VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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各クランの反応




七天極星(グランシャリオ)会談、深淵と風雷の道標

「旧大陸に残ったライブラリの調査班からの報告で、我々は『深淵のクターニッドに挑戦出来るユニークシナリオ』を発見した。どうだろう?クターニッドの住まう海底都市に突撃掛ける為に『連合軍を構築し』、攻略に赴きたいのだが………参加したいかね?」

 

クラン:ライブラリのリーダー・キョージュの発言。

 

其れは旅狼の面々に討伐された事により、()()()()()()()()()()()と思われていたユニークモンスターの一角。夜襲のリュカオーンや天覇のジークヴルムに並ぶ高い認知度を誇る、深淵のクターニッドへ挑む為の『チケット』であると同時に、下手に開示すれば独占からの戦争が起きる『爆弾の反応を遮断する絶縁紙』でもあった。

 

「………………キョージュさん、其れは本当?」

「無論だ」

 

Animaliaの問いに、キョージュは唯一言述べて力強く頷く。何よりライブラリはシャンフロで獲得・解明した情報を、危険な箇所を除けば大々的に公開するスタイルであるからこそ、其の言葉には説得力が産まれるのだ。

 

そしてペッパーはペンシルゴンを横目で見て、彼女は小さく頷きつつ『あるスクショを羊皮紙に焼き付けた物』を複数本インベントリから、ペッパーは冥王の鏡盾(ディス・パテル)をインベントリアから取り出し、テーブルに置いて見せれば他の面々の視線が向き。

 

其の中でもやはりと言うか、取り分けSOHO-ZONEの視線がギランギランのギンギラギンに人一倍血走り、ペッパーの出して来た機械仕掛けの円盾(バックラー)に注ぎ込まれている。しかもスクショ体勢を整えて──────である。

 

「クターニッドさんが根城にしている海底都市は、夜に出現するモンスターの中に『アトランティクス・レプノルカ』と言うモンスターが出現する事が有ります。其のモンスターを討伐した時に出る『丸いレンズの様な頭蓋骨』が、今自分の持っている『冥王の鏡盾』の素材です」

「因みに私が持ってる此の『羊皮紙』、実はクターニッドの根城となってるルルイアスの『ほぼ全域を収めた空中写真』を、私の(・・)あーくんが撮影してくれてたんだよねぇ〜。もしクターニッドに挑むクランが在るなら、『一括払いの三億マーニで購入可能』だけど………如何かな?」

「「「「「「買わせてくれ!!」」」」」」

 

此の場に居た全てのクランリーダーが一斉挙手で反応した。ユニークモンスターが根城としている完全未知のエリア、其の場所を収めたスクショともなれば、其れは必然的に『ゲームの攻略本』を手にする事に等しい。

 

ライブラリのキョージュ達を含め、全員の目の奥に宿る攻略へのモチベーションの炎が燃え上がり、特にサイガ-100・カローシスUQ・SOHO-ZONEの三人に至っては、炎では無く『火山の大噴火に等しい』そんな熱量を放っている。

 

魔法やビームを反射、或いは吸収しバフへ転用可能ともなれば、考えられるだけで『五つ』は悪用方法が思い付くだろう。尤もアトランティクス・レプノルカは『深海三強』の一角にして、冥府の深海でも『頂点捕食者』に座する存在。

 

そう易々とは倒されてはくれない上に、下手すれば全滅の危険すら引っ付く泳ぐ戦略級戦艦…………初見で挑むモンスターならば、彼等彼女等には『未知』を大事にして欲しいという思いが在るので、ペッパーは余程の事が無い限りは『攻略法は教えない』つもりでいる。

 

ふと横を見れば「毎度あり〜」とペンシルゴンが革袋に入ったマーニを受け取って自分に手渡して、そして地図を手にしたサイガ-100はキョージュに問い掛ける。

 

「因みに其のクターニッドに関わるユニークシナリオのタイトルは?」

「タイトルは『恐れ知らずの遠征漁業』というものでね。今まで得たクターニッドに関するNPCやペンシルゴン君の情報からするに、此れは『嵐の日に漁に出てハチ合わせる』という可能性が高い」

「あー……つまり『今日は天候荒れそうだが、俺達には海の女神の御加護が憑いてる!絶対に大丈夫だから漁に出るぞ!』………とか、そういう『死亡フラグ』満載の」

「何徹必要ですかね?場合によっては五徹だって行けます」

 

カローシスの口から聞いてはいけない言葉を聞いた気がしたのは、多分此方の気の所為ではない。フルダイブで五徹する所業と狂気は、確実に身体と脳に悪影響を与えかねないだろう。

 

「一先ずクターニッド攻略組は六クランでの話し合いを含め、近日中にメンバーの選出をしておこう。最大参加人数が一つのパーティーの上限の十五人である以上、六クランに偏りが出ない様にしたいからね」

「其々上限二名かぁ………三クランずつに分ければ、五人ずつ参加出来るか」

「其れも含めて一考したいわ。家のクランにも海洋生物好きなプレイヤーが居るし」

 

クターニッドのユニークシナリオに備え、参加者の精査を始めるクランリーダー達をペッパーとペンシルゴンは見ていて。そんな中で聖盾輝士団を率いるジョゼットが、ペッパーを見ながら挙手をしつつ質問を投げ掛けた。

 

「ペッパー殿、私から質問が有るのだが良いか?」

「はい、どうぞ」

「すまない。では……………クラン対抗戦時に貴殿がサイガ-100殿を相手に用いた、銃の能力を搭載したあの斧槍(ハルバード)──────其の原材料となるモンスターを、教えては頂けないだろうか?」

 

シャンフロにおける風属性と雷属性を搭載するモンスターは、現在ライブラリの調査でも『片手』で数えられる程度しか確認されて居らず、其の素材から造り出されて『風属性か雷属性を()()()()()で搭載した武器達』もまた、ユニークウェポンを除いて希少な存在として知られているのだ。

 

「貴殿が用いたあの斧槍………『風雷皇の擊貫斧(サルダゲイル・イドゥン)』だったな。聖盾輝士団の団員達の間でも最近『あの武器に搭載されている風と雷属性の素材を使えば、魔法に頼らずとも遠距離攻撃が出来るのでは?』とよく耳にする様になった」

「確か聖盾輝士団の中には『遠距離攻撃』を得意としているプレイヤーがあんまり居ないんだっけ?──────あぁ、だからか………」

「そうだ。ペンシルゴン殿が言う通り、我々はイリステラ様を御守りする手前、同一規格の装備を着用する事で『結束』を計っているのだ」

 

同じ装備だからこそ生まれ、育まれる絆という物はある。故にこそ今の自分達に足らない物を補う事で、聖女様の盾としての箔を付けたいのだろう。

 

周りを見れば、サイガ-100・SOHO-ZONE・カローシスUQの視線が向けられている。ある者は自分との戦いで戦況を持っていった物の大元が何かを、ある者はハンドメイドガンへの道を切り開いた武器の原材料判明に、またある者は其れを使った武器を作らんとしている目をしていて。

 

「…………イリステラ様には会談にて御足労を頂き、誠に感謝しています。故に私自身も、御答えするべきと思っております」

 

呼吸を一拍、ペッパーは静かに語り出す。

 

「風雷皇の擊貫斧………………其の素材となるモンスターは、千紫万紅の樹海窟に在る隠しエリア『双皇樹』と呼ばれる場所を根城としています。彼等と戦うには其の場所まで行き、其処で『クエスト【風雷の挑戦状:強者よ、双皇樹に来たれ】』が表示されるので其れを受注して下さい。

そうすると受注者のみが入る事を許され、他のプレイヤーやNPCの侵入を防ぐ様に、風と雷による魔力の壁?みたいな物が出来上がり弾かれ、プレイヤーは颶風の申し子こと『ティラネードギラファ』・雷嵐の申し子こと『カイゼリオンコーカサス』。自分は『双皇甲虫』と呼んでいますが、其のモンスターを相手に『二対一』で戦う事になりました」

 

場合によっては『一対一(タイマン)』も出来るのだろうが、一体ずつ戦うよりかは戦闘難易度こそ跳ね上がる物の、二体を一纏めに相手した方が素材的にも経験値的にも、プレイヤーへのアドバンテージが大きいのは明白なのだ。

 

ただあの二体を相手取るならば、空中戦闘が出来る事・斬撃&打撃の両武器での戦闘が出来る事・物理弓&魔法弓が使える事の、何れか一つでも持っていないと『キツい勝負をしなくてはならない』が、ガチ勢クランの皆々様ならば情報を集めて幾度も失敗し、そして其れを元に攻略法を導き出せる筈なのだから。

 

「ペッパー殿、感謝する。此の礼は、何れ必ず」

「納得頂けたならば、幸いです」

 

ジョゼットの御辞儀に対し、ペッパーもまた御辞儀をする。

 

サイガ-100とSOHO-ZONEとカローシスUQに加え、キョージュの視線がギンギラギンにギラ付いているのは、ペッパーとペンシルゴンはサラッと流した。

 

 

 






バックラーとハルバードの原材料


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