VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其の刑の名は




狼双戦争(デュアルウルフウォー) 其の十五

市中引き回し。

 

其れは江戸時代の日本で行われた刑罰の一つであり、奉行所にて死刑を下された囚人を馬に乗せて、罪状を書いた捨札等と共に処刑場まで公開で連行する制度である。

 

世界でもヨーロッパにおけるギロチン処刑を、民衆の居る広場にて行ったが、此れは処刑執行を民の目の前で執り行う事により、同じ事をすれば自分達もこうなるといった一種の『戒め』を込められている。

 

では何故其の話をしたのか?其の答えは今現在、其れを再現した『大馬鹿者』が居るからに他ならないからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そーれそれそれ、草餅おろしだよぉ~♪青龍ちゃーん、もうちょいスピード上げて~」

『御了解!高度ヲ維持シツツ、速度上昇!!』

「ごばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!??!!??!!??」

(家のサブリーダーが本当にごめんなさああああああああああああああい!!!!)

 

規格外特殊強化装甲(きかくがいとくしゅきょうかそうこう)昇滝(ショウロウ)】を其の身に纏い、規格外戦術機龍(きかくがいせんじゅつきりゅう)青龍(セイリュウ)】に股がり。規格外武装(きかくがいぶそう):鋼線型(こうせんがた)【キープアウト】を左手に持ちつつ、両腕両脚を雁字搦めに縛り付けてた草餅を、顔面を地に着けてバトルフィールドで引き擦り回す光景に、プレイヤーとNPC達は一人の例外も無く戦々恐々(ドン引き)となって、ペッパーは顔を押さえて心の声で叫んだ。

 

「なぁ、サンラク。アレって『世紀末略奪ゲー(ユナイト・ラウンズ)』で国王を生き餌にして敵を誘き寄せたヤツだよね?」

「違うのは馬車じゃなくて、龍に乗って行ってるって事くらいか。オマケに顔面だけ擦り潰すつもりだなありゃ、幾ら耐久が有ろうが頭潰れたらどーしようもねぇし」

 

嘗てのアーサー・ペンシルゴン、もとい鉛筆戦士の諸行を知るオイカッツォとサンラクは、久方振りにペンシルゴンが帰って来たかと北叟笑み、ペッパーは顔を押さえて夜空を仰ぎ続ける。

 

「べぼばばばばばばばばばばばばばばばばば!!??!!??」

「ん~、まだ沈まないかぁ…………よし!アレをやろう」

 

引き擦り回しを受けても尚沈まない草餅を見ながら、ペンシルゴンはインベントリを操作して、投擲玉:炸油を取り出して進路上に落としまくり。青龍を操作するや迷う事無く其処へ、キープアウトを巻き付けた草餅を引きながら突っ込ませ。

 

そして初期火属性魔法【ファイヤーボール】を草餅にぶつけて、焼き燃やしながら引き擦り回しをするという、誰の目から見てもオーバーキルの所業に打って出たのだった。

 

「ごわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?!??」

「こ れ は ひ ど い」

「うわぁ……」

「ひえぇ………」

(すいません……!すいません……!家のサブリーダーが、本当にすいませんッッッッッッ!!!!!)

 

草餅は火達磨にされて引き擦り回され、悪逆無道なペンシルゴンにブーイングの嵐が巻き起こり、炎と熱のスリップダメージが重なった果てに、弓の勇者を構成するポリゴンが遂に崩壊して。

 

此処に旅狼の五勝目の事実と共に、ペンシルゴンに対する怒号が響き渡るのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁやぁ、皆ー。あーくーん。ペンシルゴンおねーさんが草餅君を焼き餅君にしてきたぜー♪」

「「「「ウェーイおつかれー」」」」

「ペンシルゴン、御馬鹿!やり過ぎだ!?」

 

昇滝の頭機殻(ヘルム)を外し、青龍やキープアウトをインベントリアに収納しながらに、ほっくり笑顔で帰って来たペンシルゴンを、パリピめいた口調とテンションで答えたサンラク・オイカッツォ・サバイバアル・京極(キョウアルティメット)

 

其のペンシルゴンのやった事に対し、ワナワナと狼狽しながら叫んだペッパーと、あまりの凄惨さに言葉を失ったサイガ-0・レーザーカジキの各々の性格や心持ちが、如実に反応として現れる結果となる。

 

「え~、だってあーくんさ。食い縛り持ちを倒すなら、多段ヒットや毒に火傷のスリップダメージが有効って、私に言ってくれたじゃない?だから私、其れを参照して戦ったんだよん♪」

「……………仮に俺の発言が無かったとして、どうやって倒す算段だったんだよ………」

「麻痺毒で止めて呪殺するつもりだった」

 

己の発言で草餅を苦しめる結果となった事に、ペッパーは頭と心を痛めて顔を覆い空を仰ぐ。

 

「まぁ其れは其れ、勝ちは勝ちなので。────ただサイガ-100ちゃんは『前衛後衛も行けるオールレンジアタッカー』、オマケに剣聖固有魔法【従剣劇(ソーヴァント)】の独奏(ソロ)から始まり、五重奏(クインテット)まで使いこなす『完璧超人』なんだよ」

「──ただ、其の魔法には弱点が無い訳じゃない。其の固有魔法は、特化魔法職並にMPをドカ食いする。だから回復を挟む為に『隙』が産まれるから、其処を叩くのが良いよ」

「姉が持つアクセサリー、には……MP回復を行う、物や………。回復モーションを、省略する物を着けて………いて。従剣劇の燃費や、隙間を極力……無くしてます」

 

サイガ-100の知り合いや関係者から、彼女の持つアクセサリーや攻撃方法を教わったペッパーは、サイガ-100というプレイヤーは『ヤバいレベルの魔法と物理を両立している』と、予測を立てる。

 

「まぁ残り一勝だから、此処であーくんにはバッチリ団長ちゃんに勝利して貰って、此の戦争を終わらせちゃいましょ?」

「此処で負けてパーフェクト逃したら、向こう五年は煽ってやるからなー?覚悟しなよ、ペッパー?」

「頼んだぜ、クランリーダー」

「無様を晒さない様に頑張ってね?ペッパー」

「ペッパーさん………其の、姉は強い……ですから。………頑張って下さい……」

「ペッパーさん、頑張って下さい!」

「おう、ペッパー。最大高度(スカイホルダー)の実力、嘗め腐った連中に見せ付けてやんな」

 

此の戦いに関わった者達からの激励に、ペッパーはペンシルゴンが行った事で痛めた頭や心を沈め、そして其の思考を『対サイガ-100』に切り替える。

 

「───────行ってきます」

 

そしてペッパーは戦場へと歩き出したのだった………。

 

 

 

 






最終の大将戦


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