VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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征服人形の事




汝、人形を支えし者。故に、其の命は彼の者と共に在らん

征服人形(コンキスタ・ドール)カルネ=103こと、ヒトミを正式にパーティーメンバーに加え、パーティープレイでペンヘドラント大樹海地帯のモンスター達と戦ったお陰で、征服人形について解った事が幾つか在る。先ず開拓者(プレイヤー)がゲーム開始から確認出来るステータス項目に、新たに『人形(ドール)ステータス』という物が加わった事。

 

此れにより契約者は、征服人形の四肢や胴体等の『損傷率をパーセンテージで可視化出来る』様になっているのだが、関節が球体である事を除くと『人間に近い見た目をしている人形』に色々やっている絵面は、最早『アウト』側の領域に在ると言っても差し支えない。

 

次に征服人形は基本的に(・・・・)契約者(マスター)からの命令(オーダー)を遵守して行動する。征服人形の『型』によっては面倒臭がってやってくれないという、其れはロボットとしてどうなんだよと思うのも居るらしいが、よっぽど難しい命令でない限りは彼女等は其の通りに行動する。そしてモンスターの種類や規模によっては、損傷具合を加味せず、自らの存在を賭けて撃滅する行動を取るのだとか。

 

他にも征服人形には回復アイテムによる回復や、食料アイテムによるエネルギー補充が可能だったり、極め付けには『格納鍵(かくのうけん)インベントリアの様な、神代製の鍵系統と同期する事で其の中に入る事が出来るし此方の任意で回収可能』という、とんでもなくヤバい機能を保有している。

 

其れ即ち『ユニークモンスター・冥響のオルケストラ』を相手取る場合に、征服人形が『何らかの理由で必要になる場合の解決策』、そしてスロットを一枠潰す代償に装備者に『無限インベントリ』を齎すアクセサリーが、他にも存在する事が判明したと言って良い。

 

当機()契約者(マスター)の腕に着いている其の腕輪(デバイス)の中に在る物を、種類によるが『ある程度』は使う事が出来る。しかしながら『重装甲の系列装備の運用』を、当機()を含むカルネ型は想定していない。カルネ型は元来『生物の生態調査』を主流とし、次点に『回収オブジェクトを利用しての護身を行う』観点から、ある程度の戦闘を視野には入れているが、純粋な戦闘能力に関しては『エルマ型』や『レイカ型』等が上だ」

 

ヒトミはそう言いながら、ペッパーがインベントリアを通じて渡した、墓守のウェザエモンの撃破報酬として共有状態に在る『規格外特殊強化装甲【蛮武(バンブ)】』の胴と脚の装備を纏い、腕に『規格外武装:長銃型【サジタリウス】』をエネルギーラインで直結した状態で彼を見る。

 

「援護とヘイト管理は任せて欲しい」──────其の言葉を信じ、彼女にサジタリウスを渡してみたが、モンスターの生態調査と共に自衛を行う為の『距離感と間合い管理』が完璧だった。アイドル衣装じゃなくてコート&サングラス姿ならば、完全に仕事人の其れに等しい状態と言って良いレベルだろう。

 

「まぁ、誰にだって得手不得手は有りますからね。其処は自分の『得意分野』で勝負しましょう、ヒトミさん」

無論(当然):元より其のつもりだ」

 

コクリと頷く横顔と出で立ちは、まさに王子様系女子の其れであり。そうなると尚の事、アイドル衣装が悪目立ちを加速させそうな気がすると考えたペッパーは、彼女に提案をしてみる。

 

「其れとヒトミさん、今持っている『衣服』ってアイドル衣装以外に無いのでしょうか?他の開拓者に見付かった場合に、厄介な事になりそうだなって思いまして。もし無ければ、此方の所持している一式装備を御渡ししますが」

「……………成程:確かに目立つか。では当機()は此れより、プロトコル『オシノビ・カモフラージュ』を実行する」

 

プロトコルとは何じゃそりゃの疑問を唱えるより早く、ヒトミはアイドル衣装と規格外装甲のミキシングをパージ、其の姿を『地味なコート・シャツ・ジーンズの三点セットにサングラスを着けた状態』という姿へ、一瞬で早着替えしてしまった。

 

しかも其の姿たるや、裏路地で煙草を吸っている少し強面の女傭兵としか思えない見た目で、何かしら得物を持たせたならば『黄色い歓声』が巻き起こる事は不可避である。

 

「どうだ、契約者(マスター)

「………………本当に凄まじいです」

 

征服人形、恐るべし。此れを作った創造者は、一体どんな人物だったのだろうか?そうペッパーは思わざるを得なかったのだ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海地帯をかなりのハイペースで進み続け、時折巨樹の根本に在る隙間に入る事で休憩を挟んでを繰り返す事で、ペッパー達のパーティーはモンスターと戦いつつも、確実に此の地域の中心地に近付きつつある。

 

空洞での休息中に、ペッパーが確認したのは『シャンフロの最前線を語り合うスレ』であり。其処に載った情報によれば、どうやら新大陸の樹海地帯の中心地付近には『破棄された里らしき集落と祭壇の様な建造物が見えた』という情報が記載されたらしく、プレイヤー達は其処を目指しているらしい。

 

尤も三つ首のティラノサウルスやらに阻まれているせいで、未だに其の場所に辿り着いたという報告は現状挙がって居ないのだ。

 

「此処等辺で一回、休憩をしよう。ヒトミさん、近くに地下空洞は有りますか?」

「了解:前方200m先に空洞を確認。温度確認………………『異温』を検知した。此の反応は『開拓者』だな、空気中の振動からして何やら『鍛冶』をしている」

「鍛冶を?」

肯定(あぁ):何を造っているかは、当機()には判らないが。付近の他の空洞は、其処以外存在していない。どうする契約者(マスター)

 

開拓者で鍛冶ともなると、先ず間違い無く面倒臭い方向になるだろう。しかし今更引き返したり出来ない上に、敵が何時襲撃を掛けるか解らない中、前へ進むor空洞に向かうかの二択を選ぶならば、自分はパーティーの状況を踏まえて判断する。

 

「ヒトミさんはインベントリア、ノワは俺の影に、アイトゥイルはコートの中へ。多少のリスクを被るが、休憩を踏まえて空洞に向かおう」

 

言うが早いか、ペッパーはヒトミをインベントリア・ノワを影擬態・アイトゥイルをコートの中に各々避難させ、一目散にヒトミが検知した其の場所に走り込む。

 

近づく程に金属を叩く音が鳴り、熱気が肌を撫でる中で、彼は勇者武器(ウイッシュド·ウェポン)聖盾(せいじゅん)イーディスを左手に握って、穴の前に立つや「御免下さい」と述べてから静かに入って。

 

 

 

 

 

 

「あぁ?いきなり誰だ、此方ァ鍛冶の仕ゔぉ──────!?!??!?!!!?!?!?!」

 

 

 

 

 

薄暗い空間に灯る、カンテラと炉の灯に照らされる『如何にも職人という、髭をたっぷりと生やしたキャラメイクの壮年男性のプレイヤー』が、綺麗な二度見と言った反応を見せながら、此処で三度見を行って。

 

其の手に握り締めた『金色の槌』を落とした事で、シャンフロエンジンに従って右脚の親指にぶつかり、声に出せぬ程に悶える姿を見ながら、ペッパーが其のプレイヤーを確認した所、彼の頭上には『イムロン』というPNが表示されたのであった…………。

 

 

 

 






遭遇、シャンフロ最高峰のプレイヤー鍛冶師


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