VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其の武器の能力




狼双戦争(デュアルウルフウォー) 其の二十二

甦機装(リ.レガシーウェポン):風雷皇の擊貫斧(サルダゲイル・イドゥン)

 

其れは千紫万紅の樹海窟に在る隠しエリア、双皇樹を根城とする颶風の申し子こと『ティラネードギラファ』、雷嵐の申し子こと『カイゼリオンコーカサス』。

 

二体の双皇甲虫の素材を用いて、致命兎(ヴォーパルバニー)の国・ラビッツの若き古匠(こしょう)ビィラックの手により現代へと甦った、神代の技術が込められし『バルディッシュ形状の斧槍(ハルバード)』である。

 

槍の穂先は雷及び刺突属性、斧の刃には風及び斬撃属性の異なる属性が付与されており、ハルバードという武器種の特性故に斧槍武器・刺突・斬撃の三種のスキルに対応し、雑種剣(バスタードソード)の様に大剣と片手剣の融合の其れと明確に異なる、槍と斧の二種類の武器の特性を合わせし正真正銘の『ハイブリッドウェポン』。

 

そして遺機装(レガシーウェポン)甦機装(リ.レガシーウェポン)同様に、此の武器も『超過機構(イクシードチャージ)』を備えており。破損する程の破壊力を引き出す『超排撃(リジェクト)』や、外部からの出力によって起動をする『吸転換(コンバート)』とは『違う能力』を発揮出来る。

 

クラン対抗戦までの僅かな時間、ペッパーは風雷皇の擊貫斧の説明文を読み、そして其の能力を理解し。同時に彼は、自身の想い描いた『ギミック』を再現してみせたビィラックに、深い感謝の意と敬意を評した。

 

風雷皇の擊貫斧が持つ超過機構──────名を『轟弾撃(ディモート)』。発動時に使用者のMPを『一定数値以下』になるまで消費し、其の消費分を『使う』事によって、素材と成ったモンスターの『属性エネルギーの魔力弾』を発射(・・)出来る。

 

だが此の轟弾撃、()()()()()()()()()に機能は終了、消費したMPが多ければ多い程に超排撃と同様、甦機装が破損する危険性が()()()

 

其の問題点は、SOHO-ZONEから託された土錆びた拳銃の遺機装をペッパーがビィラックへ届け、彼女が其れを修復する過程で、銃には『装填された魔力を区分けして保有が出来、其の区分けした魔力を個別に撃ち出す』という機能───所謂『シリンダーとトリガーの連動』に気付き。

 

シリンダー及びトリガーの要素と、ペッパーが渡した設計図を照らし合せた事により、彼女は此迄なら一発しか放てなかった超過機構:轟弾撃を『複数回打ち出し』と、武器への『負荷軽減』を可能にするという、甦機装の新たなる『革命』を起こしたのだ。

 

そして今宵─────レトロゲーム『ウェポニアメーカー』のクリア者たるペッパーとSOHO-ZONE。嘗て二人が想いを馳せて共に描いた武器は、ビィラックの手によって産み出され。シャングリラ・フロンティアという世界の、狼達の戦の大将戦という大一番で遂に陽の目を見る事と成る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風雷皇の擊貫斧の持ち方を変えて、構えたペッパーが引き金(トリガー)を引いて撃ち放たれし、風雷纏い魔力を帯びた空気の弾丸が、数瞬の内にサイガ-100が展開していた陣形を構成する一本の従剣の刀身を撃ち抜き、ノックバックと共に大きく後方まで吹き飛ばす。

 

「なっ────!?」

「隙有りッ!!」

 

レーアドライヴ・アクセラレート起動でサイガ-100との距離を詰め、狙撃長銃(スナイパーライフル)から斧槍(ハルバード)に持ち方を転じ、雷属性の穂先で刺突スキル:終極刺突(グルガ・ウィズ)で胴を守る鎧へ突きを放つ。

 

直撃し雷属性による追撃が入り、エクスカリバーが金色の光を放つ。聖盾イーディスを持って、勇者のユニーククエストを経験したからこそ解る。アレは勇者武器(ウィッシュド.ウェポン)の持つ特権、不屈の権化たる『食い縛り』が発動したのだと。

 

『じゅ、じゅじゅじゅ!?銃ぅぅぅぅぅぅぅぅ!?』

 

実況のアーネスの叫びが聞こえるが、そんな事に気を取られていては勇者は倒せない。何回食い縛りが出来ようと、勇者がスリップダメージ等の『多段ヒット』に脆く弱いのは、ペンシルゴンが実証済だ。

 

「其処から追撃─────!」

「さ、せるかぁ!」

 

振り払う様に飛んで来る従剣が、ペッパーとサイガ-100の間を隔てる。そんな事は此方にとっては関係無いとばかりに、ペッパーは銃の機能が込められたアドバンテージの塊たる斧槍を収納。

 

黄金の剣刃にして弓と剣の融合武器『弩弓剣(アーチブレイド)』、ビィラック作『金弓宝剛剣(ゴルト・ヴァーシュ)』と勇者武器・聖盾イーディスを虚空より掴み、職業:勇者によって満ちる黄金の輝き(バフ)を受けて光を放ちながら、飛来する従剣の煌めきと雨の中を超スピードで駆け走り、再度肉薄して刃を叩き付ければ、聖剣が再び光を放った。

 

何よりも今のサイガ-100の従剣操作は、明らかに乱れている(・・・・・)のが目に見えて判る。風雷皇の擊貫斧の武器種は『斧槍(ハルバード)』、狙撃長銃(スナイパーライフル)ガワ(・・)を被っただけの『なんちゃって』でしかない。

 

だが─────『人は目の前で提示された予想外の結果に対して、動揺してしまうのが常である』と昔に、ペンシルゴンが言っていたのをペッパーは今も覚えている。

 

(止めるな、全力で押し切るんだ!)

 

斬撃に聖剣が光る。刺突に聖剣が輝き。盾の打撃に聖剣が瞬く。揺れるサイガ-100を倒されぬように踏み留まらせ、支え続ける聖剣エクスカリバー。不撓不屈の言葉が相応しき彼女にペッパーもまた、自分自身の力をぶつける。

 

全力疾走で距離を離して、右手に持っていた聖盾イーディスをサイガ-100へ、投擲スキル:ブランチャイズ・スローを用いてブン投げて、左手に持っていた金弓宝剛剣を空に高々と放り上げ、両手を無手状態に『長銃を使う腕の形をしながら』、走り出して接近してきた。

 

急カーブを描きながら迫るイーディスを回避しながら、其の動きを見たサイガ-100は、再びペッパーがあの斧槍と狙撃長銃が合体した武器を使うと読み、他の従剣達を収納してエクスカリバーを構える。どんなに速かろうと、人間は急には『止まれない』────そして其れは現実世界の現象を忠実に再現した、シャングリラ・フロンティアであるならば同様の現象が起きる。

 

己が持つ聖剣に全てを託し、炎人となったペッパーを最速の刺突による一撃で、心臓を穿ち貫く…………其れがサイガ-100の『選択』だった。

 

「【従剣劇(ソーヴァント)独奏(ソロ):至高の一閃(プライマルスラッシュ)】!!!!!」

 

剣聖のジョブを獲得すると同時に、其の奥義は獲得出来る。そして使用期間が長い程に、積み重ねた努力を称賛するかの様に、此の奥義は威力を上げる。

 

至高の其の名に違わぬ、剣の道を究める研鑽の末に到りし、飛翔する一刀。真っ直ぐ迫り来るペッパーと視線が重なり、己の直感からなる一撃が飛び出し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────────信じていたよ(・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………!?」

 

目の前に写り、貫いた筈のペッパーは『陽炎』と化して消え去り。其の頭上からペッパーの声が響く。

 

「サイガ-100さん。貴女ならば『此の局面』で、サードレマの正門前で阿修羅会のプレイヤーを相手に見せた、あの超速刺突を使ってくれるって────そう信じていました(・・・・・・・)

 

サイガ-100が、観客達が見上げた先。空中で天地が逆転状態で『金色の弓』を握り締めながら、弦に矢を乗せて引き絞り、そして『矢を放った』ペッパーの姿を見た。

 

戦帝王の煌炉心(オライオン・スピリッツ)戦神の心構え(モンチュ・レ・プライド)窮極致超越(アレフ・オブ・トランジェント)の多重強化による感覚と敏捷強化による疾走。

 

走り続ける中で感じてきた、封熱の撃鉄(ニッショウトリガー)が陽炎を産み出す『タイミング』を合わせての突撃に、産み出された瞬間と合わせてのレーアドライヴ・アクセラレートによる、サイガ-100の背後への瞬間移動。

 

蹴り飛ばして地面に突き刺さった巨大メイス、風雷皇の擊貫斧の衝撃的機能により、完全に存在を隠された象牙(ゾウゲ)兎月(トツキ)呑黒(どんこく)】の持ち手を足場にし、セルタレイト・ケルネイアーによる跳躍。

 

星天秘技(スターアーツ)ミルキーウェイとグラビティゼロの合わせ技で、重力作用を軽減と空中ダッシュから落ちてきた金弓宝剛剣を、天地逆転状態で左手によるキャッチ。右手でインベントリから『ある矢』を取りつつ、左親指中心点の押し込みで剣から弓へ変形、弦に矢を乗せたのである。

 

プレイヤー達は見た。ペッパーが掴んだ黄金の剣、其れの『中央が割れて』弓へと変形した瞬間を。サイガ-100の胸に、ペッパーが放った矢が突き立てられた瞬間を。

 

しかし、其れでも。修正前剣聖勇者は、此の一撃を耐えてみせ。

 

『カチン』

「───────っあ」

 

そして着弾と同時に鳴った起動音(・・・)が、彼女の集中力の糸をブツリと断ち切った。

 

『仕掛け(やじり)』という消費アイテムが、シャンフロの世界には存在している。基本的には何処の街でも購入出来るのだが、一本に付き『5000マーニ』というゲーム開始直後プレイヤーの持ち金を、たった一本の購入だけで全損に追い込む消耗品。

 

其の能力は至ってシンプル、鏃が着弾と同時に『爆発』するのだ。

 

「やられた──────!」

 

サイガ-100の声と同時、仕込み鏃が起動。修正前剣聖勇者を、八度目の食い縛りという奇跡と可能性を、爆発によって纏めて粉砕し。彼女のアバターを構成するポリゴンが崩壊して、バトルフィールドから消滅。

 

そして天地逆転状態だったペッパーが体勢を元の状態に戻す中、彼の前には幾つかの『リザルト画面』が表示された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『聖なる盾に認められし勇者は、聖なる剣に認められし勇者と刃を交えた』

『気高き盾は我と共に』

『称号【聖なる盾の勇者】を獲得しました』

『ユニークシナリオ【勇ましの試練】が進行しました』

『強き者は覇道を成した武器で強敵を討ち取った』

『称号【強く気高き剣の者】を獲得しました』

『称号【勝利を射抜く者】を獲得しました』

『ユニーククエスト【覇道を刻みて、武は形を成す】をクリアしました』

『産まれた技術がフロンティア中に広まった』

『武器カテゴリー【弩弓剣(アーチブレイド)】が解放されました』

『シャングリラ・フロンティアの各街の武器屋にて、武器カテゴリー【弩弓剣(アーチブレイド)】が追加されました』

『ユニーククエスト【インパクト・オブ・ザ・ワールド】が進行しました』

『ユニーククエストの進行により、レディアント・ソルレイアの装備可能ステータスが変更されます』

『レベル40以上・筋力85・技量70→レベル120以上・筋力150・技量120・英雄値300』

『ユニークシナリオEX【打ち立てし誓い、交せし約束を果たす時】を開始します』

 

 

 

 






完 全 決 着


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