煌めく刃
其れは
「フハハハハハハ!こんなもんじゃねーぞオラァ!!」
「ぐぬっ──!?さっきっから、バシバシバシバシ好き勝手に当ててきおってからに……!流石の容赦の無さやわ!」
月光に照された金皇照が其の刃を研ぎ澄まし、全身が皹割れを起こした黒炎と黒雷を纏う魚面の傭兵が、水晶の鎧と竜骨の
だがムラクモは沈まない、倒れない、折れない、そして砕けない。身体に纏った鎧から『水晶』が
ムラクモは考えていた、相手がどんなに機動力を上げようが、防御力を捨てているという『前提』で事を構えれば、自ずと答えは見えてくる。相手が此方を攻め潰す前に『最高の一撃でカウンター』をして勝利する───其れに答えが帰結するのだと。
サンラクは此の攻防戦を通じて、ムラクモはある意味『ペッパーと同じベクトルに居るゲーマー』だと、戦いを通じて感じていた。武器や防具を大事にし、相手の攻撃を最小限の被弾で抑え、必要なタイミングで必要な攻撃を行う…………そういう『タイプ』のプレイヤーであると。
だからこそ彼は、数有る手持ち武器の中で『勇魚兎月達』を選択した。理由としてはムラクモが『レベルダウンビルド』勢であるのも一つであり、無論同じ条件ならば『
「んじゃ、
対刃剣とは本来『二本一対の武器』であると同時に、各々の剣には各々の能力が宿っており、金皇照は月光を受けての攻撃性能とクリティカル発生強化、更に物体の成分を結晶化させての被弾範囲の増大。
そして冥帝輝は、武器の形状変化と自身にカウンターをストックしてのスキルを介さない『遠距離貫通攻撃』という、呪いや刻傷に愛呪が無い『万全な状態』で使用出来た場合、おそらくシャングリラ・フロンティアというゲームの中でも類を見ない『ブッ壊れの性能』を誇る、そんな人権武器と言っても過言ではない。
其の力はリュカオーンの刻傷によって封じられていたが、今はゴルドゥニーネの呪いで作り上げられた『
左手に蒼黒のオーラと電撃が迸る音の中、左手に握る冥帝輝がサンラクの意志を読み取り、短剣から曲剣へと形を変えて。敵の意識が冥帝輝に向こうがそんなもん知った事かとばかりに、表面に出ていた成分結晶目掛けて『湾曲した斬撃が飛び出し』。
会場全体が度肝を抜かれ、ムラクモ自身も未知なる初見殺しの一撃に対し、反応と回避が遅れて肩へ直撃。流出して表面に出ていた結晶は砕け散り、其の身をダメージが襲った。
「がっ────!?」
「ハッハァー!どーだ、驚いたかぁ!?傭兵だろうが遠距離攻撃だって出来るんだよッ!」
『な、ななな、スキルを介さない───飛ぶ斬撃!!!飛ぶ斬撃を放ちましたよね、今!?というか傭兵!?!?』
『あの蒼黒の水晶剣、サンラク君がクリティカルに成功する度に持ち手側の腕に、オーラがより強く纏われていっていた………。条件はクリティカルを出す事、そして其の恩恵が遠距離斬撃を可能とする訳か………』
『しかも何か変形して、曲剣になってましたねぇ~。アレも蒼黒水晶剣の能力でしょうか~』
僅か一回見ただけで、冥帝輝の能力の八割に気付いたキョージュとミレィに、サンラクは遠い目をしながらも今そんな事は知った事かとばかりに肉薄し、ムラクモもまたカウンターを仕掛けんとして、籠手を振るう。
だが其れでもサンラクには当たらない、ギリギリの紙一重で回避され、クリティカルを叩き込まれる。ならばと距離を離せば、蒼黒い水晶の刃が変形してレイピアと化して、鋭利で速い飛ぶ斬撃が身を掠る。
(こりゃ………アカンな)
おそらくサンラクが持っている、あの武器の種類は『対刃剣』。金色がクリティカルを条件とした対象の身体に結晶生成、蒼黒がクリティカルを条件に遠距離斬撃という、恐るべき能力を搭載したヤバい代物。
黄金で結晶を作り、蒼黒で其れを遠距離から破壊する………そういう『コンセプト』を以て作られたのだろう其れが、一体誰の手によって其れ程までの性能を発揮する武器を産み出せたのか、ムラクモには解らない。
最も其れはシャンフロプレイヤーの殆どが知らない、鍜冶師最上位職『
だが体力的にも此れ以上の被弾は流石に許容出来ないと、ムラクモは次の一撃に『己の全て』を賭ける事を決めた。両手から籠手が消える、両足から籠脚が消える、変わりに取り出されたのは『巨大な犀の角を加工』して、穂先にしたかの様な『大槍』だ。
「次で決めるで、サンラク!」
そう宣言しつつ、
「へっ。良いぜ、ムラクモ氏!」
金皇照と冥帝輝の『合体ゲージ』は、攻防戦の中で既に『MAX』に到達していた。金色の刃に蒼黒の刃を寄り添わせれば、金色を紺碧が飲み込んで握り手を双つ持つ、黄金の剣芯と水晶の刀身の一本の両手剣たる『合体状態:
中堅戦はクライマックスに向かう。
見逃すな