VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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新大陸に到達した者達





インパクト・オブ・ザ・ワールド ~スタンドアップ・ネクストステージ~

シャングリラ・フロンティアという世界(ゲーム)に生きる、全ての開拓者(プレイヤー)やNPC達に大きな影響を与えた、双つの狼による一大決戦として記憶に刻まれた『双狼戦争(デュアルウルフウォー)』から数日後。

 

此処は新大陸の海岸線上に停泊中の、開拓船に設営されている『王国直営ギルド』………フィフティシアで選ばれた開拓者達が先陣隊として船に乗り、およそ一週間の船旅の果に辿り着いた新天地にて、彼等彼女等は開拓者としての責務(・・)──────即ち『開拓』に勤しんでいた。

 

「其れにしても旧大陸の方はクラン同士の大戦で色々ヤバい情報が出回ったらしいな」

「あぁ、旅狼(ヴォルフガング)黒狼(ヴォルフシュバルツ)の一戦だったな。ありゃあ本当に凄まじかった………新大陸行きをほんのちょっと後悔したよ」

「胡椒さんとツチノコさんの戦いも凄かったよね………私ちょっと憧れちゃったなぁ」

「お前もファンになったか………俺もだよ」

 

ワイワイと語らい合いつつも、新大陸産の木々を斧を使って切り倒し、突き出した岩をピッケルや小鎚で砕き、地面を整えて整地を行う。其の過程で出たアイテム『汎用木材』と『汎用石材』に変化したアイテムはインベントリに収納し、開拓船に設置された回収ボックスに運んで納品していく。

 

目の前に在る樹海へと入ったレベル99とExtendの剛の者達が、リスポーンして戻ってきては口々に『恐竜の要素と動物のキメラみたいな奴等に襲われた』と、ブルブルと慄えながら呟いている事からも、此の大陸は生半可なレベルでは攻略出来ないと認知されるには充分だった。

 

故にこそ彼等彼女等が最初に取り組んだのは、開拓船が停泊する場所を中心とした『港街』の構築。メインもしくはサブに職業(ジョブ):大工(カーペンター)をセットしているプレイヤーの円滑な遂行の為に、開拓者達は偵察巡回班・整地班・戦闘班の三つに役割を分担している。

 

「しかしなぁ………まさかモドキとは言え、銃の機能を持った武器を出されるとは………」

弩弓剣(アーチブレイド)なる武器も出て来たらしいし、取り敢えず拠点構築が一段落付いたら、鍛冶師プレイヤーに作って貰えるか交渉してみよう」

「其れなんだけど此方に来た鍛冶師連中全員、現在進行系でハンドメイドガン製作で躍起に成ってるから難しいぞ」

「………………マジで?」

「大マジ」

 

新しい武器に想いを馳せども、示された道筋から答えに辿り着かんと戦いが起きており。そして彼等彼女等は、此の一大ムーヴメントを巻き起こした元凶を、頭に思い浮かべそして呟いた。

 

 

「「「「ペッパーさぁ…………」」」」

 

 

──────と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新大陸の樹海──────動物型のモンスターに恐竜の要素が足された事により、キメラな見た目をしたモンスター………其の名には必ず『ディノ』もしくは『ドラクルス』、或いは『其の両方』が備えられた者達が樹海の地にて闊歩している。

 

そして其の実力は共通して、プレイヤー側が油断してれば一瞬で喰い殺されている…………何て現象のも当たり前に起きる上、横から他のキメラ恐竜モンスターが強襲からラストアタックを攫った勢い其のまま蹂躙と、弱肉強食の世界が広がっているのだ。

 

「まぁじで魔境よな新大陸。俄然やる気が湧いてきた」

「取り敢えず行ける所まで行く。マップは持った?」

「木の枝とかを飛び渡りつつ、兎に角遠くまで進もう」

「スキルや魔法も出来る限り温存、開拓船でリスポーンしたら情報共有を忘れずに」

 

彼等彼女等は考察クラン:ライブラリに所属しているプレイヤーや、職業:軽戦士や忍者等の機動力に秀でた面々だ。先んじて親大陸調査にやって来たライブラリのプレイヤーは、旧大陸に残って二つの狼による戦を見届けるとしたクランリーダー達に、情報を提供するべく新天地開拓に一役買わんと躍起になっている。

 

「じゃあ………行きましょう」

 

『散開!』を合図とし、一団は個々に分かれて別々の方角へと駆け出し、樹海の中へと突入する。作戦は非常にシンプル──────自分達が開拓者である事を利用した、リスポーン上等の向う見ずの突撃、或いは下手な鉄砲も数撃てば当たる作戦。人数を増やしたのも誰かが囮になっている隙に、他の参加者達が少しでも遠くへと進む為だ。

 

「ちょ!?ギャアアア!?」

「無理無理無理ィ!?」

「オゴァァア!?」

「同志達よ!君達の犠牲は無駄にはしないぞ!」

 

集って散開した誰かの悲鳴が耳を劈く中、残ったプレイヤー達は仲間の犠牲を踏み越える様に、前へ前へと足を進める。またモンスターに一人殺られ、二人の悲鳴が樹海に木霊し消えて。樹木の枝を飛び渡りながら、ひたすら樹海の前へと脚を進め続けた。

 

跳ねて、跳ねて、跳ねて──────樹海の木々の間を飛んで。其の身は止まる事をせ『『『ゴアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』』』

 

「な──────ぐぶぇ!?」

 

巨大な爆発(・・)が如き咆哮が轟き、前へと進んでいた身が大質量の激突で跳ね飛ばされる。まるで大型トレーラーに正面からブチ噛ましを食らったかの様な衝撃が、レベル99 Extendまで高められた体力をミリまで削り取って。

 

「ガハッ………な──────」

『『『カロロロロロ………!!!』』』

 

衝撃で宙に舞った身体、余りの重圧に飛ばされ掛ける意識の中で最後に見たのは。全身に数多の傷を抱えし、()()()()の六つ目で三つ首の巨大なティラノサウルスで。

 

「あ、ちょまッ」

 

開かれた口の一つの中に吸い込まれ、鋭い牙の山脈達による()()によってアバターが磨り潰される感覚に襲われながら、其のプレイヤーは死亡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャングリラ・フロンティア──────大型アップデートによって、新たに実装された新大陸。レベルキャップ開放という一大イベントに心を踊らせ、プレイヤー達が赴いた其の新天地は。

 

数多の生物達が『色竜の因子』に汚染されたり、逆に其の因子に適合した結果、恐竜化・狂暴化で同族すらも喰らい合う世界。そして其の樹海に潜み、開拓者達の内陸進出を阻む『最強の王者』は己の力を誇示するが如く、樹海全てに声を轟かせた後に再び木々の中へと消えて行った…………。

 

 

 

 

未知なる敵、未知なる大地。そしてレベルキャップ開放を可能にする場所を目指すべく、開拓者達の戦いは続く────────────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






立ち塞がるは密林の王者



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