VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ロノ・ドアの問い




天を這う奴等、其の名をカムイ

カムイ is 何。生憎だが自分はカムイなる存在を知っている訳では無いし、そして同時にカムイでは無いのだ。

 

だが、ロノ・ドアが述べた『ブトウカイ』というワード、其れは確実に『黒狼(ヴォルフシュバルツ)旅狼(ヴォルフガング)』の事を指し、そして彼が述べた『トリのヒト』はサンラクである事。そして『ヒイロのホムラ』と『クロいイカズチ』が何なのか解っているならば、彼が聞きたい事は理解出来る。

 

「トリのヒト………サンラクの事ですね。ヒイロのホムラとクロいイカズチは『キャッツェリアのダルニャータさん』が作った、極上の逸品たる此方による物。サンラクが装備しているのが『封雷の撃鉄(レビントリガー)』、私が身に付けている物は此方の『封熱の撃鉄(ニッショウトリガー)』で御座います」

 

そうして一度封熱の撃鉄を外し、スススッ……とロノ・ドアの見やすい位置に寄せて、緋色の焔を纏った秘密を示したペッパー。ロノ・ドアは封熱の撃鉄を見ていたが、親指に埋め込まれた『ローエンアンヴァ琥珀晶』を暫くジッ………と見つめた後、ペッパーに返してロノ・ドアはこう言ったのだ。

 

「ソラをマうユウシャ。ヌシはカムイをシっている(・・・・・)か?」

「…………御恥ずかしい話ですが、実は私自身一度も其のカムイなる存在と巡り逢えて居ないのです」

 

此れは事実でも有る。何よりカムイなるモノが何なのか聞き出すチャンスと捉え、ロールプレイを展開しようとした矢先だった。

 

「ドッちゃんや。カムイに付いて、ワシから語っても良いかの?」

「ダイケンジャドノ。………タシかに、アナタで有るならばカムイのコトをシっておられるからな。ならば、よろしくおネガいイタす」

「うむ、スマンなドッちゃん。──────では蒼空を舞う勇者ペッパーよ、ヴァイスアッシュの娘アイトゥイルよ、夜の帝王の分け身たるノワよ、心して聞くのじゃ」

 

同族達の都にてホワホワしているポポンガの片目が真剣な物に変わる。此れはアレだ、特殊イベント的な何かだとゲーマーの直感が叫んでいる。一片たりとて聞き逃してはいけないと、ペッパーはアイトゥイルを頭・ノワを抱き上げて膝上に乗せ、ポポンガに視線を向ける。

 

そしてポポンガは語り出したのだ…………カムイと呼ばれる存在の事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カムイ………其奴等は此の世界の『天空の環境に適応した種族』。別名を『頂点種』であり、奴等の生命活動(・・・・)は『災害其の物』と断じて良い。崩御によって巨大なる雲が落ち、過剰な速度の雷速で地形が粉砕され、大日照りによって一地帯が干乾びた死の大地に変わったとも言われておる。しかしながら奴等に善悪の感情は無く、天空という限られた領域(スペース)で暮らす為に、幼生時点で篩に掛けられる事で自ら数を絞っておるのじゃ」

 

地に蔓延るモンスターや海に生きるモンスター、空を飛べるモンスター達とも違う、文字通り超天に生きるモンスター。其れが『カムイ』なのだとポポンガは言う。

 

「儂の知る限りじゃが、カムイ種は『四種』居る。尤も他にも居るやも知れぬが…………な。四種居るカムイには、其々こう()を持ち畏れられている。

『地を裂く風 極光を放ち天へと昇る アウロラカムイ』、『帝雲の魔神 空を雲と支える タイタンカムイ』、『黒き雷 阻む全てを穿ちて砕く レビンカムイ』、そして『焦土の灼光 眼下を焼き尽くす熱 ニッショウカムイ』とな」

 

どうやらカムイにも複数種類が居る様で、サンラクの封雷の撃鉄はレビンカムイが、自分の封熱の撃鉄はニッショウカムイが関わっている様だ。

 

「ローエンアンヴァ琥珀晶の中に在るカムイの力を引き出す為、撃鉄達の名に与えられた『封熱や封雷』は其々が死して結晶化した、カムイ達の持つ『属性』によって変わるのじゃ。特にハザードとスペリオルの元になる琥珀晶に至っては、何万回に一度の割合で宝石塔から産出される程に『超希少』な上、其の力を完全完璧に引き出し切れたのは、儂の知る限りじゃ『猫妖精(ケット・シー)のダルニャータ』が初めてであり、現状ダルニャータしか(・・)居らんわい」

 

ポポンガの話を通じ、改めて封熱の撃鉄(ニッショウトリガー)の効果テキストを読んだ事で、ペッパーは自分が手にしている此の革手袋が『とんでもない存在』であり、此れを作り上げたダルニャータが『凄まじい宝石匠(ジュエラー)』だと再認識するに至ったのだ。

 

「有史以来、開拓者達の手でカムイが討伐された事は『唯の一度たりとも無い』。()の人には、空は近くとも未だ遠い領域じゃ。だが同時に儂は確信しとる、何時の日か開拓者が空へと飛び、天に住まう頂点者達に其の牙を届かせられる………とな」

 

ポポンガの説明によって判明したのは『三つ』。

 

一つ、シャングリラ・フロンティアという世界(ゲーム)には、超上空の天空領域に『カムイ種』と呼ばれるモンスターが四種は確定、更に+αが存在している事。

 

二つ、カムイの力を内封しているローエンアンヴァ琥珀晶を能力を、完璧に引き出し切ってアクセサリーとして加工可能にするのは、現在ダルニャータ以外存在しないという事。

 

そして三つ、生命活動其の物が災害級の危険度を誇るカムイ種は、現時点で開拓者が討伐した事の無いモンスターであるという事だ。

 

ただ宝石匠としては、開拓者でも最高峰と言われているラピスが、宝石関係で滅茶苦茶躍起になっていたらしいので、近い内に宝石匠となるだろう。撃鉄シリーズを作れる様にするには、少なくとも宝石類を貢ぎ続ける事は避けられないだろうが。

 

「此れが儂の知っとるカムイの情報じゃな。こんなもんで良いかの、ドッちゃんや」

「ありがたい、ダイケンジャドノ。…………と、イうコトなのだ」

「勉強になります………!」

 

ゴブリンだろうがスライムだろうが、知識を授け与えて道を示した物には感謝の意を、其れがペッパーのゲームに置ける自身のスタンスなのだから。深々と頭を下げて感謝の意を示せば、やはりというかロノ・ドアは目を丸くしていた。

 

「あぁ、ペッパーはこういう人何じゃ。他の開拓者(ヤツラ)とは少し違うからの、ドッちゃんよ」

「ナルホド………ペッパーはスクなくとも、シンじるにアタイするモノでアる………か」

「ま、長い目で見てやってくれ。ペッパーは儂が見込んだ男じゃからな」

「ワカった、ダイケンジャドノ」

 

おそらくゴブリン同士にしか解らない会話なのだろう。其れ以上に日を跨いだ事で、眠気が津波の如く襲い掛かって来ており、眠らない様にするのが精一杯だ。

 

「ポポンガさん、ロノ・ドア殿。実はそろそろ、俺は眠らないといけないんです」

「オォ、そうか。スまない、ジカンをトらせてしまった」

「ゴブリンにとっちゃ夜間は最も活動的になるが、人にとっては眠る時間じゃからの。兎御殿まで送るぞい」

 

そう言ってポポンガは座標移動門(テレポートゲート)の準備に取り掛かり、ペッパーはロノ・ドアと武勇に関する会話を交えて。そうして出来上がった門魔法により、ペッパー達はゴブリスタンの地を後にした。

 

無事にラビッツの兎御殿に帰還したペッパーは、ポポンガに御礼を述べた後、直ぐに休憩室へと直行並びに布団へダイブを敢行してセーブ&ログアウトを行い、シャンフロを終えたのだった……………。

 

 

 

 

 

 

 

 






夜更かしで成した事


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