VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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日は昇る、朝が来る




突発的アンケートは朝方に

チュンチュンと外で雀の鳴き声が聞こえる。僅かに明けた雨戸から零れる朝日と湿気を含んだ風が、室内の『甘ったるい匂い』と混じって鼻をくすぐった事で、部屋の主──────五条(ごじょう) (あずさ)は布団の上で目を覚ました。

 

「ふぁあ………」

「おはよー、あーくん。昨日は熱くて激しい夜だったねぇ♪」

 

身体を伸ばしていると聞こえた声、視線を向ければ日本が世界に誇るトップオブカリスマモデルにして、自身の恋人でもある『天音(あまね) 永遠(とわ)』がスリングショットの水着姿で腹部に馬乗りし、舌舐めずりと共に妖艶な表情で見下ろして居る。

 

「十回戦したのに、まだ足りませんか…………」

「ううん。ちゃんと『満足』してるし、其の感触は内側に残ってるんだから」

「其の手の動かし方、誤解が生まれかねないから止めてくれよ…………」

 

頬を赤らめて自分の下腹部を優しく撫でる永遠に、梓は遠い目をして頭を擡げながら言った。全戦通してゴムを使って戦の後にはシャワーで確り洗ったが、可能性は0では無い。其の内見えない所でゴムに針を刺して穴を開ける等と、笑い事で済まない事をやらかしかねないので、用心するに越した事は無い。

 

「あーくん、今日の朝は何にするのかな?」

「うーむ…………シャワー浴びて、其れからピザトーストを作ろうかなと」

「お〜。良いねぇ」

 

善は急げというので梓は早速布団を畳み、浴室でシャワーを浴びてドライヤーで乾かし、服を着替え。永遠の衣服を一度外して、洗濯機に液体洗剤を投入しつつ、乾燥までワンセットモードを選択・起動する。

 

入れ替わりで永遠が着替えを持ってシャワーを浴びに行っている間に、ヤカンに水を注いで火に掛けて沸騰させ、食パンを用意してケチャップを塗る。冷蔵庫に残っていたピーマンを輪切り・玉葱を薄切りにして食パンの上に乗せた後、とろけるチーズを千切ってトッピングして電子レンジをオーブンモードに切り替え、五分設定で加熱を開始。

 

俎板と包丁を洗い、ヤカンの水が沸騰するのを待ちつつも、二つのマグカップを用意して其の中にインスタントコーヒーの粉末を入れ、湯が沸いたタイミングで火を消してマグカップに湯を注いで、スプーンでグルグルと回して溶かせばレンジからチンッ!と音が鳴った。

 

扉を開けて慎重にピザトーストを取り出し皿に乗せ、テーブルへと運び。インスタントコーヒー入りのマグカップを添えれば──────

 

 

「よし、出来た!梓特製『簡単ピザトースト』………!永遠、朝食出来たよ」

「はーい♪」

 

そうして浴室から出て来たのは、薄いシャツにタンクトップとデニムショートパンツの天音 永遠が居り。一目で『夏』を意識したコーディネートをしていた。

 

「ほぉ〜……今の流行(ブーム)ってそんな感じなのか。夏本番に向けた感じで凄く良いじゃん」

「ありがと、あーくん♪此処にキャップとスニーカーを組み合わせれば、もっと素敵になるのだよ」

「良いね、其れ」

 

天音 永遠、其の本職はカリスマモデルだ。トレンドになった服を着るのでは無く、自らが着た服が次のファッショントレンドとなる程に、彼女の名実はモデル業界に置いて十代の少女達──────所謂『ティーンエイジャー』から圧倒的な支持を得ている。

 

「じゃ、食べようか」

「うん」

 

テーブルを囲み、梓と永遠は合掌し「「いただきます」」と述べて、ピザトーストに齧り付く。とろりと熔けるチーズとケチャップがパンと野菜に絡み、油のクドさを程好く打ち消し。其処にミルクや砂糖を入れないストレートなインスタントコーヒーを飲めば、眠気も吹き飛ばされて活力が湧いてくる。

 

と、そんな時に梓と永遠のスマフォにて通知が届き、内容はサンラクからの物で。何やら旅狼(ヴォルフガング)のチャットにて『アンケート』をしているらしく、何やら面白そうな事になりそうだと、二人は朝食を食べ尽くしてコーヒーも飲み干し、参加してみたのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【旅狼の溜まり場】

 

サンラク:突然ですがアンケート

 

ルスト:アンケート?

 

オイカッツォ:どうしたいきなり

 

サンラク:カッコイイ名前言ってくれ

 

ルスト:其れなら絶対零度(アブソリュートゼロ)

 

秋津茜:じゃあ私、黒天無塵鎌(ノーブルー·サイスレント)で!!

 

オイカッツォ:カッコいい名前………血液感染(ブラッド·インフェクション)かな

 

レーザーカジキ:えっと、ええっと……………タルタロス・ゲート!

 

ペッパー:聖攣の神覇業(ウルク・フォルセティ)

 

ペンシルゴン:ブリュンヒルデ・バスカヴィル三世

 

サンラク:いや誰それ

 

ペンシルゴン:リアルでけったいな内容のファンメールを送ってきた子が名乗ってた名前でね?此の私相手に超上から目線でアドバイスしてきた勇気を称え、三年後くらいに大々的に弄ってやるのだ

 

ペッパー:鬼かよ

 

サンラク:鬼だな

 

京極:サンラクぅ……!幕末の世界に来なよぉ……!楽しいからさぁ……!

 

ルスト:幕末?

 

サンラク:幕末プレイヤーの誘い文句とか、最早天誅予告と同義なんだよなぁ……

 

ペッパー:全くだ、対処出来なきゃ生きてけないしな幕末って

 

ペンシルゴン:あーくんが幕末脳に染まってるんですけど〜?サンラク君、ちょっと責任取ってくれないかな〜?

 

京極:あのリスポン地獄から抜けられないんだけどッ!?しかも忍者に奇襲されたり!全く身に覚えのない仇討ちのターゲットにされるしッ!!本当に何なのアイツ等許さない!!

 

サンラク:あぁ、仇討ち感染かぁ………。アレ上手いヤツだと数十人規模で巻き込むし、場合によっちゃジャイアントキリング起きたりするしな………

 

ペッパー:そんなの有るのか、サンラクよ

 

モルド:調べたけど、何か和気藹々としてるね……

 

サンラク:そりゃ擬態だよ、幕末は蠱毒の渦中で真の修羅しか生き残れない世界だよ

 

ペッパー:大前提としてログインやリスポ狩りから生きられないと話が始まらないと言う

 

ペンシルゴン:あーくんは幕末が好きな様だけど、私幕末キライ。アイツ等全員が会話能力を殺傷力に変換して、無差別に攻撃するんだもん

 

ペッパー:まぁあの世界のプレイヤー達って殺意で会話してるから、我を徹したければ実力で魅せる以外に無いからな

 

オイカッツォ:世紀末円卓より『こんにちは!死ね!』がデフォな世界が在るとは思わないよねぇ普通は

 

サンラク:どっちかって言えば『死ね!(こんにちは)』かなぁ

 

ペッパー:『天誅!(おはようございます)』とか『天誅!(こんばんわ)』で会話してるしな

 

秋津茜:幕末ってゲーム、私ちょっと興味が湧いてきました!

 

ペッパー:秋津茜、ルスト、幕末は修羅の国だ。覚悟を以て踏み込む事をオススメする

 

京極:まぁ其れは其れとして、カッコいい名前だっけ?なら(アルティメット)・将軍とか

 

サンラク:却下

 

京極:絶対天誅してやる!絶対に、絶対にぃ………!

 

モルド:というかなんのアンケート?

 

サンラク:実はシャンフロ内で高い買い物をして、完成の目処が立ったんだけど、まだ名前が付いてなくてだな

 

ルスト:……何を買った?

 

サンラク:まだ秘密

 

オイカッツォ:ふーん

 

ルスト:……………其れはそうと、ペッパー

 

ペッパー:ん?

 

サンラク:お?

 

ペンシルゴン:おやおや?

 

モルド:どうしたの、ルスト?

 

秋津茜:?

 

サイガ-0:お、おはようございます

 

オイカッツォ:おや?

 

ルスト:さっきからペンシルゴンの前後にコメントしてたけど、もしかして二人は近い場所に居たりするの?同じ部屋に居たり?

 

ペンシルゴン:そだよー

 

ペッパー:ちょっ!?

 

サンラク:へぇ〜?へぇ〜???

 

オイカッツォ:おやおや、おやおやおやおや

 

京極:2828282828282828

 

ペッパー:ノーコメントッッッッッッ!!!!!!サイナラ!!ペンシルゴン!!!

 

ペンシルゴン:じゃあね〜♪

 

サイガ-0:凄い勢いで………去っていきましたね…………

 

レーザーカジキ:御二人って付き合ってるんでしょうか………?

 

 

 

 






ゆっくりと認知されていく


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