勝利を此の手に
『何と、何と何と何とォ!?サンラク選手が持つ剣が融合か合体して、両手剣に変化しました!?というかあんな能力を私は見た事無いし知らないです!!?』
『ハハハハ!本当に凄まじいな、サンラク君は!後で色々と話を聞きたい所だ!』
『凄いですねぇ~………合体機能はロマンが有りますよぉ~』
「先に宣言しとくぜ、ムラクモ氏。今の俺は『掠り傷』を受けただけでも死ぬ、超々々々背水仕様だ。だから───『一撃当ててみせろ』、死ぬ気でな」
「なら此方も言わせて貰うけど、此方も後一発でもクリティカルを食らったら『倒される』んやわ。だから渾身の一発を、全力で叩き付けな」
互いに距離は充分。ジリジリと円を描くかのように足を動かし、敵との位置を見計らう。そして────サンラクの後ろにムラクモが投擲した
「チョイサァアアアアアア!!!」
「
サンラクが奇声と共に叫び声を上げながら、其の手に握っていた
対してムラクモは職業:戦王の固有スキルを解放、真っ直ぐに突撃しながらも其所に他のスキルを重ね掛ける。戦闘開始から十分が経過した事で使用可能となった『オーバーヒート』、直線を光の如く走り抜ける『シャイニングアサルト』、槍を用いた突進時に背面以外のダメージを減少させる『ヴローズン・チャージ』の三つのレベルMAXスキル。
そして武威解放によって強化された事で、敵に攻撃が当たるまで『自身のスタミナ減少が超大幅抑制される』効果へと至った『
直後に突き刺さっていた『水晶弾』が、サンラクとムラクモの間を阻む様に『成長して』、巨大な水晶壁となって立ち塞がった。
「構うかぁ!!!!!!」
スピードを乗せて、一直線に。最速最短で『あの場所』に到達する。其の過程でサンラクを貫けたなら結構。そうじゃないならば、別のプランでブッ飛ばす。大槍の穂先が水晶に突き刺さり、衝撃が壁全体に皹を迸らせ、僅か一秒足らずで頑丈な水晶壁を貫き砕く。だが壁の向こうの其の先に、サンラクは『居ない』。
ムラクモは振り向かない、当初の予定通りに別のプランでサンラクを倒す事を決めた故に。真っ直ぐに駆け、大槍をインベントリに収納。雑種剣を掴んだ瞬間から振り向き様、此処まで温存していた『
投げていた両手剣を何時の間にか携えながら、既に『居合の構えで』持ちながらカーブを描いて急速接近する、サンラクの姿を見たのだ。
あの局面…………水晶弾を煌蠍の籠手で成長させ、ムラクモの視界を一時的に切ったサンラクは、水晶の成長と同タイミングで、
三歩目で地上に足を着けられる様に意識し、空中歩行効果が切れて片足が地面と接地した瞬間に、フォーミュラ・ドリフト+ボルテックスムーヴのダブルコンボで加速しながら、ムラクモへと迫ったのである。
(──────掛かったな、サンラクはん!)
だがムラクモは此処まで、意味も無くサンラクの攻撃に晒されていた訳では無い。
(瞬間転移を使おうが、此方は出てくるタイミングも計算済みや!さぁ…………ブチ噛まされる覚悟を決めや!)
構えるムラクモに、迫るサンラクが居合の如く両手剣を握る手の甲が強張り。其れを読んでいたとばかりに、ムラクモは『自身の体力が10%以下である時のみ使用可能で、攻撃モーションを
速度は僅かにムラクモが上、此のまま脳天を魚面ごと叩っ斬って終わらせんとした、決死の斬撃は。
雑種剣の鋒がサンラクの頭と胴体を、無情にも
「───────は?」
「湖面の月に目が眩んだってか、ムラクモ氏?」
直後にムラクモの脇腹を襲うは、此迄のシャングリラ・フロンティアのプレイ史上一番の斬撃による痛み。そして身体の半分がバックリと持って逝かれた様な、圧倒的なダメージと体力が全損した感覚だった。
サンラクはフローティング・レチュアの三歩目から地面に片足が着地する前に、胸に封雷の撃鉄を軽く叩き付けて、其の効力を『敢えて』解除したのである。
ムラクモがペッパーと同じタイプであるならば、此方の過剰伝達の速度を踏まえた上でカウンターを仕掛けると読み。フォーミュラ・ドリフトとボルテックスムーヴを連続点火したのは、封雷の撃鉄を解除した事を『偽装』する為と『もう一つ』のスキルを使えるようにする為。
スキルの名は『ライオットアクセル』、体力を消費して筋力と敏捷を上げる自傷効果を内封する
だが、サンラクの腰ベルトにはアクセサリーとして『
封雷の撃鉄によって減らされて『1』になった体力は、別枠で用意された回復を用いた『愚者のデメリット回避』と共に、此処まで蓄積された回復を用いてライオットアクセルを使用可能にし。再び体力を1に至るまで減らしてからの、ヘイト置き去りのウツロウミカガミと共に発動。
ムラクモの速度アップ攻撃を更に上回る速度で抜き去り、一定以上の速度で駆けたという条件を充たした事で動いた『
合体状態:閠永月の専用スキル『
「ムラクモ氏、アンタは強かった」
「…………今回は負けや。何時かリベンジさせてな、サンラクはん」
そうして戦王ムラクモのアバターを構成するポリゴンが崩壊し、魚面を着けた皹割れと黒炎を纏った半裸の傭兵、サンラクのみが残された。
決着