雷が轟き
※明日予定が入った為、投稿出来なくなったので緊急投稿します
倒せていない─────魔法の手応えから、サイガ-100は直感的に悟っていた。
現状で自分に出来る
『威力が絶大且つ着弾までの間隔が短い』という長所を誇るが、同時に『魔法の着弾地点を設定後に変更不可』という短所を備える事から、此の魔法は
尤も『ペッパーが
だがペッパーは『動けなかった』のか、もしくは『動かなかった』のか。彼は其の手に見た事の無い『盾』を持ち、自分の雷属性魔法を理想的なタイミングで『受けた』。其の際に「
(イクシードチャージ………一体『何を』した?)
握っていた盾からして『盾系統スキル』なのだろうが、問題なのは『チャージ』の意味。仮に
だが其の時。砂煙の中から『パァン!』と高らかに、まるで『合掌』するかの様に音が鳴り。直後に『白い輝き』が放たれ、バトルフィールドと観客席に夜空を照らす
『こ、此れは────!?』
此処までのやり取りが圧倒的過ぎて、言葉を失っていたアーネスが声を出して数拍の間を置き。砂煙を引き裂き現れるは─────『翡翠と黄金と漆黒で彩られた、バルディッシュに似た形状の
だが其の姿は『全身に亀裂が走り、其処から漏れ出す黒い炎と表面から燃え盛る緋と、蒼の炎すらも燃やして暖かく強い
「
先程使った盾の能力をペッパーが開示した事で、プレイヤー達がざわめきどよめいた。彼の説明を其のまま鵜呑みにすれば、あの
「此れが
「……………ならば、此方も切札を全て切らせて貰おうか」
インペリアルの名を冠する七本の剣が消え、まるでキャストを入れ換えるように六本の剣が現れる。そして彼女が再び聖剣エクスカリバーを握り、同時に彼女の空いた左腕を掲げるや、六本の剣刃が切り裂いて彼女は自ら傷を負ったのだ。
「最高効率で【
「マッチポンプで逆境覚醒………凄い」
「此れを
六本の剣が自傷をトリガーに各々がオーラを纏い、逆境覚醒の条件を充たしたエクスカリバーの輝きが、サイガ-100の身体を金色と六色の輝きで包み込む。
凄まじい限りだ。打倒リュカオーンに唯一点の目標に掲げ、彼女が此迄心血を注いだ努力の結晶が其処に在る。モチベーションを絶やさない最高クラスのプレイヤー、今此の瞬間に出逢いそして戦えた事を、自分はきっと此の先の人生でも誇りに思える。
冥炎による強化は二分半、或いは三分持てば充分。呪い相殺のタイムリミットも迫り来る中、おそらく此処で攻め切れるか否かで勝敗が分かれるだろう。
「行きますッッッッ!」
「掛かって来い!」
片や魔剣六振りによる自傷強化と聖剣による逆境覚醒。莫大量の体力を八割以上代償とし、能力同士が重ならないよう緻密にして綿密に、そして繊細に練られた能力によって、唯一を強化した修正前剣聖勇者・サイガ-100。
片や全身に施された呪いの権能を呪いの刃で相殺し、全身に亀裂を走らせながら緋・黒・蒼の炎を纏って燃え上がり。白光を纏いて無数のヘイト置き去る陽炎を産み出し残しながら肉薄する、
『シャングリラ・フロンティアでのプレイを極めれば、プレイヤーは此処までの領域へ到達可能』という者達同士の激突は、一秒が経過する毎に「どちらが勝つんだ!?」という白熱と、観測者達の期待を更新し続ける。
御互いが御互いを『自身の全力をぶつけられる存在』と見定め、然れども『己の勝利』の為に持ち得る物を賭けて挑む。観ていた者達は此の戦いが『何を以て』勃発したのか、裏で二つの狼の中枢達が交わした『密約』も知らず、今此の時を─────二人の戦いの結末を見守っていた。
無数に浮かぶ『別天津の隕鉄鏡』達もまた、あらゆる角度からプレイヤー達が成す戦いの映像を、リアルタイムで写し記録を続け、流転する状況の中で『其の時』を待つ。
強い、本当に強い。其れが此処までペッパーと対峙し、戦う中でサイガ-100が抱いた彼に対する感情であった。中堅戦にてムラクモを討ち取ったサンラクの速度も凄まじいが、今戦っているペッパーの速度もまた別の意味で凄まじい。
「此程とはっ………!」
「まだまだァッ!」
肉薄からの再加速、斧槍の胴体一閃。腹部を削られる痛みにも揺らがず、六本の従剣を操って駆け走る三色の炎人を狙う。だが其れでも彼は宙を蹴り、夜空を流星の如く疾走し、残された陽炎にヘイトが移される。
斧槍が夜空に投げられ、空中を幾重にも蹴り跳ねながら天に残光と残火が残るは、雲を迸る雷光の如く。虚空に出現するは巨大化したメイス、其れを空中で滑走しながら徐に手放し、柄尻をサッカーボールキックめいて蹴り飛ばしてくる。
「くっ………!」
「其処ぉ!!!」
横を突き抜け、地面に直撃して刺さる。此方の僅かな視線のズレを突くが如く、黄金の剣刃が取り出して居合の一撃が迫り。従剣を用いて凌げども直ぐに疾走され、刃が届く気配が全くしない。
何よりもペッパーの身体から放出している『炎と熱によるスリップダメージ』が洒落にならない勢いで『増大』している事が、目減りする体力ゲージによってサイガ-100に示されている。
彼女は此のままでは不味いと、何とかして奴の疾走を止めなければと考える。そして彼女は選択した、七本の剣で行える『
「時にサイガ-100さん、シャンフロにおける『銃』って何だと思いますか?」
そんな時にペッパーが問いを投げ掛けてきた。彼の言葉に対し、ある者は一体何だと疑問を。ある者は何故其処で其れを聞くのかと思い。ある者は何を仕出かすつもりだと首を傾げて。金色の剣を仕舞ったペッパーの近くに、先程放り投げていた斧槍が落ちて来る。
だが此処からならば、どんなに速く走れようとも先に此方の一撃が届く。サイガ-100は陣形構築を急ぎ、ペッパーは斧槍を掴み──────『持ち方を変えた』。
「SOHO-ZONEさん曰く『銃とは鍜冶師達の敗北の歴史の象徴だ』─────と」
サイガ-100は目を見開いた。ペッパーが取った『其のフォーム』に。
サバイバアルが、ヤシロバードが、SOHO-ZONEが、サンラクが。此のシャングリラ・フロンティアに生きる、嘗て別の
左手の人差し指を、斧槍の刃で守られる様にして在る
まるで────そう、まるで。『
「だからシンプルに考え直したんですよね。最終的に銃は────」
引かれた
彼の答え