VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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一方の神々は

※今章のエピローグです




インパクト・オブ・ザ・ワールド ~神々の責務は見えない中で~

話は数日前…………クラン:旅狼(ヴォルフガング)とクラン:黒狼(ヴォルフシュバルツ)の対抗戦決着から数時間後、現実世界の時間では朝七時。ユートピア・エンターテイメント・ソフトウェア社──────通称『UES』の地下十階に在る『原典閲覧室』に巻き戻る。

 

「………………アブラムシ、どう思う(・・・・)?」

「………………規格外(・・・)、としか言い切れねぇな」

 

シャングリラ・フロンティアという『世界』を創り上げた創世の神たる、ワールドアドミニストレータこと『継久理(つくり) 創世(つくよ)』と、シャングリラ・フロンティアという『ゲーム』をゲームとして成立させた、調律の神たる『天地(あまち) (りつ)』。

 

水と油以上に仲の嫌悪で知られる二柱の神々だが、今此の時に見返していた二つのクランが行った、対抗戦を観戦した後に僅かながらの仮眠を取って。そうして再び目を覚ましてもう一度映像を見返した事で、互いに全く同じ(・・・・)意見を抱くに至っていたのである。

 

クラン:旅狼による黒狼の蹂躙劇、ユニークモンスター・墓守のウェザエモンの遺産を用いての四勝と、サンラクは無尽のゴルドゥニーネ及び不滅のヴァイスアッシュに関係有りの武器を、ペッパーは基本的にサンラクと同じく。

 

しかし彼はビィラックが産み出した、甦機装(リ·レガシーウェポン)達の力を使い熟しながらも、シャンフロでは『バハムートダンジョンの開放及び攻略』で漸く使用可能になる『銃』──────其の機能を兎の国の若き古匠が、己なりに改良して組み込んだ『斧槍』を用いてプレイヤー達。取分『鍛冶師職のプレイヤー』に対する、ハンドメイドガンの道を指し示した事が大きい。

 

そして何よりも。修正前剣聖・サイガ-100を相手に手の内の殆どを読み切り、己の思考深度の深さを見せ付ける形で、脚パリィや勇者武器でのガード以外では『殆どノーダメージ』を通し切ったのだから。

 

余談になるが、此の戦いで生配信の総視聴人数は、外国人(・・・)も含めて『851万人』という脅威の数字を叩き出し、シャンフロを半ば引退していた嘗てのプレイヤー達も、此の生配信を機として舞い戻って来た事が『プレイヤーのログ』を通じて明らかになっている。

 

「現時点でペッパーは、シャンフロプレイヤーの中で唯一『ユニークモンスター全て(・・)』と何らかの形で接触、そして撃破に関わっている。窮速走破(トップガン)含めた奴のスキルの一部は大型アップデートで修正(ナーフ)したが、其れを許容して勝ちやがったからなァ。しかも『銃の要素』まで繰り出しやがって、奴等がワチャワチャ騒ぎ出す原因になったじゃねーか………!」

 

苦い顔で歯軋る律にとっては、あのバトルフィールドに『己の傷たる四人のプレイヤー』が居た事の方が、一番重大だった。何せ現時点で旅狼が独占している古匠、シャンフロの世界の地層等から出土したり、神代の残照が遺る場所から見付かる遺機装(レガシーウェポン)

 

其れを神匠たるヴァイスアッシュを除いて直す事が出来るともなれば、旅狼が銃の遺機装をビィラックに頼んで直しまくり、唯でさえ天覇・墓守・深淵の三種の一式装備獲得済で有るので、戦力バランスが更におかしな状況になる可能性が少なく無いのだから。

 

「──────とはいえ、だ。天覇の脚武器はインパクト・オブ・ザ・ワールドの第六段階突入と同時に、本来の(・・・)要求ステータスに戻るようにゃあしてたが…………。ペッパーは『致命魂(ヴォーパルだましい)腕輪(うでわ)』を着けっぱなしにしてるから、レベルキャップ解放後はまた装備出来る様になる。まぁ、奴の事だ………唯でさえ莫大な経験値を必要とする三桁代、所得経験値が半分になろうが其れすら嬉々として、レベリングに行くだろう」

 

自分の事を普通だと宣う(アレ)は、律からしても頭の螺子が(イカ)れた側の、人間の皮を被った化物の様な存在だ。そうでなくてはレベル99 Extendになったタイミングで、致命魂の腕輪を外さないという選択肢を取れる訳が無いのだから。

 

「………………私にとっての目下の問題は、奴の思考と行動のログ、そして得て来た情報の部分。少なくともペッパーは、ファステイアに在るアレ(・・)の存在を感付いている可能性が、極めて高いと睨んでるわ」

「……………あぁアレ(・・)、か。アレが起きりゃ『オルケストラ』に関するフラグも浮上する、儘ならねぇな」

 

二人の神による要点同士の会話。其れはペッパーとサンラクが手にした物に関する会話。

 

「…………出されたら出されたで、唯でさえ進んでいない新大陸の開拓が『更に遅れる』ってのが、調整班の見方だ。代わりに『レイドモンスター』関係を調整する時間が有る分、其れも含めて私は『一切の妥協』をするつもりはねぇ」

「あら、随分と大きく出たわね?アブラムシ」

「当たり前だ、私にとっちゃ此のゲームに自分の全てを賭けてんだ。()を越える為にも、此のゲームが永遠に愛されるゲームになる様に。あの一式装備達は──────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詰み防止のストッパー達でも有るからな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って律は原典閲覧室から退出し、部屋には創世が一人残される。

 

「…………私としては、ペッパーの存在は気に入らないけれど。彼の言動からは『墓守のウェザエモン』や『深淵のクターニッド』の事を、少なからず理解(・・)している発言をしているのよね」

 

墓守のウェザエモンから『天津気の名』を受け継ぎ、深淵のクターニッドから『己の鎧』を託された。其れは彼が持つ称号達が物語っている。

 

「…………フフフ、えぇ良いわ。私の可愛いユニークモンスター………残りも理解出来るならば、やってみなさいペッパー」

 

創世の神が世界を変える為、再び其の手に筆を取る。世界に彩りが添えられて、大きな畝りが加えられる。

 

 

 

 

 

 

 

シャングリラ・フロンティアの世界──────其れを構築する歯車達が回る。世界で生きる全ての命を巻き込みながら……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






其れは強く、恐ろしき者


※次章の構成を考える為、三週間程御休をいただきます。予定としては7/18か7/19に現時点のペッパーの解説を、本編は7/30〜8/1辺りを目処に再開します


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