば無いに等しいからな」
戦闘に置ける心理の一つを述べながら、サンラクは舞台へと上がる。彼の金色に輝く腰のベルトには、水晶の布糸で作られた一個の『水晶群蠍の人形』がぶら下がっていた。
『御待たせ致しました!此れよりクラン対抗戦、折り返しの中堅戦を開始します!両陣営のプレイヤー、戦場へ入場です!!!』
黒狼からはムラクモ、旅狼からはサンラクが戦場へと歩み、衆人環視の前に姿を見せる。
『黒狼の中堅はムラクモ選手!プレイヤーの中でも最大回数のレベルダウンビルドを持つ者!持ち得る技能の数は『百種類』とも考えられる事から、別名『
アーネスなる人物の発言には色々と思う所が有るし、リュカオーンの呪いは現時点で
おのれリュカオーン。デイリーミッション無事達成。よし切り替えて行こう。だが長らく自分を苦しめ続けていた『装備が着れない』という問題は、
取り敢えず『あのクソガキ』と『リュカオーンの本体』に対しては、何時か盛大にカチコミを掛けて
「初めましてやな、サンラクはん。しっかし掲示板のスクショに違わぬ『ド変態な格好』をしてんのに、ユニークモンスターをブッ倒すとは……ホンマ凄まじいの」
男アバターから聞こえる『はんなりでドスが効いた女声』から、今目の前に立つ『全身を水晶に煌めく鎧を纏う』ムラクモなる人物は、リアルだと『女性』なのでは?とサンラクは考えながら、毒舌には毒舌を持って返す。
「ド変態は余計な御世話だよ。ペンシルゴンやペッパーから聞いたぜ………どうもアンタ、スキルを百種類は習得してるんだってな?其れ頭が風船なってパンクしね?大丈夫か?」
「………ぷっ、はははは!おもろいなぁ、サンラクはんは。………まぁでも、戦う以上は『手加減』は失礼やから────」
そう宣言して左手に『鉱石で作った
「フッ………面白ェじゃねーか、ムラクモ氏。実は此方も
彼の視線や立ち振舞い、言葉から虚勢では無く本物だと悟ったサンラクは、両手に
サンラク自身、此の『構え』に名前が在るのかは
「ええっと、確か───『心の火を鎮め、己の河川を御する』……だったかな?」
「………へぇ、此れは『面白い事』になりそうや」
互いに火花が散り、そして──────
『其れでは中堅戦!始めェ!!!!』
アーネスの叫びと同時、ムラクモはフォーミュラ・ドリフトを点火し、サンラクへと斬り掛かり。
「甘ェよ」
居合斬りスキルで斬らんとした其の一撃を、予め加速と共に仕掛けてくると
『
ディープスローターの其れは自分の比では無く、千変万化の
ペッパーという人物はディープスローターに『近しいタイプ』であると同時に、其の戦闘スタイルには『今現在役割模倣をしている人物が色濃く反映されている』プレイヤーでもあると、サンラクは結論を付けている。
彼が真似ている人物の名は『
「チェイアァ!!」
「左足の下段蹴り、盾での殴り付け、其処から………多分頭突き」
ムラクモの身体の構造と腰や肩の動きから、其の動きに予測を立てつつ、右足で膝を押さえて、円盾は右手の剣で
「構うか!」
「何ッ!?」
だがムラクモは刺突として向けられた、サンラクの剣の鋒を恐れる事無く額を突き出し。まるで
「
「
振るわれる骨と牙の雑種剣、攻撃モーションを加速させる『ストリームアタック』も使用済み。胴体を───「一撃で斬り飛ばすってか?」
刹那にサンラクが『ブリッジ姿勢』で斬撃を回避しており、直後に左膝裏の比較的装甲が薄い部分を蹴られ、体勢を崩される。円盾を地に刺して何とか踏ん張るが、無防備になった右脇腹に『ヤクザキック』が直撃、衝撃と共に
「中々やるじゃん………」
「アンタもな」
そうして武器を拾い直したサンラクと、武器を構え直したムラクモは、ほぼ同時に同じ感情を抱く。
((コイツ─────出来る!))
強者の戦い
メダリオンヘッド
………なのだが、防御や装甲貫通系武器やスキルを弾こうとすると、脳天に直撃してダイナミック自殺不可避なスキル。また魔法に対しても無力であり、頭から炎や雷に突っ込んだ場合は、やはり自殺になってしまう不遇なスキル。
しかしながら職業:
鋼から鐵へと変わる時、其の硬度は神域へと至る標と成らん