戦、再開
「噂には聞いていたけど、本当に筋肉筋肉筋肉!って感じなんだな………ええと」
「まぁまぁ、可愛らしいアバターね。此の戦いはよろしくね?」
「アッハイ、ウン。ヨロシク」
バトルフィールドの整地が終わり、いよいよ狼達の戦は折り返しの第四戦目たる三将戦。身長2mに迫る巨漢から繰り出されたマダムボイスに、オイカッツォが吹きそうになりながら、棒読みで答えを返しつつ相対する。
『クラン:
「オイカッツォ………!なんて
実況を行うクラン:ライブラリ所属プレイヤー・アーネスの紹介に、観客席で聞いていたディープスローターが声を上げる。ペッパーはカッツォという言葉の
「うふふふ………戦術機獣って素晴らしい火力を持っている物を見せられてから、ずっと昂ってるのよね~。力比べには自信が有るのよ~」
「へぇ……俺は何処ぞの半裸や名無し黒装束みたいに、ユニークをポンポンポンポン出してる訳じゃ無いけど……。マダムの戦闘スタイルをペッパーから教えて貰ったから、遠慮無くブッ飛ばすよ」
オイカッツォ、本名を
「さてと、プロゲ……うぉっほん!旅狼の力を更に見せ付けてあげるとしよう!行こうか────『
充電満タンの規格外エーテルリアクターを一本手に取り、インベントリアからバトルフィールドに呼び出すは、
そして其れに対応し白虎に指示・規格外武装の運用を行う、細身な胴体と鈍重な四肢に虎を模した
『オイカッツォ選手、呼び出したのは虎型のロボット!そして纏ったのは、四肢がゴツい一式装備のパワードスーツ!単純に殴り合うだけでも十二分に火力が出そうです!』
『此処まで判明してきたのは、朱雀・玄武・白虎の三体。四聖獣と同じ名を冠するロボットだとするなら、最後の一体は『青龍』と見て良いだろう。一体どのような機能が有るのか………益々気になってきたよ。そして家内には此の逆境でも頑張って欲しい』
『朱雀が空中で玄武が砲撃となると、白虎は格闘戦でしょうかねぇ~。あの四肢からして、かなりの威力が出せる気がしますよぉー』
「まぁまぁ………凄いわねぇ~」
エーテルリアクターが装填され、白亜の鋼虎が目を覚ます。解説席・観客席が興奮し期待を寄せ、白虎は一体どんな機能を持っているのか、其れを操るオイカッツォの実力は如何なる物か。
『其れでは三将戦!戦闘開始ッッッッ!』
「白虎、早速合体行くよ!!」
『Yeah!』
白虎からファンキーな声が響き、蛮武を纏うオイカッツォに風呂敷を掛ける様に、白虎が覆い被さりながら四肢を、胴体を分解して合体していく。機械で有りながら、其れはまるで生物が『呼吸』をするかの様に、合体シークエンスを完了。
「格好いいわぁ~腕がなっちゃうわねぇ~……!」
『
マッシブダイナマイトが大鎚を其の手に構える中、オイカッツォが纏う蛮武と合体した白虎は、フィールドの空気を吸い込み『圧縮』。まるで虎が威嚇し喉を鳴らしながら唸り猛る様に、両腕両足に空気が送り込まれて蓄積される。
そして其の手に現れるは、格闘戦用の規格外武装:穿拳型【バタリングラム】が握られ、マッシブダイナマイトが警戒する刹那の隙間を穿つが如く、白虎は吸い込んだ空気を解き放つ能力を発揮した。
『
蛮武と白虎、其の能力は空気の超吸引と圧縮放出による、爆発的な推進力を発揮する地上戦を敢行する事。本来は『空気や特定の物質を吸引・圧縮、状況に応じて様々なアクションを可能とする』コンセプトであり、やろうと思えば『核融合』すら可能な代物。
そして白虎の持つ圧縮吸気からの解放排気で行う加速は、装着者の思考を白虎が読み取った上で『マニュアルとオート』による実行を可能にした。其れはロボゲーを苦手とし、尚且つオイカッツォが不得手としていた『先行奪取』を実現出来る装備なのである。
白虎の能力に気付いた時、オイカッツォは確信した───『此れを
何よりもオイカッツォというプレイヤーと戦術機獣が一角・白虎の組み合わせは、シャンフロにおける『ベストマッチ』。
圧倒的な加速・其のスピードを操る技量・自身の身体を十全に動かせるプレイヤー、其れ即ち『巨大トラックが超スピードで突っ込んで来る』のに等しい。
「ふんっ!」
「………おおう、マジかぁ」
だが、マッシブダイナマイトは。右手のバタリングラムの一撃を大鎚の芯で、其れも『ジャストタイミング』で受け止めて。極振りで鍛えられた筋力と共に足腰で踏ん張り、渾身にして先制攻撃を止めてみせたのである。
「うふふふ……ちょっと衝撃がキツ過ぎて、腕が痺れちゃったわ……!」
だがオイカッツォと白虎の、最高の一撃を止めたマッシブダイナマイトも、タダでは済まなかった。殴り付けられたバタリングラムによる、衝撃の抉り抜き機構による衝撃貫通の一撃は、マッシブダイナマイトが纏う鎧や差し込んだ大鎚を通じて、
レベルダウンビルドを通じて鍛えられたステータスであれど、極振りした筋力によって肉体が壊れない最低限のラインで整えた耐久力と体力では、纏った装備と大鎚の差し込みでは、衝撃によるダメージで全身の痺れで動けない。
「もう一丁!!」
「ッ!」
左腕に集めた大気の吸引そして解放が成した拳撃の加速が、マッシブダイナマイトの脇腹を殴り付けた事による、バタリングラムの衝撃の抉り抜きが再び発生。マッシブダイナマイトの体力は、オイカッツォと白虎とバタリングラムのコンボによる初撃で三割・次撃で五割削られて。
「でも、コレを待っていたのッ!」
「!」
敢えて高い防御力を持つ装備を信じて受け止め、一矢報いようと自身が持ち得る全てのスキルを点火し、大鎚武器攻撃スキルの中でも最高峰の大技『爆鎚・覇城砕撃』で、白虎諸共オイカッツォを潰さんとし。
「悪いね、マダム。コレ任意解除可能なんだ」
バタリングラムが消え、直後オイカッツォの姿が消える。スキルが地面に叩き付けられ衝撃が走った刹那、白虎で武装した巨手と巨腕がマッシブダイナマイトの腰を掴まえており。
「あらら、此れは──────」
「うん。チェックメイト」
白虎の腕部と脚部の空気の放出からなる、疑似『フォーミュラ・ドリフト』による回り込み。そして繰り出したのは、『ジャーマン・スープレックス』による脳天の叩き付け。
其の一撃はマッシブダイナマイトの僅かに残された体力の灯火を完全に削り取り、アバターを構成するポリゴンを完全に崩壊させ。此処にオイカッツォの勝利という事実を、バトルフィールドに示したのであった………。
白き虎の力