一刻の後に
「よし、全部キッチリ直したぜペッパー」
「ありがとうございます、イムロンさん」
イムロンに武器の修復を依頼して小一時間、元々武器其の物を大事にして負荷が掛からぬ様にと動き方や扱い方を工夫していたペッパー自身の事も有ってか、仕事はスムーズに完了した。
「其れにしても凄まじい限りだ………」
受け取った武器達の耐久値を確認し、イムロンの腕に納得する様に頷いていれば、ロールプレイをした
「他のプレイヤーは武器を乱雑に扱ったりするんだが、ペッパーの武器は耐久値が半分を切ってない。どの武器も大事に扱われてるのが、手に取って一目で解ったぜ」
「とあるNPC鍛冶師曰く『自分達が造った武器は子供の様な存在』であるらしいので。流石に無茶を徹さなきゃ倒せない相手には、無理を強いなくちゃいけない時も有りますから」
今は懐かしきファステイアの鍛冶師の言葉。実際修復出来る時には修復したいのは事実であるし、耐久値が『1』有るか無いかで泣かされるなら、当然有った方が良いのは事実。其の為にも常日頃から武器を万全に、アイテムも十全にしておく事こそが、ゲームを快適に送る秘訣だとペッパーは考えているのである。
「ペッパー、此れからどうする気だ?」
「此の樹海地帯の何処かに在る『レベルキャップ解放施設』を探しに行こうかなと」
「……………ほぅ?」
何か知っている気配を放ったイムロンに、ペッパーは一体何を要求してくるのかと警戒して。
「ペッパー、一つ頼みが有るんだが……………『ティラネードギラファ』と『カイゼリオンコーカサス』の素材を持っていたら、俺に譲っちゃくれねぇか?代わりにレベルキャップ解放施設まで責任以て案内するし、其の素材で『最高の逸品を創り上げる事』を約束する」
銃の機能を搭載した
「解りました。先に双皇甲虫の一番希少な素材を、そちらに渡しておきますね。他にも色々有りますが、インベントリの容量から重量圧迫を引き起こしそうだと思うので」
インベントリアを操作、取り出したのはティラネードギラファとカイゼリオンコーカサスの核にして心臓たる部位。
「そうと決まれば、早速出発しましょう。ヒトミさんは案内を、アイトゥイルとノワは索敵を頼む。あ、イムロンさん。此処で見た者は内密に頼みます」
「了解した、
「はいさ!」
『ワン!』
「え"っ!?ヴォーパルバニーにチビリュカオーンと、なにそのメカ女子!?!」
「順番に言うと、新大陸で環境やらを調査している征服人形って言う存在に、風雷皇の擊貫斧を造った関係者の親族と、深海都市にまで押し掛けて来たリュカオーンの分け身」
「爆弾情報だらけじゃないのもぉおぉおおおお!?!?」
起き上がったイムロンはペッパーがコートの中から黒兎、己の影から小さなリュカオーン、そして何処から突然現れたメカ女の簡単な説明を聞いて、再び引っくり返ったのであった……………。
イムロンにパーティー申請を送って無事承認され、二人一機一羽一匹の異色にして異質な一行となった一団は、適度にログアウトと夕食休憩を挟みつつも、日が完全に落ちた夜の樹海の中をヒトミとイムロンの情報を精査し、カンテラとアイトゥイルの持つ提灯の光で照らしながら進んで行く。
リュカオーンの愛呪の
「掲示板で見ていたけど、リュカオーンの呪いって
「多分ユニークモンスターにも、プレイヤーへの『好感度』が個別に搭載されてる気がするんだよね。サンラクと自分の呪いが、別の種類に変化した所を見るに」
ロールプレイを忘れている事に関しては、もう指摘する事を諦めた。だって此方が放つ情報の大洪水のせいで、
他にもイムロンはレベルキャップを解放しているだけ有り、やはり相応に強かった上に聖槌ムジョルニアに選ばれた、一人のプレイヤーとしての実力も凄まじく。ムジョルニアを振るって『
「レベルキャップ解放施設は、わた………ゴホン。俺の経験によりゃあ『粘着性の蔦と有刺鉄線の茨に囲まれてる、破棄された木造集落が地面や木の上に建つ場所の中心地』に其奴は在った。木登り出来りゃあ、簡単に侵入出来る構造だったが………」
「…………何て言うか其れ、
「そうだな。アンタなら普通に侵入出来るんじゃねぇか?」
「……………其れなら『一気』に行きましょう」
インベントリアを操作・取り出すはキュルアの店で購入した
此の魔法は発動から五分間、使用者に対する敵モンスターの『ヘイトの対象にならなくなる』魔法であり、使用者の気配自体を消す事は叶わないが、其れを補って空中でのモンスターからの発見を避けられる能力を持つ。
というより、最初から此れを使ってれば早く到着していたのでは?──────と思わざるを得ないが、寧ろ回り道をしたからこそ征服人形との契約に、シャンフロプレイヤー最高峰の鍛冶師との遭遇が出来たのだから一長一短だろう。
絵面的に見ても青年が壮年男性(中身OL)を御姫様抱っこするという絵面は、中々に堪えると感じたペッパーは意を決して青の聖杯を用い、女性の姿にアバターを反転させる。
「ヒトミさんはインベントリアへ、アイトゥイルとノワはコートの中へ。イムロンさん、少し失礼します」
「ふぇ?ほひゃわぁ!?」
アイトゥイルとノワをコートに、ヒトミをインベントリアに避難させ、ペッパーの姿を見て唖然としているイムロンを掬い上げて、御姫様抱っこするや
刹那に高く跳躍し、空中を駆け走り始め。俯瞰の視点と思考を加速させながらに、安全なルートを導き出すや一気呵成に走り出して。夜闇の空と黒く染まった葉の海を抜け、誰にも何者にも気付かせずペッパーはイムロン達を運んで進み。
「………………!見えた、
蔦と茨で作った天然のフェンスによる包囲網に守られ、拓けた場所に獣道と家を建築したと思われる、中世時代の西洋に在る『田舎村』とも言うべき集落が、強化された視力と視界によって目視出来る距離にまで入った。
其の広さや構造は『旧大陸屈指の大都市サードレマ』や『クターニッドの根城たるルルイアス』に比肩し、集落の中には相応の大きさと太さを持つ樹木とツリーハウスが建っており、まるで『
しかしながら昔に破棄されていたのか、或いは
そして集落の中央地点に在った物……………中世の田舎とは打って変わって『超高度な金属で造った超未来的な傾いた台と、周りに内側へ反っている無数の爪が突き出す』という、そんなオブジェクトが存在する場所だった。
到着、レベルキャップ解放の地
ペッパーの最新戦績の一部抜粋
・夜襲のリュカオーンの分身体
・アトランティクス・レプノルカ
・アトランティクス・レプノルカ"
・アーコリウム・ハーミット "
・キリューシャン・スフュール"
・スレーギヴン・キャリアングラー
・スレーギヴン・キャリアングラー"
・アルクトゥス・レガレクス×2
・深海三強s
・深淵のクターニッド
・クレーゼーレ・ヴィンディッシュ
・バタリング・ナイツクラブ
・
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・
・ティラネードギラファ×数体
・カイゼリオンコーカサス×数体
・ゴルドゥニーネ・レプティカ4
・無尽のゴルドゥニーネ
・サイガ-100
・
・
等々……………