VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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大詰め




七天極星(グランシャリオ)会談、星の剣はパンドラの箱

サイガ-100とSOHO-ZONEの発言、そして会談に設けられた残り時間。其の二つを加味した結果、ペッパーとペンシルゴンは此処こそが本当の正念場だと確信し、表情や身体に出せずとも心で身構える。

 

「で、私の(・・)あーちゃんに何を聞きたいのかな、モモ(・・)ちゃんと武器狂いは?場合によるけど、今此の場で『オークション』を執り行わないと、ちょー………っといけない雰囲気なんだけどサ?」

「──────私が聞きたい事は、最早『一つ以外』無いのは知っているだろう。…………私が聞きたいのは『リュカオーンのヘイトを集めれる武器』を、ペッパー君が所持しているという事。其の武器を譲渡してくれ………とは言わない。クラン:黒剣(シュバルツシルト)の最終目標は『ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンの討伐』である以上、其の前提となる『ユニークシナリオEX』を解放しなくては話が進まない」

 

だからこそと、彼女は立ち上がりペッパーに視線を向ける。

 

「だからこそ、ペッパー君に頼みたい。影狼(・・)との戦いで、君の力を貸して欲しい──────頼む」

 

恥もプライドも捨てて、此の場に居るプレイヤーとイリステラを前にしても、自ら頭を下げたサイガ-100。ペンシルゴンを含めて他のプレイヤーが目を丸くする中、ペッパーはサイガ-100を見続けて………そして気付いた。

 

(嗚呼、そういう事か(・・・・・・)。何でペンシルゴンが、彼女の事を『マブダチ』って呼んでいるのか)

 

サイガ-100は、ペンシルゴンに──────天音 永遠に似ている。目的の為ならば自分の全てをベットし、其の他一切を切り捨てられる………そういう人物なのだと。

 

「サイガ-100さん。其の申し出に答える前に、SOHO-ZONEさんの質問に答えてからでも良いでしょうか?」

 

ペッパーの答えに「構わない」とサイガ-100は答え、彼女()もまた「ありがとうございます」と起立し頭を下げ。そしてSOHO-ZONEの方を見つつ、インベントリを操作して『星皇剣(せいおうけん)グランシャリオ』を左手に握って示した。

 

「SOHO-ZONEさん、カローシスUQさん、Animaliaさん、ジョゼットさん、キョージュさん、サイガ-100さん。アヴァランチさん、ヤシロバードさん、ヴェットさん、クラリスさんと聖盾輝士団の護衛の団員の御二方、セートさん、そして草餅さん。

今から俺が話す事を『他言無用にすると誓える』ので有れば。俺は今から此の武器の事を……………『星皇剣グランシャリオ』の事を、少し教える用意が有ります。ただし此れを口外する事は『漏れ無く戦争を引き起こす事』と『クラン:旅狼(ヴォルフガング)メンバー全員の蒸発(・・)』を意味していますので、くれぐれも御注意をよろしく御願い致します」

 

ペッパーの真っ直ぐで嘘を一切含まない視線が向けられ、此の場に居るペンシルゴン以外の全員が、文字通り引き吊った表情となり。そしてペンシルゴンはと言えば、非常に悪い笑顔を浮かべていた。

 

其れも其の筈、今此の場には『慈愛の聖女 イリステラ』が居る。即ちペッパーとの約束を反故する事は、必然的に強い結び付きを持つイリステラと、彼女からの要請やら関係に打撃を与える事に等しい。

 

其の上、駄目押しとばかりに彼が言った『旅狼メンバー全員がシャンフロから居なくなる』という事は、カローシスUQ・ヤシロバード・SOHO-ZONE・アヴァランチの視点からすると、今後『銃を直せるNPCとの繋がりが断絶させられる事』と同じなのだから。

 

「おうふ………。其れは、かなり困るなぁ…………」

「つまりは、ペッパー君。其の剣は其れ程までに『危険な逸品』である、と?」

 

今依頼している銃の件と、目の前に在る剣の情報。其の二つを天秤に掛けた結果、今後の自分とウェポニアの活動に確実に影響が出ると読み、SOHO-ZONEは興味を理性でコントロールして『一度下がる』事を選択し。

 

アヴァランチは知りたいという気持ちこそ有ったが、武器狂いの名で知られるクランリーダーが下がった事で、あの武器は其処までの危険を内封しているのかと睨み。

 

カローシスUQの質問にペッパーは無言で、しかし力強く頷いた事により、其れが本当であると納得したのか、彼は其れ以上は追求する事は無かった。

 

他のプレイヤーもグランシャリオに興味は有れども、其の危険性から声は上がらず、話は此処で区切られる事となり。ペッパーはサイガ-100の要請に対し、己の意志を以て答える。

 

「…………コホン。サイガ-100さん、リュカオーンとの戦闘する場合は先ず『リュカオーンが出現するポイント』が絞り込めないと、スタートラインには立つ事が出来ません」

 

グランシャリオの権能(チカラ)ならばリュカオーンを誘き寄せる事は出来るだろうが、其れでも『ランダムエンカウントタイプのユニークモンスター』である以上は、出現場所を特定出来ない限りは、早々に巡り会えるという訳では無い。

 

黒狼時代の話をペンシルゴンから聞いていたが、彼女のド派手なプレイスタイルに影響を受けた『剣士系プレイヤー』が多く集い、クラン全体の職種バランスに大きな偏りが存在する上に、リベリオス派が力を増してからは魔法職やヒーラー職にタンク職は、ずっと『肩身の狭い想い』をしていたと言う。

 

だからこそ、対リュカオーン戦は後衛を守る『壁タンクや避けタンク』、リュカオーンの領域たる暗闇を『作らせない』事が、夜闇を纏う狼と戦う上では『絶対に必要不可欠』なのだ。

 

「自分からの要請としては、三つの『最低条件』が有ります。先ず一つ目に『ランダムエンカウントするリュカオーンの出現パターンを特定』する事。二つ目に『タンク職か避けタンクを最低でも三人用意』する事、そして『魔法職で【マジック・トーチ】が使える魔法使いが二か三人、或いは【マジック・トーチ】の使い捨て魔術媒体(マジックスクロール)を五十本以上は用意』する事。──────此れはリュカオーンの戦いを経験した、絶対に必要になると感じた『対リュカオーン』の心得に成ります」

 

そしてペッパーは彼女からの要請に対する答えを、己の言葉を以て示したのである。

 

「此の三つを必ず(・・)用意して下さい。もし其の三つを揃える事が出来たならば、其の時は『全力で』。自分はサイガ-100さんの、黒剣の『影狼討伐戦をサポート』すると御約束致します」

「………………すまない、感謝する」

 

深々と頭を下げたサイガ-100を見つつ、制限時間である『九十分』が経過した事で、此処に七天極星(グランシャリオ)会談は御開となったのであった…………。

 

会談後、サイガ-100はAnimaliaへ話し掛けに行くのを見たペッパーとペンシルゴンは、ライブラリの本拠地を抜け出した後、エイドルトの路地裏へとサササッと移動しラビッツの兎御殿へと帰還。

 

与えられた御殿内の休憩室に備え付けられたベッドへ座った後、ペンシルゴンがログアウトしたのを見届けた後、彼女()はアイトゥイルとノワに「おやすみ」と告げて、ベッドに寝転がり。セーブ&ログアウトを行って本日のシャンフロを終えたのであった………。

 

 

 

 

 






此れにて閉幕


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