銃の感想
サンラクがエムルと共にセカンディルの裏路地から出立し、懐かしき始まりの地たる跳梁跋扈の森を抜けてファステイアに辿り着き、サバイバアルと共に対人戦を目撃していた其の頃。
シャンフロ第15の街にして、二度目の旅立ちの地となる場所・フィフティシア。其処から少し離れた場所、嘗て
「ビューティフォー……!ワンダフォー……!エクセレント………!」
「嗚呼………、本当に素晴らしいッッッッッ!!!!!!」
「私達が追い求め、夢に見続けた…………銃!」
「随分と、遠い所まで………来たな………グズッ」
「コレを直した人は、武器とか壊したりすると物凄く怒るので大事にして下さいね?」
クラン:
全員が手汗を握り、固唾を飲んで見守る其の中で。武器の試運転場所に移動後、汎用アイテム『的案山子』を前にSOHO-ZONEが魔力を銃へ注入。
其れはシャングリラ・フロンティアに置ける銃という、嘗て銃を作らんと挑んで、結果は挫折と敗北を積み重ねた鍛冶師達の無念を越えて、兎の国の若き古匠・ビィラックにより銃という
「我々はペッパー君達の協力で此の日、此の瞬間を迎えた!形や経緯は色々在った!銃の再現に挑み、数多の敗北と挫折を積み重ねた!そして多くの武器の屍達の山の果てに!完全なる銃という武器は此処に再び蘇った!」
ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!と、まるでサッカーの試合を会場で観ているかの様な、ウェポニア所属のプレイヤー達の歓声にペッパーの鼓膜は震えて。
「だが!」というSOHO-ZONEの言葉に、全員が一気に静まる。
「だがだ、諸君!我々は此れで満足してはいけない!!ミル・ト・コルンのフレーバーテキストから、此れは『神代の技術』を用いたという一文が在った!即ち今!我々が生きている時代の技術でも、やりようによっては『ハンドメイドガンの製作は可能』という事が、シャンフロ運営から示されたという事であるッッッッッッ!!」
再びウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!となる彼等彼女等の目は、新たなる目標と情熱の炎が更に燃え上がり、凄まじい熱気とやる気で満ち充ちて暑苦しくなってくる。
「此れは新たなるスタートラインだ!銃が復活したという、一つのスタートラインでしかない!我々はウェポニア!此の世界に存在する、武器や防具を徹底的に追求し!調べ尽くし!!解き明かし!!!そして再現する事こそが我々の理念である!!!!」
SOHO-ZONEの発言と号令、其の瞬間にペッパーは流れ的にコレ自分の方向に向くのでは?と直感し。
ガガガガガシィッ(周りのウェポニア所属プレイヤーに肩を掴まれる)
スッ(青の聖杯使用)
クイッ(近くの女プレイヤーの顎に左手人指し指で顎クイ)
「悪い子だ、仔猫ちゃん」
「ヒュッ…………!?」
「ミ"ッッッッッッッッッッ!!!!!!」
「ア"ッッッッッッッッッッ!?!?!?」
其れはSOHO-ZONEの性癖に再び亀裂を走らせ、男性プレイヤー達は性癖やらが三回転半螺曲がり、女子プレイヤー達は骨抜きにされてブッ倒れたり、雌の顔になってヘナヘナと座り込むという、圧倒的な大災害を巻き起こし。そしてペッパーは混乱に乗じてウェポニアの拠点を脱出し、フィフティシアの街中を全速力で駆け抜け、裏路地からラビッツへと帰還したのである。
尚此の一件でクラン:ウェポニアはSOHO-ZONEを始めとしたクランメンバーの85%が、ペンシルゴンに対し『ペッパーが女子状態の声を売ってくれ』と相談する事に成るのは、少し先の話になる………。
「ペッパー、ワリャ何故に女ん姿になっとるんじゃ」
「まぁ色々有ってクターニッドさんの聖杯を使いましてね………」
ラビッツの兎御殿に帰還し、ビィラックが居る工房に戻ると案の定女の姿になった事を指摘された。
「まぁエェ……所でなペッパーよ。ワリャがワチにラビッツスペシャルパフェを奢るっうたよな?」
「はい」
「そうさね、ビィ姉さん」
「そしたらな、エルクやピーツ、後はエフュールに『キュルア』もスペシャルパフェが食べたいと言うてきてな」
「…………成程?」
つまり銭ゲバなエルクや商売兎のピーツを含め、皆ラビッツスペシャルパフェが大好物である、という事の様だ。
「ビィラックさん、キュルアって子は?」
「ソイツはワイの妹で、兎御殿じゃ
「ペッパーさぁ〜ん。何やらラビッツスペシャルパフェを奢ってくれるそうじゃなぁい?」
「気前が良いどすなぁ〜」
「ピーにぃ、呼んだ?」
噂をすれば何とやら、ピーツにエルクと白毛に青いローブを纏う茶色の虹彩を持つ、エムルに似た雰囲気を宿した一羽のヴォーパルバニーが其処に居た。
「初めましてかなペッパーさん、アタイはキュルア。ピーにぃが言ってたから省くけども、兎御殿では使い捨て魔法媒体を取り扱っとるから、良ければ見に来てな」
「始めまして、ペッパーです。今は女の姿に成ってますが、元々は男なので。どうぞ、御見知り置きを」
キュルアと同じ視線になる様に身を屈め、左手を差し出してペッパーは握手を交わす。
「で?どうすんじゃ、ペッパー?」
「無論『全員に奢りますよ』。何ならエードワードさんと先生にもラッピングして、スペシャルパフェを御持ち帰りしようかなと」
「太っ腹やんなぁ、ペッパー」
「さぁすが、ペッパーさぁん♪」
「フフフ、流石ペッパーはんなのさね」
ルルイアスで獲た魚介類貯金にはまだ余裕が有るので良いが、そろそろ金銀財宝を換金して置くのも悪くは無いだろう。最終的にペッパーはアイトゥイル・ノワ・ビィラック・ピーツ・エルク・キュルアを連れて、ラビッツスペシャルパフェを実食するべく街へと向かったのだった………。
ユニーククエスト【兎の国ツアー】で訪れられるラビッツは、ベンチのサイズも
ペッパー達がやって来た『ラビッツカフェ』、ヴォーパルバニーのNPCが商いをする店内からは、コーヒーの苦みと渋さに
ノワが影に擬態しながら居るからか、はたまたリュカオーンの愛呪が身体から発せられているからか、ペッパーを見たヴォーパルバニーの店員は、店の奥に在る個室──────所謂『VIPルーム』へとペッパー達一団を案内しメニューと御冷を置くと、まるで『感謝』を伝える様に深々と一礼。其れを見ながらペッパーはビィラック達の注文を聞き伝え、店員のヴォーパルバニーは再び一礼した後、店の厨房へと向かって行った。
「ねぇ、アイトゥイル。何か俺の扱いが『重鎮』に対する物なのは気の所為かな?」
「あー………実はペッパーはんとサンラクはんが、ゴルドゥニーネの分け身を宣言通り倒したのが、ラビッツ全土に伝わってるのさ。ラビッツの飲食店は二人に特別対応する所が出て来たのさね、皆ペッパーはん達に感謝してるのさ」
「あの瞬間に自分達が出来る、最大限をやっただけだがな………」と呟きつつ、戦闘中に横槍を入れてゴルドゥニーネ・レプティカ4をズタボロにした、ユニークモンスター・無尽のゴルドゥニーネの事を思い出す。
『レイドタイプ』のアレと何れ戦う以上、彼女に由来か模倣した一式装備と相応の戦力は絶対必須な上に、其れが『ギミックタイプ』ともなれば、謎解きやら何やらを行わなくては勝負の土俵にすら立てないだろう。そんな事を考えていれば、注文したラビッツスペシャルパフェにラビッツパイ等の様々なスイーツが運ばれて来て、おそらくノワ用に作られただろうサイズのパフェやパイにクッキーも置かれる。
因みにエルクに関しては店のメニューの端から端まで頼んだ上、残りはテイクアウトすると宣っていたので銭ゲバ恐るべしとペッパーとヴォーパルバニー達は引き攣った顔をしていた。そして称号:美食舌込みでもラビッツスペシャルパフェは本当に美味であり、本来ならば一度しか訪れられない此の地で思い出を作りたいと願う、他のプレイヤー達の気持ちをペッパーは理解したのだった…………。
尚、一人と五羽と一匹が食べ終え、テイクアウトした料理の総合計額は『700万マーニ』であり、其の内の七割がエルクのテイクアウトで持っていかれた事を記載しておく。
仕事には最大限の報酬を