勇者激突
「金色と純白の盾………?其れにエクスカリバーとデザインが似ている………」
「
『な、なななな?!ペッパー選手、まさかまさかの勇者武器所持者だったァッ!?!』
『家内から聞いていたが、あれがイーディスか………見るのは初めてだね』
勇者武器・聖剣エクスカリバーを振るうサイガ-100の問い掛けに対してペッパーが答えれば、観客席がどよめき始める。
「…………なら、手を抜く必要は無いな」
「寧ろ手を抜かれたら、此方が困ります」
『其れでは、最終大将戦ッ─────始めぇ!!!』
会場と観客のボルテージが大いに高まり続け、六度目のアーネスの叫び声をゴングとしてサイガ-100がいきなり『四本』の剣を展開、其れを『高速』で飛ばしながらに襲い掛かって来た。
剣士系最上位職:剣聖。数多の剣を縦横無尽に操り飛ばし、時に固有魔法である【
そして各々の剣の特色や特性を十全に理解し、其れ等の力を余す事無く活かしきれる者が振るわば、唯の
尤も其れは──────サイガ-100と対峙した者が、対人戦に
「左後ろの『超猫じゃらしLv.100』が本命、他三本はブラフ兼左後ろを当てる為の牽制用、一本はあからさまに触れたらアウトタイプ」
「!」
右後ろから来る赤色の剣を屈んで避け、掬い上げと脚を狙った黒と青の剣は自ら転がり、本命の『最大30連続ヒットの食い縛り絶対殺すソード』は、イーディスの縁で受け流して直撃を凌ぐ。
レトロタイプのロボットゲームで搭載されていた『オールレンジ兵装』の中には、有線を用いて突撃槍を飛ばしたり、本体が装備している装甲が分離する事でビームを照射する等、様々なタイプがある。
そして此の手の攻撃は対象となる存在を『中心に置き』、敵の『死角を突いて』攻撃を仕掛けてくるのが
「なら、こうだ!」
「猫じゃらしブラフ、赤い剣は毒の可能性。二本の剣を上から落とす。其れに対して俺はこうする」
『手札』の多さとは『選択肢』の多さと同時に、用いれる『ブラフ』の多さでもある。組み合わせる物が多ければ多い程、当然其の組み合わせに『バリエーション 』が産まれるが、代償として其れを『思考』する必要が出てくる。
組み合わせを思考すれば、当然少なからず『時間』が必要となり、其れが対人戦となれば僅かな時間が作り出す『隙』が産まれ、其の隙が『命取り』になる危険性を常にプレイヤーへ付き纏わせる事になる。
故にこそ────対人戦においてプレイヤーは、予め自分の『選択肢』を絞り込む。そして其の選択肢を経験の中から『予測』、更に其の予測から派生する可能性を『想定』して、猫じゃらしと毒剣のタイプを回避からの、二本の剣には盾武器スキル・
『ふ、防ぎました!ペッパー選手、サイガ-100選手の従剣劇を防いでいます!』
(とんでもないな………!気を抜いたら一瞬で刻まれて倒される!)
飛来する剣達の嵐の中で戦い、サイガ-100の視線と剣の動きを見ながら、経験と想定から己の答えをぶつける。耐久に秀でた勇者武器、其の中でも最高峰の耐久値を誇るイーディスに負担を掛けない挙動で、従剣の乱舞をペッパーは凌ぐ。
振り上げ挙動で迫る毒剣を盾の縁でパリィし、猫じゃらしを飛び込みで避け、二本の剣をギリギリで躱わす其の光景は、まるで『幽霊の如くゆらゆらと揺らめき』ながら、剣と盾が交わり音を鳴らす度に少しずつ、確実に洗練されていくのを見たサイガ-100は、其の表情に驚愕の色を纏い叫ぶ。
「
「
おそらく自分の予測が正しければ、サイガ-100・サイガ-0・
「多種多様な武器を使い分けて戦うのは、此方も得意ですからね………!」
イーディスを収納。取り出して両足に纏うは『突撃槍』を思わせる
「
「ならば見せて貰おうか!」
此方のモードチェンジに対し、サイガ-100もまた武器を切り替える。四本の剣が収納から、新たに別の四本の剣が展開され。エクスカリバーは鞘に収まり、取り出された内の一本が彼女の手に握られる。
「ハアッ!!!」
「オオオッ!ラァッ!!!」
飛ぶ剣を便秘の世界で形にした『脚パリィ』で弾き、ヴォーパルコロッセオで何度も練習を重ねた『ブレイクダンス』の要領を用いて、敵の剣の刃達を跳ね返して近付けさせない。そして蹴りによって、籠脚と剣が打ち合うを行う度に、撃鬼覇貫脚は『己が受けた痛みを吸収』していく。
クレーゼーレ・ヴィンディッシュ、バタリング・ナイツクラブ、
そして蓄積したダメージが一定値を越える事により、撃鬼覇貫脚は『通常モード』から『覚醒モード』に
「痛いか、撃鬼覇貫脚。だったら起きて、仕事を果たすぞ!!」
ペッパーの意思に答えるように籠脚が昂り、赤い蒸気を───まるで血を含んだ様な赤を含んだ闘気を、装甲の隙間から噴き出し。そしてペッパーはサイガ-100との距離を積めるべく、一気に前へと走り込む。
撃鬼覇貫脚は通常モード時は防御力に重きを置いた、所謂『ディフェンスモード』の状態であり、其の状態では脚撃や脚によるパリィで発生する『ダメージの蓄積』を行い。覚醒モードに移行した場合は、一定時間装備したプレイヤーの
「させん!」
「遅いッ!」
三本の従剣を進路上に敷かんと振るうが、シャイニングアサルトを起動したペッパーの速度は其れ以上に速く。赤い蒸気を残照として、
『加速して超々至近距離に持ち込んだ!余りの速度に、従剣達が追い付けてませんッッッッッッ!』
「なっ!?………だが、至近距離ならば!」
「残念だけど、振らせない」
インベントリアを操作、左手に装着するは金と翡翠で彩られし巨大なる片手の籠手にして、双皇甲虫の素材で作った
サイガ-100はペッパーが新たに装備した籠手、其の拳が手刀となった瞬間に『巨大な剣になった』様な姿と、まるで今の状況が『居合の体勢に入られた』と直感。自ら後ろへと飛びつつも、ペッパーの後ろに三本の剣を飛ばして回避行動を取った。
「
爪先に仕込まれたドリルが回転し、ペッパーの身体が回転。同時にもう片方の足と左腕の籠手を振るい、迫った剣達を赤い蒸気を壁にして足止めし。
撃鬼覇貫脚は覚醒モードの稼働エネルギーを全消費する事により、爪先のドリルを稼働させた多段攻撃及び武器と装甲破壊能力を宿す『蹴り』を叩き込めるが、地面に片足を突き刺し周囲を回転すれば、蒸気による壁を作り出しての足止めが出来、包囲攻撃にも対処可能になる。
「フッ────!」
「其れは『想定済み』だ」
「此の程度!?」
「─────
ペッパーの挙動が
「ペッパー流───────
高速化した景色と共に、後頭部と背中に強い衝撃が襲い掛かったと思えば、自身の体が地面に叩き付けられたボールの感覚をサイガ-100は味わったのだった。
小手調べ