兎御殿に帰還して
「おぉ、ペッパー。ようやっと帰って来たけぇ」
エイドルトにてプレイヤー最高峰のアクセサリー職人・ラピスにノワのアクセサリー制作を依頼し、ラビッツの兎御殿に帰還したペッパー・アイトゥイル・ノワは帰って早々、腕組をしながら仁王立ちしていたビィラックに出迎えられた。
「ビィ姉さん、どうしたのさね?」
「どうもこうもない。ペッパー、オヤジがワリャを呼んどる。其れも『ポポンガ』殿も同席しとるんじゃ」
此の時点でもうヤバい予感しかしなかった。コレは完全にアレな流れだろう、ノワ絡みのそういう流れだとペッパーは冷や汗を滲ませつつ袖で拭い、ヴァイスアッシュと出逢った謁見の間たる部屋へと赴く。
「おぅ、ペッパー。帰って来たかァ」
「ホホホ、久しいのぉ~ペッパーよ」
「先生、御晩です。そしてポポンガさん、御久し振りで御座います」
声だけでチビリそうな空間だ。
夕焼け色の球体に腰掛けて杖を握りながら、魔法だろう力で酒坏と徳利を浮かし、其れを味わう様にして飲む老ゴブリンのポポンガという、誰が見てもヤバいと本能で察せるレベルの状況である。
『クゥン♪』
そしてこんな状況にも関わらず、影の擬態を解除してペッパーに身体を擦り当ててくるノワは、相変わらずのマイペースっぷりが羨ましい限りだ。
「時にペッパーよ」
そんな折、話の口火を切ったのはポポンガであり。
「『星々の声』によれば、
「え、あっはい。まぁ………」
さらっとクターニッドをタコ助、リュカオーンをクロ助と呼び、其の真相を軽口で述べたポポンガに、ペッパーの額から更に冷や汗が滲み出る。まさかとは思うが、ポポンガもヴァイスアッシュに並び得る存在なのだろうか?
そんな中でポポンガは酒の手を止めるや、真剣な顔付きと共に要件を伝えてきたのだ。
「………ペッパーよ。『
「…………本当ですか?」
「あぁ。ニャイはアラミースから、ロノはポポンガを通じて知った。近い内に『多種族大同盟』全てにも伝わるだろう……ノワに会いたいってぇのも、理由の一つなんだろうがな」
ゴブリスタンやキャッツェリアなる国が、此のゲームの何処に在るかは知らない物の、其々の国の長たる者達からの謁見要請ともなれば、そう遠く無い未来に他種族からも同様の物が来るだろう。
しかしながら此処で浮上したのは、レディアント・ソルレイアの装備ステータスの変更であり、レベル120以上を要求している為に一番にレベルキャップ解放を行わなくては、装備する事が出来ない状況だ。更には其のレベルキャップ解放も新大陸側に専用施設が在るので、其処に向かわなくてはならないのだ。
「先生、ポポンガさん。実は御伝えしなくてはいけない事が有りまして」
「言ってみな」
「ありがとうございます。先ず始めに──────」
そうしてペッパーはレディアント・ソルレイアがクラン:
「……………遂に、か。時が迫っている、という事じゃなヴァッシュよ」
「そうだなァ、いよいよぉ……
ヴァイスアッシュが語る奴というワード、ワールドストーリーの第三段階、そしてユニークシナリオEX【打ち立てし誓い、交せし約束を果たす時】なるタイトルから察するに、次に
「…………ともなれば、多種族大同盟にも伝えるべきかの?」
「参加するか否かは、其々の種族の判断に任せるとしようや。あの地には『開拓者達』が疎らにバラけている様だしなぁ」
そしてヴァイスアッシュは、閉じた右目を開きながらペッパーを見る。まるで『何かを調べる視線』で彼を見て、静かに立ち上がりながらに言う。
「ペッパー、お前さんが今の自分の
「は、はい。解りました」
コレはフラグと見て良い。今でこそ聖剣みたいな見た目をしながらも、ユニークモンスターの絶技を再現可能にしているグランシャリオは、己の持つ武具達の中でも頭一つ抜けてヤバい存在だが、元を辿れば『
考えて見れば、
もしかするとシステム的に
「フム………ならば儂も少し、力添えをしてやらねばの。ヴァッシュよ、ペッパーとアイトゥイルにノワを『ゴブリスタンとキャッツェリア』に責任を以て送り届け、ラビッツまで帰すが良いか?」
「おぅ、任せるぜぇ。ポポンガ」
「うむ、解ったわい。ではちょっくら……──────」
そう言いつつ、ポポンガは兎御殿の天井を見上げながらに、まるで
「──────よし、ペッパー。アイトゥイル。ノワ。三十分後に儂が【
さらっとまた、とんでもない事を言い切ったのだ。
「あ、あの………ポポンガさん。因みにですけど、ゴブリスタンとキャッツェリアって『何処』に在るんでしょうか…………?あと、座標移動門って………?」
「
「……………ファストトラベルじゃないですかヤダー」
やっぱり此の老ゴブリン、見方を変えたらユニークモンスターなのでは?と、そう思わざるを得なくなってしまったペッパーは、取り敢えずポポンガの用意した夜行便に乗り込む準備をするべく、三十分以内で事を終わらせる為に先ずはキュルアの店に行き、有用な
そして休憩室に移動後、アイトゥイルにエイドルトへのゲート開いて貰いつつ、ノワと共に御留守番させて行動を開始したのであった………。
新大陸行の夜行便