次の話へ
「では、次は私からの議題を」
会談という名のペッパー尋問会が始まってから三十分が経過した。そして次なる議題を繰り出したのは武器狂いの異名として知られ、シャンフロの武器防具を徹底的に解明・追求する事を信念に掲げる、クラン:ウェポニアのリーダー・SOHO-ZONE。
だが、SOHO-ZONEが放った言葉はペッパーの予想の斜め上の物であり。
「ペッパー君。君の『女性の時の声を売って欲しい』と、クランメンバーからの要望が多く出ているのだが、ペッパー君はどうするんだい?」
「………………はい?」
彼の口から出たのは星皇剣グランシャリオに関する質問では無く、まさかの自分がクターニッドの聖杯で性別反転を行った時の声に関する事柄であり。
「其れについては私からも同様に。貴殿の女性の姿で放つ声は、様々な開拓者の心を穏やかにさせる力を持っている」
「実は家のメンバーからも、ペッパーさんの『女性姿の写真集』が欲しいって要望が来てるのよね」
「えぇ………………」
そして何故かクラン:聖盾輝士団団長のジョゼットに加えて、クラン:SF-Zooの園長たるAnimaliaまでもが写真含めて乗っかって来るという状況に、ペッパーは困惑の表情で言葉を溢した。
というより其れは、心は穏やかになるんじゃなくて、黄色い声が挙がるの間違いでは無いのか…………?と、そんな事をペッパーが思っていれば、真横で凄まじく
「はい、皆さん御注目。先程武器狂いにジョゼットちゃん、更には園長さんと
故に、とインベントリアを操作し取り出したのは、シャングリラ・フロンティアの雑貨屋で買える『一冊の絵本』。其れも五百マーニ有れば、誰でも簡単に手に入る代物で。
「ペッパー君。御願いが有るんだけど、聖杯使って此の絵本を読んでくれないかな?代わりに御礼は弾むからさ──────
「…………絵本を見せてくれるかな」
渡された絵本の内容に一通り目を通した所、子供向けの絵本によくある理解り易い内容であり。彼は無言でインベントリアを操作し、クターニッドの撃破報酬で手にした『性別反転』の能力を宿す青の聖杯を使用。
青の光に包まれたペッパーの姿は、黒い衣服を纏った男装麗人其の物と言って良い物に変わると、やはりと言うかジョゼットの視線が舐める様な其れになった。
「因みにクターニッドの報酬には、此の性別を変更出来る物を含めて幾つか有るからねー」とペンシルゴンが言い、彼女は「其れじゃ御願いね?」とペッパーの耳元にて囁き。
女体と化したペッパーはまるで『吟遊詩人』の様に、万人に聴かせる者という形に自らの『役柄を意識』し、ペンシルゴンから渡された子供向けの絵本を読み始めたのである。
「────昔むかし、そのまた昔の御話…………。世界を旅する勇者一行の物語……………」
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ペッパーちゃん、朗読中…………
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「──────かくして勇敢なる勇者一行は悪いドラゴンから御姫様を救い出し、王様から褒美を賜りました。彼等彼女等の名は長く永く………今も尚、人々の記憶に紡がれるのでした。…………おしまい」
絵本を読み終え、静かに閉じつつ息を吐くペッパー。役柄として『ベッドで眠る子供に絵本を読み聞かせる母親』を意識し、ロールプレイを重ねつつ読み上げたのだが、果たして此れに本当に意味が有るのか?少々の不安を抱きながらチラッと他のプレイヤー達を見てみれば。
カローシスUQ・ジョゼット・アヴァランチがエジプトの石棺に入ったファラオのミイラじみた姿勢で地面に仰向けとなって、SOHO-ZONEとクラリスは胸を抑えながら跪き、サイガ-100とペンシルゴンは頬が赤く火照り、他のプレイヤーは唖然や驚愕の表情をし、イリステラは凄い物を見たといった表情になっている。
其れを見たペッパーは「えぇ…………」と困惑し、そんな彼等彼女等の中でペンシルゴンが声を上げた。
「えっ、と……………コレ、ヤバくない?色気というか、読んでいる時の集中具合とか、気合の入り方とか…………
「先ず間違い無く売れるな、うん。……………というか、ジョゼットさん含めて『声だけで』ダウンさせる破壊力から鑑みて、ペッパーに読んで貰うならば『かなり抑えた』方が良い」
「其れは同意ね。あと発売間隔も調節しないと、絶対面倒な事になる気がするわ…………」
ペンシルゴンが苦笑いを浮かべながらに頬を赤らめ、ヤシロバードは
『青の聖杯をペッパーが使ったら、先ず間違い無く大災害が起きる』──────と。
「さて、話が脱線したけども………。皆、あーちゃんの声を売る事に関して、今後も議論を続けていくって事で良いかな?」
ペッパーの女性状態時の声の扱い等を踏まえ、まざまざと見せ付けられた破壊力から、此の場に居た全てのプレイヤー………無論ペッパーも含めて『異議無しッ』との全員一致の判断が下された。
会談の開催時間は残り三十分を過ぎ、状況からすれば質問は一つか良くて二つかといった具合になる中、ペッパーはおそらく此の局面だからこそ、サイガ-100とSOHO-ZONEの二人が
「「ペッパー君」」
サイガ-100とSOHO-ZONEの声が同時に響き、ペッパーとペンシルゴンは此処が正念場と気合を入れ直すのだった………。
絶大なる一撃、そしてクライマックス
ペッパーちゃんが朗読をしている時の皆さんの反応集
ペンシルゴン(あーちゃん…………しゅき♥)
サイガ-100(何だ、何なんだ?此の胸に宿る、不思議な感覚は…………?)
草餅(母親の読み聞かせかな?)
SOHO-ZONE(み"ゅぎゅふ°)(性癖の柱が二回転半歪んだ)
アヴァランチ(ペッパーマッマ……………)
キョージュ(聖杯で此処まで成るとは、恐ろしいな……………)
セート(クターニッドの撃破報酬、青の聖杯にしますかね…………)
カローシスUQ(ペッパーさんは自分の母になってくれるかも知れなかった……………)(性癖の亀裂が更に広がった)
ヤシロバード(唖然)(コレ上手い事調整して売ったら、絶対儲かるわと確信した)
ジョゼット(我が生涯に一片の悔い無し……………!)
クラリス&イリステラ護衛に着く聖盾輝士団の団員(ペッパーさんの夢女になりますッッッッ!!!)
Animalia(いや、コレ…………大丈夫?カオス過ぎない?)
ヴェット(最大防御が一撃で沈んだ……だと!?いや、エグく無いかコレ?)
イリステラ(ジョゼット達が噂しているだけ有りますね………)