ペッパーの思い出のゲーム
レトロゲーマーの俺が、もしも『自分にとっての
数多の銀河を又に掛け、大戦争が続く宇宙を舞台にした、3D剣劇アクションレトロゲームであり、主人公は辺境の星に住む少年もしくは少女、そして其の師匠であり同ゲームのラスボス『ヴルム・ハーフニィル』の弟子の一人として道場へと向かう所から始まる。
チュートリアルを通じて基本的な操作を体感した後、主人公は己の居場所たる道場へと向かい、師匠や他の兄弟姉妹弟子達と会話を交わしたりしながら、剣の修行を行う日々を送っていた。
だがある日の夜、主人公が目を覚ますと道場は余りにも静かになっていて。自分の手にねっとりとした気色の悪い感覚を覚え、手を洗いに行こうとした時に─────其の手に『血』が付いている事。そしてさっきまで一緒に寝ていた兄弟姉妹弟子達が、自分以外全員殺された事を知る。
寝室各所を調べて回るが、誰も生存者は居らず。ならば師匠はと向かえば、師と誰かが争う声に悲鳴。向かえばローブを纏い仮面を隠した者の一刀で、師匠は斬り殺されており。其の暗殺者によって片眼を斬り裂かれ、胸を×字に斬られた主人公は倒れ。
目が覚めた時には宇宙の大監獄、最重罪領域にて特例の集中治療を行い、生き延びた事を知る。罪状は『銀河極剣豪ヴルム・ハーフニィルと門下生37名、及び道場関係者の殺害』という冤罪、そして其の処刑は『明日』に執行される事を知った。
叫べども声や話は聞いて貰えず、家族同然と思っていた兄弟姉妹弟子と師匠の仇も討てぬまま、唯々己の死を待つ事しか出来ない中で、泣いて泣いて泣き喚いて。そして疲れ果てて眠った主人公は翌日を迎え、刑の執行の時がやって来て。
だが此のタイミングで襲撃したのは、銀河の要所要所を攻撃して金目の物や兵器に人身を拐う、悪逆無道の通り名で知られる『宇宙海賊団ドンジャルダン』であり。海賊の襲来によって混乱した看守の隙を突いた主人公は、監獄からの決死の脱出劇に挑み、ドンジャルダンと看守達の目を掻い潜って海賊の宇宙船に侵入。
脱出した後の気の弛みを狙って少女を人質に取ったものの、其の少女は海賊団を率いる船長であった為に敢えなく返り討ちにされてしまい。だが逆に其の度胸と胆力を変われ、半ば強制的に海賊団の一員にされる事となる。海賊団ドンジャルダンの目的は『宇宙最強の傭兵にして、宇宙最悪の剣士』の首を取る事。
少女船長曰く『ソイツは殺した者達に共通して片眼を切り裂き、胸に×字の斬撃を刻む事を心情として居る。そして今日まで生き延びた者は、お前以外存在しない』と語った。
そして『其れが知れ渡れば、お前を再び仕留めるべく奴は必ず動く』とも語り、お前が強くなれば復讐の機会は向こうからやって来る上に、俺達の名も広がって一石二鳥だ!等と随分な言い方だったが、寧ろ主人公には生きる理由が産まれた。
こうして海賊団ドンジャルダンのメンバーとして宇宙を又に掛け、師と仲間達の仇を討つ為に主人公は剣を取る………と言うのが、ギャラクシー・ブレイダーズの大まかな『あらすじ』である。
怒涛の展開と衝撃の伏線回収、そして師と仲間達を葬ったローブの剣士の正体に、宇宙崩壊の危機………其の果てに主人公が見た答えとは?
……………と、まだまだ語りたい事は多いが、本格的に語り出すと有に数時間は下らないので、ぐっと堪えさせて貰う。
そして此のゲームのボスの一体に、此迄自分が殺してきた敵の剣達をコレクションし、其の剣を『超能力』によって操り、オールレンジで攻撃を仕掛ける奴が居た。多種多様な形状に特性や能力による、変幻自在千変万化の斬撃を展開するヤバい敵。
剣先からビームや斬撃波を飛ばし、縦横無尽に暴れまわる其の剣劇を攻略するのには苦心させられ、ギャラクシー・ブレイダーズの『全ボスノーダメ攻略最大の障害』とまで言わしめ、ゲーム内ボスの難易度ランキングでも共通して『必ず五位以内』には入ると言わしめる程。
だが。今経験している
シャングリラ・フロンティアに存在する武器の中には、別々の武器で有りながらも、一つの武器へ合体する武器種たる『
例えばサイガ-100が
『インペリアル・スパーダ』を持つ者は、筋力が上がり力強く。
『インペリアル・カトラス』を持つ者は、技量が上がり軽々と剣を振れ。
『インペリアル・レイピア』を持つ者は、敏捷が上がり今まで以上に速くなり。
『インペリアル・マンゴーシュ』を持つ者は、器用が上がり扱い方が更に巧みとなり。
『インペリアル・ファルシオン』を持つ者は、耐久が上がり更に頑丈となり。
『インペリアル・プーギオ』を持つ者は、スタミナが上がりより長く動け。
『インペリアル・グラディウス』を持つ者は、MPが上がり魔の力を増大させる。
そして其の全てを十全に扱える、剣聖が居たならば。其の力は更なる脅威と成りて、勇者を襲うのだ。
「私はインペリアルの名を持つ、七本の剣の全てを使っている。つまり─────!」
「特典の全部盛り…………!!」
「其の通りだ、ハァッアア!!!!」
襲い掛かる七本の従剣達。一本を籠手で防げど、其処から別の剣が来る。近接は悪手とペッパーは睨んで距離を取ったのならば、其処は逆に剣聖の領域。鍛え磨かれた剣の嵐が吹雪の如く降り注ぎ、津波の如く押し寄せる。
「うぉっ!?くっ、殺られて堪るか!」
夜という時間帯か、暗闇という条件下でのみ発動する、
両足に集うマナ粒子を足場として駆け走り、襲う剣達の乱舞からグラビティゼロ・
『ペ、ペッパー選手!空中を走っています!ヘルメスブートとはまた違う、空中疾走だああああ!!!!』
『
『ワクワクしますねぇ~』
飛び交う剣と天を駆ける者。マナ粒子の道より跳躍し、光の道に引き寄せられた様な挙動で、飛ぶ剣達の僅かな隙間を縫って追い抜き引き剥がす。しかし其れでもロックオンした
だがペッパーも、サイガ-100が予測した以上の
「【
空中に正三角を形成した従剣、其の中心をサイガ-100が持つレイピアが引き絞られた矢を放つ様に刺突した刹那、輪に張った毛糸に吸われていたシャボン液より、其の大きさに比例した『シャボン玉』が生まれる様に、三角錘で形成された『力の塊』が発射される。
「どわっ!?」
足元を狙った其れに対し、ペッパーは跳躍によって回避する。だが跳躍して僅かに出来た隙を狙い、そして待っていたとばかりに三本の剣が彼を襲う。
「ッ───負けるかァ!!!」
両足に
「本当に恐ろしいな君は………流石最大高度現保持者、実力は伊達や酔狂では無いか」
「リュカオーン相手にヘイトを全部引き受けて生き残るつもりなら、此れくらい出来ないといけませんから。其れにサンラクやオイカッツォは、俺よりも『身体の扱い方が上手い』ですし」
「いや流石に君やサンラク君並の技量を、他の団員へ要求するのはどうかと思うぞ………」
実際リュカオーンとの鬼ごっこは、自分のスタミナが切れるor逃走ルートのミスでガメオベラ確定の、常時QTEが連鎖するヤバさが有るので、正直に言うと二度は経験したく無い。レベルキャップ解放後は考えても良いが。
だがサイガ-100が三十五本の剣を持ち、七重奏まで展開を可能としていて、更には逆境覚醒なる切札以外にも手札を保持していると判明した以上、あまり悠長に身構えては居られないのも事実。
そうなると此方が取れる手は大分絞られるが、戦いの
一応『一定時間経過すれば、効力が切れて元に戻る』とは伝えたが、其れを加味してもノワは物凄く
(──────迷うな。此の戦いを『タイムアタック』に置き換え直せ)
五分で決着を、其れも
「はぁ…………クラン対抗戦が終わった後が本当に怖い…………」
「おや、どうしたのかなペッパー君?」
「先々の事を考えてましてね。まぁ、思考が整ったので大丈夫です」
従剣達の圧が漂う中で、ペッパーはサイガ-100に本気を出させるべく、
「サイガ-100さん。俺の此の手に刻まれたリュカオーンの呪い…………其れが俺とサンラクでは『全く別の物』だと言うのは御存知ですか?」
ペッパーの発言にサイガ-100は目を丸くし、観客席もざわめき出す。
「………其れは初耳だ。私としては非常に
サイガ-100の言葉を聞いた後に、深呼吸を一拍挟んだペッパーは言った。
「────此れは『リュカオーンの
観客席のプレイヤー達が更にどよめく中、サイガ-100の視線がより鋭利になり、同時に怒気を纏う。宿敵から寵愛を受けた者が居て、其れによって懐柔させられたのだと、そう思っているのだろうか?
「まぁ………サンラクの
だからこそと、そう言いながらにインベントリアから彼は『其れ』を取り出した。サイガ-100を含め、此の場に居た全員の目が見開かれる。
「其れ、は───」
「そう、『
誰もが反応するよりも尚早く、ペッパーは左手に握った其れを、己の右手に突き刺して。そして左手から右手に立て続けに頭・胸・腰・両脚へと、非物質で出来た刃を刺し付け、最後には左手にすらも同じく刺してインベントリアに灼骨砕身を収納し直す。
同時にピキリ……!パキリ……!と、硝子に皹が走り始めて全身に亀裂が入る中、ペッパーは左手を掲げ。
亀裂から漏れ出す黒炎と、身体中から沸き出す緋色の炎を纏い、ペッパーは『黒い名隠しのコートを纏いし、緋と黒の炎人』としか言えない見た目へ変貌を遂げながら、其の手に聖盾イーディスと
「やっと『100%』のお前達の力を扱える。こんなに嬉しい事は─────無い!」
そしてペッパーは。先程までのダッシュがまるで『ジョギングだった』と、そう言わんばかりのスピードでサイガ-100の懐へと飛び込み、ショートメイスを叩き付けるのだった。
縛りを外し、勇者を討つ
???『彼から私の匂いが消えた─────行かなく…………えっ?五分で消える?本当?』