予定を決めよう
シャンフロにてキャッツェリア&ゴブリスタンをポポンガと共に訪ね、ランドマークを更新した事で何時でも新大陸側に向かえる様になった日の翌日、7月8日の金曜日。俗世間では休みの前の夜が最も
(明日は貴重な一日休み……ファステイアに眠っているだろう秘密を確かめるか、もしくはキャッツェリア経由で新大陸の探索とレベルキャップ解放の施設探し、或いはブレイカー小鎚達の強化素材聞き出しと採掘に出掛けるか…………何にしようかな?)
スーパーのタイムセールで必要な食料の買い物を終え、冷蔵庫と冷凍庫の中身を思い出しつつ、夕食は『梓流ハンバーグステーキ』を作る事に決めて、住まいのアパートへと一人帰還して行く中でシャンフロでの予定を彼は考える。
今は懐かしい一番最初の街にして、
未だ全容掴めぬ新天地を駆け走り、レベルキャップ解放を可能にする施設を探し当てて、ステータスが変更された事によって現状装備不能になっているレディアント・ソルレイアを装備可能にするべく、一日以内に探し当てて帰還する事。
ギルフィード・ヴァンラッシュ・ライダメイズの三種のユニーク小鎚達の強化に必要な鉱石を、シャンフロ旧大陸後半の街に居るNPC鍛冶師から聞き出して、必要量を採掘で確保して強化する事。
どれを取るにしても悪目立ち極まれりが更に加速するが、クラン対抗戦でネームバリューは天井越えて突破気味なので、穏やかで平穏なシャンフロライフはもう半ば諦めてしまっている。誰のせいなんでしょうね?──────はい自分が原因ですわ、まさに典型的な自業自得の末路である。
(………………だがまぁ、其れをやる前に『
そして住まいたるアパートに帰って来て、さぁ夕食の準備をと気合を入れ直し、梓は自分の部屋が在る場所に帰り。
「やぁやぁ、
「スゥ………フゥ──────唐突過ぎやしませんかねェ、トワさんよぉ…………?」
「フッフッフ〜。突発的イベントは、人生当たり前に起きるんだよぉ?」
「俺そんな人生やだよ………」
我が恋人にして世界に誇るトップオブカリスマモデルの『
天音 永遠が貴方の御宅に突撃訪問!──────等と、そんな『大人なビデオタイトル』が脳内に過ぎりながらも、梓は永遠を部屋に上げるや自身は手洗いと嗽を終えて、早速夕食作りを開始。
初めに胡瓜・レタス・袋詰のカット野菜を用いたグリーンサラダ作りから入り、全ての材料のさっと水洗い&水切りして胡瓜は斜めに薄切りした後に棒々鶏のタイプに切り分け、レタスはカット野菜のサイズと同じ大きさになる様に千切って盛り付け冷蔵庫へ。
次にハンバーグステーキに必要な玉葱・ピーマン・人参を微塵切りにして、少量の水と共に電子レンジにて火を通し、牛肉と豚肉の挽き肉・卵・パン粉・塩胡椒をボウルに、レンジで加熱した野菜達を加えつつ、捏ねて捏ねてハンバーグのタネを作っていく。
「あーくん、今日の晩御飯はハンバーグステーキかな〜?」
「そうだな。トワが食べてる物と比べて、味は普通だと思うが堪忍してくれると助かる」
「フフフ、あーくんが作る料理は美味しいから期待してるよん♪」
答えた所で献立が変わる訳じゃないから良いのだが、一番困るのは『調理中に抱き着きながら胸を背中に押し付けつつ、片耳を甘咬みする事』であり、色々集中出来ないのでどうか止めて欲しい。
「おーい、トワー。夕食制作が大変になるから、ちょーっと離れてくれないかな?」
「やーだ♪」
「駄目ですかね?」
「だぁ〜め♪」
駄目ですか、そうですか。困ったな、どうするか。
「油が飛んで火傷するぞ?」
「ありゃ、其れは困ったなぁ………。まぁ、仕方無いか」
油跳ねは怖い、特に焼き物とかをしていると。永遠が離れたのを見計らい、ハンバーグのタネを整えてキッチリと手を洗い、キッチンペーパーで拭き上げ。フライパンに油を敷いて熱を高め、全体が熱くなったタイミングでハンバーグのタネ達を投入、鍋蓋を乗せて熱を逃さない様にし。
もう一度手を洗った後、冷蔵庫からリンゴを一つ取り出して包丁で八等分に切り分け、包丁の刃を動かしながら『うさぎりんご』に整形・塩水で変色を防止する。
そしてハンバーグの片面が良い感じに焼けたタイミングで、フライ返しで全部を引っくり返して少量の水を加え、鍋蓋をして蒸し焼きにしている間にケチャップとソースを用意。数分経過後に火を止め、皿に盛り込んだハンバーグ達にラップを掛けて電子レンジに入れ加熱を開始し、其の間に冷蔵庫に仕舞っていたグリーンサラダを取り出して粉チーズを軽く振り、オリーブオイルを一回し。
フライパンにはケチャップとソースを適量入れて加熱しつつ、ハンバーグから出た油と旨味を絡めて、デミグラスソースを作り終えたタイミングでレンジが完了。其々の皿にハンバーグを盛り付けてデミグラスソースを垂らし、炊飯器で炊いた白米を茶碗に盛り付け、マグカップに野菜ジュースを注いでテーブルに並べれば。
「よし、完成………!梓流『ハンバーグステーキディナー』だ!」
「美味しそうだねぇ〜あーくん」
本当なら残った分は冷凍庫で冷やし、翌日の昼食でレトルトカレーと共に『ハンバーグカレー』にしようと思っていたが、永遠が来た事で其れも叶わぬ事になってしまった。使用した調理器具を水に浸し、食べ終わった後に洗浄出来る状態にしておき。
「じゃ、食べようか」
「うん」
テーブルで対面する形で座り、御互い合掌と共に「「いただきます」」でハンバーグステーキを箸で開き、一口サイズに分けて口に運ぶ。
「美味しいね、あーくん」
「普通の牛挽き肉と豚挽き肉の合わせた奴だからなぁ……。ただちょっとパンチが足らなかった、次は少し肉の分量を増やしてみるか」
「勉強熱心だね、何時もそうなの?」
「まぁな。美味しく食べるなら、研究も大事だ」
グリーンサラダを食べ、ハンバーグステーキを食べ、白米と野菜ジュースを飲み干し、うさぎりんごを箸で取って運ぼうとした所、永遠が此方をジッと見ている。
「どうした?」
「………………」
まるで何かを求める様に、小さく口を開いた永遠。梓は少し考えて彼女の視線を観察すると、自分が箸で挟んだうさぎりんごに注がれている事に気付く。
恐る恐るりんごを近づければ、彼女の口が大きく開いたので、恋愛ゲームのヒロインデートシチュエーションでも御決まりも御決まりな「はい、あーん」の場面が脳裏に浮かび上がり、彼は「はい、あーん」と述べてうさぎりんごを寄せれば、永遠は其れを口に咥えて御満悦な表情で咀嚼する。
其れから二回程同じ事を行い、合掌からの「「ごちそうさまでした」」で食べ終わって。梓は食器を片付け始め、永遠は旅行用のキャリーバッグから何かを取り出し、彼に「ちょっと洗面所借りるね」と言って入り。何をするのかと頭の片隅に置きつつも、二人分の食器と調理器具を洗い終え。「あーくん♪」と、永遠の声がしたので振り向けば。
『大事な箇所を隠す筈の下着の布地が裂けて丸見えになった、所謂際どいスリングショット』の水着』を、永遠は着ていたのだから。
「まぁた随分と、目のやり場に困る姿になりまして………」
「フフフ………私の『こんな姿』を見せるのは、あーくんだけだよ?」
ゆっくりと永遠が近付き、抱き付いて。両腕を梓の首に掛け、唇が重なる。一度目は軽く触れ合い、二度目は長く続き。三度目から先は舌と唾液が絡み合う、熱く長く激しい物に変わった。
「んっ……………。はぁ〜………あーくん、私はあーくんのモノだし、あーくんは私のモノ。貴方が私を『裏切らない限り』、私はあーくんの『望む事をシテあげる』。あーくんには私を『美味しく食べて欲しい』、だからこんな格好だってするんだから♪」
「……………全く、凄いな永遠は」
「フフフ、何せあーくんの自慢の彼女で居たいからね」
そうして男女は再び見つめ合い。互いの瞳に映る者の目が獣の其れに変わったのを自覚しながら、まるで解り切っているかの様に、シャワールームへと入っていったのだった………。
交わって、混ざり合って